ガルブレイス
麻生首相も最近購入したと一部マスコミで報じられているジョン・K・ガルブレイス著「大暴落1929」(村井章子訳、日経BP社)。
11月8日のブログでもご紹介しましたが、改めて読み直してみますと幾つかのコメントは非常に参考になります。
(以下は、同書からの抜粋です。下線は私が引いたもの。ご関心のある方は是非一度上記著作をお読みになってみてください。)
「最初は値上がりから始まる。
株でも不動産でも美術品でも、何でもいい。
すると世間が注目し、買い手が群がる。
そうなれば価格は一段と上がる。
買う行為そのものが価格を押し上げ、値上がり期待を現実にするわけだ。
これが続くと、市場を楽観視するのが当たり前になる。
そうなれば価格はますます上がる。
そしてある日、終わりがやってくる。
一体なぜなのか、原因を巡って果てしなく議論が続くだろう。
終わりは、つねに始まりよりも突然である。」(7頁)
* * *
「現実に問題なのは、そのいかがわしい資産が日に日に値上がりし、二週間後には売って莫大な利益を手にできるかもしれないということだけだった。
時が経つとともに、値が上がるという事実だけに目を奪われ、なぜ上がるのかを考えようとしなくなるのは、投機のもう一つの特徴である。
それに、理由を考える理由などなかった。」(21頁)
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「株価には企業の業績や収入見通しが反映されている。……だが……現実離れした手がかりにわれもわれもと飛びつくようになったのだ。」(31頁)
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「ブームが熱を帯びてある点まで達すると、手に入れた財産がすぐに値上がりするかどうかだけに目が行き、その財産を持つことに伴う他の要素はすべて目に入らなくなる。
その財産からどれだけ収入が得られるか、あるいはその財産をどれだけ活用できるか。
いや長持ちする価値があるのかどうかさえ、面倒なこととして片付けられてしまう。
……要するに、ブームの渦中にある所有者が財産に求める唯一の見返りは、値上がりだった。」(40頁)
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