いよいよ秒読みか
2002年、ユナイテッド航空が連邦破産法11条適用を申請するかどうか、ぎりぎりの状況にあった際、一部のマスコミはこう書きました。
『仮にユナイテッドが連邦破産法11条の適用を申請したとしても上手く更生できないだろう。
破産法適用下の航空会社で飛行機の保守点検がきちんと行われるかどうか。
人々は不安に思い、そんな危なっかしい航空会社の飛行機になんて怖くて誰も乗らないだろう。』
2009年、GMに関しても次のような意見がありました。
『破産法適用下の自動車会社で生産された自動車なんて怖くて乗れない。
そのように思う人がたくさん出て更生は上手く行かないだろう』
2002年12月、ユナイテッド航空は連邦破産法11条の適用を申請。
その後、破産法の仕組みを上手く利用したユナイテッド航空は競争力を高め、会社再建に成功。
2006年2月には破産法の適用を外れ普通の会社に戻りました(詳しくは『こちら』)。
さて現在。
GMについてもいよいよ秒読みの段階に入りつつあります(詳しくは『こちら』)。
しかしGMに関しては、すでに 2008年6月の段階でマーケットは今後1年以内にGMが破綻する確率を25%と読んでいました。
いまから1年前です(詳しくは『こちら』)。
このような諸点を考え合わせると
(1)仮にGMが破産法の適用を申請したとしてもマーケットはさほどの影響を受けないだろう
(2)むしろ破産法の仕組みを上手く利用すれば、GMの競争力は回復し、何れまた相応の競争力ある自動車会社へと再生するだろう
ことが予想されます。
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コメント
いつも拝見させて頂いております。
出版された本から、こちらのblogに辿り着き、愛読させて頂いております。
GMの破綻をマーケットが織り込んでいると思いますが、近頃余りにも日本の市況が米国マーケットに振り回されているように感じており、投資チャンスでもあると思います。
私も、細々とblogを通じて、情報発信出来ればと思いますので、リンクさせてください。宜しくお願いします。
投稿: 酔いどれ | 2009年5月28日 (木) 18時25分
果たしてユナイテッド航空は「普通の会社」でしょうか?
ユナイテッドに限れば、再建し、立ち直ったかのように思えますが、
その後の航空業界はどうですか?
ユナイテッドモデルのせいで、多くの航空業界が再編成を加速させたのではないでしょうか?
デルタとノースの合併。
エールフランスによるKLMやアリタリアの吸収など。
最大手に次々に集約されている航空業界は果たして健全でしょうか?
安売り、業者排除の動きは大手エアラインにのみ有利に動いたように思われるのです。
岩崎さんの「経済」が投資のための大手企業にのみ、関心があるというのであれば、
その視点も致し方ないかと思いますが、
世界経済を大きく考えるなら、大国の政治資金をバックにして
弱肉強食ルールで生き残ろうとする企業を
「普通の会社」とは呼ばないと思うのですが。
投稿: SATOKO | 2009年6月 1日 (月) 13時31分
当時ユナイテッドを更生させずに清算させてしまえば5万人の従業員とその家族が(一時的にせよ)路頭に迷うことになった訳で、当時の利害関係者は、債権者の負担のもとに更生の道を選び、裁判所もこれを了承したのだと思います。
GMの場合は国のカネが入るので話はもう少し複雑ですが、民主主義の仕組みの下でアメリカ国民が了解するのであれば、あと残るのは国際的にどの程度まで国の支援を提供するのが許されるかという点だと思います。
国境を越えて各社が競争している現況に鑑みれば、おのずと一定の限度があるべき話であり、世界経済をブロック化させることも出来ません。
オバマ大統領が何度も「合衆国政府は自動車会社を経営するつもりはない」と力説しているのも、米国では政府介入を嫌う政治風土が強いのと同時に、この辺のところを意識している面もあると思います。
投稿: 岩崎 | 2009年6月 1日 (月) 18時16分