リチウムイオン電池
Teslaの電気自動車にせよ、あるいは今夏市場投入される三菱自動車のアイミーブにせよ、電気自動車の鍵となるのはリチウムイオン電池です。
『電気の歴史イラスト館』というサイトがあります(『こちら』)。
ここのリチウム電池の記述が分かりやすいと思います。(以下青字部分は同サイトからの引用)。
『リチウムは・・水分があると常温でも窒素と反応し窒化リチウム(Li3N) を生じ、熱すると燃焼して酸化リチウム(Li2O)になるなど、反応の激しい物質で、電池に使用するには安全性に問題がありました。
リチウムを電池に使用すると原理的には高い電圧が出せると考えられていましたが、電池に使用するには安全上の問題から電解質に水分が含まれていない等の条件を満たす必要がありました。
電解質に水を含まない有機溶剤が発明され、これを使用し、電極(陰極)に金属リチウムを使用した電池が発明されましたが水分の除去や漏洩が十分でなく実用には至りませんでした。
リチュウムイオンを吸収・放出する金属酸化物が発明され、それを利用したのがリチウムイオン電池で、1979年にジョン・グッドイナフ (J.B.Goodenough) と日本の水島公一による特許が取得され、高い電圧と大きなエネルギーを取り出すことができることが実証され、急速に実用化が進展しました。』
上記サイトの『電池の歴史年表』(『こちら』)を覘くと、上記の歴史的変遷がコンパクトにまとまれています。
『1948年にコールマンほかが、リチウム電池に必要な電解質に有機溶剤を使用した水を含まない電解質(nonaqueous Solvents)を使用した電池を発明(us2597451)。
1966年、Rightmireが、金属リチウム電池を発明。
1979年、J.B.Goodenoughと水島公一が、リチウム遷移金属酸化物を電池の陽極に使用する特許を取得(リチウムイオン電池の発展のきっかけ)』
以下、松下、三洋、ソニーなどの日本企業がリチウムイオン電池に関する数々の特許を取得していきます。
リチウムイオン電池を自動車に使用する上では、蓄電容量(自動車の航続距離)、充放電速度、コスト、安全性などがポイントとなります。
Teslaやアイミーブなど現実にマーケットに投入される電気自動車も出てくるなど、この辺の問題はかなりクリアされてきているわけですが、日本、アメリカ、中国、韓国、ヨーロッパなどで更なる技術革新にたいする挑戦が繰り広げられています。
一つの方向性がウルトラ・キャパシタ(Ultracapacitor;電気二重層コンデンサ)からのアプローチ(詳しくは『こちら』)。
この技術とリチウムイオンの技術を融合させて充放電速度を更に高められないだろうか。米国のワシントン大学などでこういった研究も進み企業化の例も見られるようになってきました(『こちら』)。
なおリチウムイオン電池で世界シェア3割と首位を誇る三洋は供給能力を6倍にすべく300億円をかけて兵庫県加西に新工場を設立することを決定(14日付け日経新聞夕刊)。標準的なハイブリット車換算で年10万台分超を量産する計画(既存の徳島工場のキャパは同じベースで年2万台相当の生産キャパ)。
三洋の親会社となるパナソニックはトヨタと共同出資でパナソニックEVエナジーを設立。現在はニッケル水素電池を供給していますが、リチウムイオン電池の共同研究も行っているとのこと(上記新聞記事)。
プラグイン・ハイブリット、電気自動車への流れが一気に加速しています。(次回は三菱の電気自動車アイミーブについて書きます。)
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コメント
岩崎さん、ご無沙汰してます。大山です。
リーマン時代はお世話になりました。私がF社に転職後も一度お会いさせて頂きましたが、すっかりご無沙汰してしまい、恐縮です。
また近々、色々ご相談させて頂きたいこともございますので、是非ご連絡させて下さい。よろしくお願い致します。
投稿: 大山聡 | 2010年7月 8日 (木) 15時59分