投資銀行業務は無くならない(その2)
一昨日の続きです。
投資銀行が引き受けた公債・社債・株式は投資家に対して販売しなくてはなりません。
この販売を円滑に行う為、投資銀行は自らが引き受けた公債・社債・株式を販売するだけでなく、他社が引き受けたものの購入・販売(セカンダリー市場での売買)にも積極的に関与してきました。
いわゆるセールス&トレーディング業務(販売業務と『売った、買った』のトレーディング)です。
従って投資銀行の、①投資銀行本部、、②債券本部、③株式本部の三つの部門では顧客の顔ぶれが明確に異なってきます。
①の投資銀行本部の顧客は公債・社債・株式の発行体であるところの国家や企業です。
一方、②の債券本部や③の株式本部の顧客(販売の相手先)は、これらの公債・社債・株式を購入することになる投資家(機関投資家)が主たる顧客層なのです。
ところで、2008年の春まで存在したアメリカの5大投資銀行はそれぞれ異なった歴史・沿革を有し、結果、得意とする業務も微妙に違っていました。
非常に大胆な形で色分けをすることが許されるとすれば、ゴールドマンサックスやモルガンスタンレーは①の投資銀行本部がおこなう業務が強く、メリルリンチは③の株式本部が強力でした(【注】この辺については『いや、違う。当社こそ○○に強い』というご指摘もあるかもしれません。あくまでも私の個人的感触です。)
そしてリーマンブラザーズやベアスターンズが強いとされてきたのが②の債券本部であったのです。
実際リーマンでは最高経営責任者(CEO)兼会長のファルド氏を初め、投資銀行本部長からCOO(最高執行責任者)となったブラッド・ジャック氏など、社の上層部の多くが債券本部の出身でした。
そしてこの債券本部こそがサブプライムローンを証券化して世界の機関投資家に販売するという業務に従事していたのです。
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