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2008年12月31日 (水)

空気の支配

『日本軍の戦略策定が状況変化に適応できなかったのは、組織のなかに論理的な議論ができる制度と風土がなかったことに大きな原因がある。』 『・・・多分に情緒や空気が支配する傾向(があった)』

(戸部良一ほか『失敗の本質』中公文庫 [注]カッコ内は筆者)

*  *  *

麻生総理は 『日本経済は全治3年と診断し、これを建て直すべく平成21年度政府予算案を閣議決定した』 とのことです。(詳しくは『こちら』)。

同時に 『日本が世界で最初に不況を脱出することを目指す』 とも述べています。(詳しくは『こちら』)。

しかしいったいどういう状況認識で全治3年と診断したのかが分かりません。

そもそも何が原因で日本経済が全治3年の病に陥ったのか。

加えて、1929年の大恐慌の時は米国ダウ平均株価が元のレベルに戻るのに25年間もかかりました。

今回の金融危機がたった3年で回復可能であるとする、その論拠はいったい何なのでしょうか。

そしてもし日本が本当に世界で最初に不況を脱出することを目指すのであれば、

経済と産業の構造を輸出主導のものから内需主導のもとへと大きく転換させる必要があります。

輸出に依存する従来の構造のままでは、

『外国の景気が回復→日本からの輸出が伸びる→日本の景気が回復』

といったパターンになります。

よって日本が世界で最初に不況を脱出することは不可能。

もし日本が世界をリードするのであれば、

『日本の内需が拡大→日本への海外からの輸出(=日本の輸入)が増大→他国の景気が回復』

となります。

そのためには第二次世界大戦後支配してきた輸出主導の日本の産業構造を根本的に変える必要があります(為替も、より一層の円高へ・・)。(しかし本当に可能でしょうか。)

*  *  *

『全治3年』とか『世界で最初に不況を脱出』とか言葉は踊りますが、『情緒や空気』の産物であったとしたら国民が不幸になります。

経済危機脱出の為の戦略策定には、確たる状況分析と、目標を実現する為の処方箋が必要です。

霞ヶ関の奮起を期待したいところです。

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