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2009年10月22日 (木)

国家安全保障上の問題だ

『これは国家安全保障上の問題だ』

このような記事がアメリカの経済紙『ウォールストリート・ジャーナル』に昨年6月載りました。

気がついてみたらアメリカ最大のビール会社のアンハイザー・ブッシュ(バドワイザーのメーカーです)も、2位のミラーも、3位のクアーズも

全てが外資(アメリカ以外の国の資本)に買収されるか、外資の傘下に入ってしまったのです。

American_beer_market

もう少し詳しく見てみますと、上の図で1位から5位までの全て(全米市場の87%以上を占めます)が外資の傘下に入ってしまっています。

日本酒や焼酎をほとんど飲まないアメリカ国民は、1人あたり日本人の1.7倍のビールを飲んでいます。

この極めて身近な飲み物が、ほとんど全て外資に渡ってしまうということは、アメリカ人にとって『国家安全保障上の問題』に匹敵すると、ウォールストリート・ジャーナルの記者は(大袈裟と分かっていて)書きたてたのです。

キリンはどの辺に位置しているのかというと:

World_beer_market_2

上のグラフの一番右です。

一番左の背の高い会社がベルギーの会社。

2番目に背の高いのが南アフリカの会社です。

世界市場で起きている大きな地殻変動。

これはアメリカやドイツや日本などの大国の企業が世界市場を制覇するということでは必ずしもなくなってきているということです。

ビールではベルギーと南アフリカ。

鉄鋼ではインド(登記上アルセロール・ミタルの本社はルクセンブルグで、ミタル氏はイギリスに居住していますが・・)。

さらに上の2番目のグラフを見ていくと、キリンとサントリーとの経営統合は、世界市場で進む合従連衡を意識して行われようとしていることが理解出来ます。

『M&A新世紀』ではビールだけでなく、たばこ、製鉄、小売り、アパレル、金融などの世界でいったい今何が起きているか、日本のマスコミが伝えていない(伝えることに成功していない)現実を明らかにしたいとの思いで書いたものです。

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