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2009年4月12日 (日)

PPIP (Public-Private Investment Plan)   その2

PPIPが狙いとするのは、現在の金融制度を維持しながら不良資産を銀行のバランスシートから外すことです。

『マーケットメカニズムを使った官民共同のプログラム』と言えば聞こえはいいのですが、このスキームで『民』のところに、不良資産を有する銀行(もしくは銀行が影響力を有するヘッジファンド)の介在を許してしまうと、銀行による国民の税金収奪スキームにほかならなくなってしまう。そういった懸念を示していたのが、昨日紹介したYouTubeでした。

いろいろと問題点を指摘されるPPIPに対して、いっそのこと銀行を国有化してしまった方が上手く行くのではないか、こう主張する人も少なくありません。

日本でも日本長期信用銀行や、りそな銀行などまず国有化してから処理を行うことがなされてきました。

実は米国でも銀行国有化の経験があります。

コンチネンタル・イリノイ銀行です。

しかしこれに関して当時の当事者が銀行国有化の問題点を指摘して今、米国で話題になっています。

『Trust me. I've done this before.』との副題で William Isaac 氏がウォールストリート・ジャーナル紙に寄稿した一文。

2月24日に寄稿されたこの文章は原文がまだネットに載っていて『こちら』で見ることが出来ます。

アイザック氏は当時のFDIC総裁。

同氏は寄稿した記事の中で、

『 ① コンチネンタル・イリノイ銀行は国有化した後、売却するのに7年もかかったこと、② 当時のコンチネンタル・イリノイ銀行が全米の銀行に占める割合は(総資産ベースで)2%にも満たなかったが、現在の10大銀行は全米銀行資産総額の3分の2を占めること』

などを指摘しています。

PPIPに期待するのか、すっきりと国有化してしまった方がいいのか、PPIPの細部が明らかになるまでは簡単に結論付けることは出来ないようです。

なおPPIPに関してはフェルドスタイン氏がウォールストリート・ジャーナル紙に寄稿した一文も参考になります(『こちら』です)。

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