M&Aと株式投資(その1)
M&Aで買収される会社の株を事前に予測して買い込んでいれば、実際M&Aが行われた場合、値が上がる・・このように考える方が多いようです。
FactSet Mergerstat(→『こちら』)などを使えば、これまで実際にどのくらいのプレミアムがついてM&Aがなされてきたのか知ることが出来ます。
日本でも同じようにプレミアムの研究をしている学者の方やアナリストの方もおられると思います。
牛角(レックス・ホールディングス)やサンスター、サイバードなどのMBOでは、経営者が売り主と買い主の2つの顔を持ってしまう(しかも往々にして買い主としての立場を優先してしまう傾向にある)から、何が適切なプレミアムなのかを巡って裁判にまで発展しています。
これまでの主なMBOにおける、TOB価格とプレミアムの関係については拙著でも表にしてまとめています(125頁)が、MBOという特殊な事例を離れて、広く一般のM&Aの時の買収価格とプレミアムの関係となると、上記のような、より幅広いデータベースをあたっていく必要があります。
さて話が少しそれましたので元に戻します。買収される会社の株を事前に予測して買い込んでいくという投資戦略は上手くいくでしょうか?
仮に、現在296円と評価されている日立が買収されると仮定した場合、買収者はTOBでプレミアムを付けてくるでしょうから、もしも40%のプレミアムが付けられれば、414円ということになります。
実際鉄鋼メーカーで世界最大の売上高を誇っていたアルセロールをミタルが2006年に買収した時は、直前の市場価格に比し、82%のプレミアムがついてTOBが成立しています(TOB価格は2度にわたって上方修正されました。拙著234頁参照)。
このように考えていくと、M&A銘柄を探して事前に仕込んでおくという投資戦略は考えかたとしては、あり得るでしょう(私は個人的にはあまり賛成していません。その理由は次回以降に書きます)。
例えばミタルによる次の標的との噂も出たことのある韓国ポスコの株。
昨日のNYSEベースでは、3月の株価に比し、約2.5倍になっています。
結果、ポスコの時価総額は2.9兆円(1ドル=90円、NYSE株価ベース)で、新日鐵の時価総額2.3兆円を26%も上回るに至っています。
以下、次回以降では、このようなM&A銘柄はどうやって探したらよいのか、なぜ私は個人的にこの種の投資スタイルを取らないのか、などについて書いていきます。
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