今回の不況の特徴
1989年-1990年にピークに達したバブル。
このバブルが崩壊した時以上に、今回の不況の衝撃が大きいという話を経営者の方々からよく聞きます。
株価を見てみましょう。
前回のバブルのピーク時、1989年12月末を(A)とし、その5年後、1994年12月末を(B)とします。
日経平均は
(A) (B)
38,915 → 19,723
とバブルの崩壊によって5年間でちょうど半分になりました。
しかしこの同じ期間、(A)と(B)の2つの時点で、トヨタやキヤノンの株価を見てみると、
(A) (B)
トヨタ 2,099 → 2,100
キヤノン 1,200 → 1,126
と両社とも殆ど変わっていません。
20年前のバブルの崩壊は不動産、建設、ノンバンク、金融を直撃しましたが、トヨタやキヤノンのように輸出の比率が高く、日本の需要が落ちても海外で稼げた企業にはあまり深刻な影響が及びませんでした。
今回の不況は違います。
今回も昨年一年間の破綻上場企業の顔ぶれを見れば明らかなように、不動産、建設が最も打撃を受けたと言っていいでしょう。
しかしそれに止まらないのが今回の不況の特徴です。
ご存知のように自動車、電機といった、これまで日本が強いと思われていた業種にまで衝撃が及んでいます。
世界的規模の不況の為、輸出産業の各社も「創業以来最大規模」と言われる打撃に見舞われています。
一般の家庭の家計に及ぼす影響も、今回はより深刻で、これまでは聖域とされていた教育費の分野まで影響を受けるようになってきました。
教育産業に勤めるKさんの話。
『これまではバブルが弾けたり不況になっても教育費だけは別で、日本の家庭は教育費にはあまり手をつけてこなかったが、今回は違う。親に迷惑をかけたくないとして受験料や入学金の安い学校を選ぶ子や受験する学校を絞る子も多い。塾にもあまり金をかけなくなった。』
銀座のブランド・ショップ店長のSさん。
『客層は若干変わってもこれまではブランド・ショップには何れかのタイプの客が来てくれていたのに・・。』
昨日の朝日新聞では不況にもかかわらずフェラーリは売れているとの記事がありましたが、現実には中古市場では値を下げてきているようです。
全世界的な津波が例外なく各所を襲っている・・。おそらくはそういったイメージに近いのでしょう。
次のように語った人もいました。
『前回のバブルの崩壊は高いところから平地に落ちたことによる衝撃。今回は平地から、底が見えない、暗い、深い穴に落ちていく感じだ。』
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