特別会計
2003年2月25日の衆議院財政金融委員会で当時の塩川正十郎財務大臣は次のように発言し話題を呼びました。
「母屋では、おかゆを食って辛抱しようとけちけち節約しておるのに、離れ座敷で子供がすき焼き食っておる」
この発言の趣旨は、一般会計(母屋)では予算の節約に努力しているのに、特別会計(離れ座敷)では無駄があるというものです。
長い間、私たちは日本の国家予算は約85兆円前後(平成21年度当初予算89兆円)と理解してきました。しかしこれは一般会計。
このほかに21の特別会計があり、この歳出総額は355兆円(ただし各特別会計間の重複分を控除して見るのが全体観を知る上では適切。控除した後の歳出純計額は169兆円)。
詳しくは財務省が『平成21年版 特別会計のはなし』としてまとめていますので、是非ご覧になってみて下さい。(193頁に及ぶものですが、カラーの図表満載で分かりやすくまとまっています。)
8月9日、細川元首相は、朝日新聞のインタビュー(詳しくは『こちら』)で、「政権交代は断絶が目的」とした上で、次のように発言しています。
「民主党のマニフェストを巡り、財源論の議論が出ていますね。一般会計と特別会計の合計から不要なものを削って予算を組み直すというのも、断絶です。手間は大変ですが、意味のあることだと思います」
(注:民主党の『政権政策(Manifesto)』では国の総予算を207兆円と組み改めた上で無駄を廃するとしています)
特別会計に斬りこんだ書物として一読の価値があるのが、石井紘基著『日本が自滅する日』。この本の序章から一部抜粋します。
「この国の「経済」は端的にいえば、国と地方と合わせて国民の税金と貯金、年金、保険積立金など350兆円を上から流し込んで消費しているだけのものだ。つまり、市場特有の拡大再生産機能によって生み出される果実はないに近い。経済的価値を創造する“市場”が死亡状態となり、回復不能の、借金が借金を呼ぶ財政破綻構造に陥っている」
石井氏がこの本を書いたのは2002年1月。彼は現職の国会議員でしたが、この本が出版された9ヵ月後、刺殺されました。享年61歳。(日本国憲法下において他殺された現職国会議員は浅沼稲次郎、山村新治郎に続いて三人目)
『責任ある政治、無駄遣いの撲滅、リアルな政策と責任力』を謳う自民党(政策パンフレット『日本を守るための約束。』)が政権を維持するにせよ、
あるいは民主党が政権交代を実現するにせよ、
特別会計の無駄を廃することは必須になってきています。
それが我々世代の、次の世代に対する「責任」です。
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