Chevrolet Volt
早ければ来年12月には生産開始となる予定のGMのChevrolet Volt(下の写真2点)。
プラグインのシリーズ・ハイブリット搭載で販売価格は400万円(米政府による購入補助で320万円)程度と予想されています。
ボルトのリチウムイオン電池のセル部分は、LG Chem社が供給。EVモードで約64km走行可能とのこと。
一方、今年の上海国際モーターショーで注目を集めたのが、中国奇端汽車(Chery Inc.)のプラグイン電気自動車、「瑞麒M1 EV」。
写真(下記の記事をクリックすると出てきます)で見るとトヨタの「ヴィッツ」に似た外観。
「瑞麒M1 EV」を紹介した、日経エレクトロニクスの大槻 智洋氏、日経Automotive Technology 小川計介氏の記事(『こちら』及び『こちら』)によれば、満充電時の走行可能距離は、120~150km。
220Vの家庭用電源から充電でき,充電所要時間は5時間前後。(但し30分間で8割充電可能となる見込み)。
リチウム電池のサプライヤーは、中国WanXiang EV Co., Ltd.(万向電動汽車)で、容量は 64V/45Ah。
日経新聞の記事(5月5日)によれば、このプラグイン電気自動車は今年末に北京で発売開始となり、中国国内の後は海外市場にも投入する予定とのこと。価格は約100万円というから驚きです。
迎え撃つ日本勢。
5月中旬に発売開始となるトヨタの新型プリウス(第3世代)は、プラグインとはならず従来のニッケル水素電池が使われます(詳しくは『こちら』)。
ただ一方でトヨタは今年の年末からフリートユーザー向けに、新型プリウスをベースにリチウムイオン電池を搭載したプラグインハイブリッド車をグローバルで約500台リースする予定、といったニュースも聞こえてきます。
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自動車の次世代技術については5月6日付けの朝日新聞がコンパクトな記事にまとめていました。以下は同記事からの抜粋(カッコ内は同記事による代表的メーカー)。
①ハイブリット車(トヨタ、ホンダほか)
②プラグイン電気自動車(GM、フォード、クライスラー、三菱自動車)
③燃料電池車(GM、トヨタ、ホンダ)
④水素自動車(BMW、マツダ)
その他クリーン・ディーゼル車、バイオ燃料車など
すでにオバマ大統領は経済刺激策に20億ドル(2000億円)の電池開発計画を盛り込んでいます。
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鍵となるリチウムイオン電池。
繰り返し充電できる2次電池の一種で、既に携帯電話やノート型パソコンなどに使用されています。
ニッケル水素電池に比べ、約3倍の高電圧が得られ、重量を約半分に、体積は2~5割ほど小型・軽量化できるとされています。
一方で課題とされているのが、生産コスト(ニッケル水素の1・5~2倍)、充電速度、安全性(温度が上がる)など。
現在、各方面で研究、開発が行われており、近い将来ブレークスルーとなる技術が実現することが期待されています。
例えば、リチウムイオン電池のアノード(正電荷が流れ出す電極)には通常カーボン(炭素)が使われていますが、代わりにシリコンを使えばリチウムイオン電池のエネルギー・キャパシティを劇的に増加させることは長く知られていました。
問題はシリコンの brittle structure にあったとのことですが、この辺の難点を解決する試みも一部のベンチャーで行われ始めています(詳しくは『こちら』)。
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次世代の覇者となるのは、日本か、中国か、シリコンバレーか、あるいは破綻が予想されるGMなのでしょうか。
『21世紀に、間に合いました』とのCMでトヨタがプリウスを売り始めたのが1997年。
いまから12年前です。
いまから12年後の世界の自動車産業はどうなっているのでしょうか。
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