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2009年9月 6日 (日)

トヨタの借入金(5)(GEを他山の石とする)

先日コメント欄に書いたことを、もう少し詳しく書いてみます(一部、内容がだぶります)。

GE(ゼネラル・エレクトリック社)は、電球を発明したトーマス・エジソンが1878年に設立した会社。

「天才は1%のひらめきと99%の汗」という有名な言葉を残した、あのエジソンです。

GEと言えば、超優良会社の代名詞。

かつては世界第一位の時価総額を誇り、時の経営者ジャック・ウェルチ(1981年から2001年までCEO)は、経営の神様と崇められました。

そのGEが今、苦しんでいます。

株価は一時、ピーク時42ドルの7分の1である、6ドル(2009年3月)にまで落ち込みました。

GEが好調であった時は、GEは会社の利益の36%を金融で稼ぎ出していました。

それが今では金融部門の収益が対前年比で3割強も落ち込み、会社全体の足を引っ張る形となっています。

GEの金融部門の歴史は古く、もともとはGE製品を販売する際に、金融を付けることで始められたビジネスです。

そのうちにGEの他の部門とは離れて、独自に消費者金融、不動産といった具合に事業を拡大していきます。

1986年には投資銀行の名門キダー・ピーボディ社を買収し、投資銀行業務も手がけました(GEはキダーを1994年にペイン・ウェーバーに売却)。

「史上最強の経営」を標榜し、金融部門についても専業の他社に引けを取らないノウハウを蓄積していったGEでさえ、今回の金融危機では傷つきました。

2008年7月、GEは、GEキャピタルをGEの4つの事業部門の一つと位置づけ、GEとの一体性を強化。

同時に金融事業の見直し・スリム化(streamline)に着手しました(日本の個人向け金融サービス事業は新生銀行に売却)。

「まずは安全性を確保する」(Safety first)とGEキャピタルのマイケル・ニールCEOは述べています。

ここ数年、急激な勢いで金融業に入り込んでいったトヨタは、GEの一連の動きを他山の石として参考にすべきだと思います。

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