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2008年12月16日 (火)

バフェットによるゴールドマン、GEへの出資

12月14日(日曜日)のブログの続きです。

金融危機の真っ只中にバフェットが行なったゴールドマン・サックスやGEへの出資については、どう考えれば良いのでしょうか。

昨日のテレビでは時間的制約もあり、十分に説明できなかったことから、以下でもう少し詳しく見ていきます。

バフェットの投資会社バークシャーによるゴールドマンへの出資が発表されたのは今年の9月23日。バークシャーは配当利回り10%の永久優先株50億ドルを購入。さらに今後5年以内にゴールドマンの普通株50億ドルまでを1株115ドルで購入できるワラントも取得。

この発表を受け、ゴールドマンの株価は9月23日、前日比3.5%高の125.05ドルで引けた後、更に時間外で8.5%急伸。

一方のGE。

バークシャーは今年10月1日、GEの永久優先株(配当利回り10%)30億ドルを購入することを発表。バークシャーはさらに今後5年以内にGEの普通株30億ドルまでを1株22.25ドルで購入できるワラントも取得。

GEの方は、この発表にもかかわらず、株価が下落(10月1日:24.50ドル→10月2日:22.15ドル)。

さて、その後の両社の株価の変化ですが、昨日のニューヨーク市場では、ゴールドマンが66.46ドル、GEが16.95ドルで引けています。

バフェットが投資会社バークシャーを通じて行なったゴールドマンやGEへの出資が、仮に、単純な普通株の購入であったと仮定するならば、この時点でのバフェットの損失は、ゴールドマンについては▲23億ドル、GEについては▲9億ドル。

バフェットが投資を決定した後、両社の株価は、それぞれゴールドマン▲47%下落、GE▲31%下落となってしまったのですから、損失額は両社への投資合計で▲32億ドルになってしまったということになります。

しかしながらバフェットが行なった両社への投資は、配当利回り10%が保証される永久優先株。

換言すれば、ゴールドマンやGEがつぶれない限り、そしてゴールドマンについては少なくとも 5億ドル、GEについては3億ドルの税引後利益を上げ続ける限り、バフェットはこの両社から毎年5億ドル(ゴールドマン)と3億ドル(GE)の配当金をもらい続けることが出来ます。

言ってみれば、今後10年で、少なくとも投資元本は回収できるというものです。

しかもこの配当をもらう権利は永遠に続きます。(もっともゴールドマンやGEは10%のプレミアムでこれを買い戻す(償還させる)ことが出来ますが、この場合にもバフェットは「それまでの配当金」に加えて「投資元本+10%」を手にすることができます。)

この種の好条件を引き出しながら両社に投資できたのはバフェットだからです。

両社は、この金融危機のさなかに、バフェットから資金を得たばかりか、「バフェットによって選ばれた」という「信認票」も得たのです。

一般投資家がバフェットの真似をして「バフェットに続け」とばかりに投資を行なっていれば、先ほど見ましたようにゴールドマンについては▲47%下落、GE▲31%下落ですから、今頃、大けがをしていることになります。

「強者が弱者を飲み込むのは、海も人間も同じ」(シェイクスピア)

投資の世界でも、バフェットのような「力」を持てば、普通の投資家に比べてリスクをコントロールしやすくなります。

バフェットの投資哲学はMargin of Safety。失敗しても、簡単には損をしないようにするというもの。

今回のゴールドマンやGEへの投資はまさにその好例だったと言えるでしょう。

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