M&Aと株式投資(その2)
「この業界でM&Aが起きるかもしれない」と予想して、買われる銘柄を先に仕込んでおく。
そうしますと、いざ買収となった際には、ターゲットとなった会社は一般に4割から7割程度のプレミアムが付けられて買われることが多いので、(あなたの株式投資は)その程度のリターンを出すことが出来ます。
しかし買われる会社というのは、問題があるからこそ買われる、株価が低迷している、といった場合も多いのです。
予想に反して、誰もその会社を買わないとなると、投資家として損をしてしまうこともありえます。
個人的には株式投資の醍醐味は、投資した会社の株が4~5年で数倍、10年くらいの長いスパンで、10倍、場合によっては100倍に値上がりするところにあると思っています。
例えば、1983年に任天堂の株式を100万円投じて買ったとします。その100万円が2007年には1億円近くになった(拙著149頁)わけです。
このような成長エンジンを持った会社というのは、M&Aの際には買われる側になるよりも、逆に買収する側に回ることが多い。
そういった目で見ていくとどうでしょう。
例えば、ユニクロや楽天などの企業は、これからもM&Aを使って企業買収を手がけ、株価を高めていくのではないか・・・。
ユニクロは今月に入って過去最高値の株価となり、もう十分株価が高くなってしまったと思われる読者も多いかもしれませんが、それでもユニクロの時価総額はスウェーデンのH&Mの4分の1です(拙著251頁)。
まだまだ企業価値を高めることが出来る余地はあります。
JT(日本たばこ)にしても、アルトリア(フィリップモリス)とBATとの間で世界の覇権を争っているのですが、いずれは誰かが世界4位のインペリアルを買収することになると思います(拙著223頁)。。
また、これから電気自動車が主流になっていくことを考えると、先日のブログ記事でも書きましたが、株価が安いまま放置されている日産自動車も面白い。
もっともGEなどの異業種の企業がM&Aによって電気自動車に進出してくることも考えられます。
GEも傘下のGEキャピタルが金融危機の影響を受け、株価が低迷(現在、ピーク時株価42ドルの3分の1の14ドル)していることもあり、狙いめかもしれません。
さらにM&A関連で言うと、鉄鋼の分野はこれからも更に合従連衡は進むでしょう。
世界最大のアルセロール・ミタルといえども、世界シェアは7.7%のみです。
ミタルから身を守るため、新日鐵は住友金属工業や神戸製鋼との合併を検討すことも考えられうる。
またミタルは韓国のポスコを狙うかもしれない。
ポスコの株や、買収者となると予想されるアルセロール・ミタル、あるいはGEなどは、何れもNYSEに上場されていますので、日本の投資家の方でも比較的簡単に株式を買うことが出来ます。
いずれにせよ、M&Aという視点から株式投資の世界を見ていくと、今まで見えなかったものが見えてくるかもしれません。
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