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2009年11月23日 (月)

増資ラッシュ

空前の増資ラッシュだという(11月23日付け日経新聞)。

日立4000億円、NEC1300億円、三菱UFJ 1兆円・・。

ポイントは資金使途だ。

日立を例にとると本当に成長分野に資金が投資されるのか、投資家としてはその辺をじっくり注視していく必要がある。

金には色がないので、もともと(増資を前提としなくても)計画されていた投資案件を、表向きは増資の資金使途として計画書に載せ、実は裏では、借入金返済、赤字補填、株式持合いなどの後ろ向きの金が増えていたということがあってはならない。

それでなくても日本企業の株式持ち合い比率は3年連続で増加し続けている(2006年3月末 11.1% → 09年3月末 12.7%; 拙著『M&A新世紀』117頁)。

増資をしておいて企業間の株式持ち合い比率を高めるとなぜいけないのか。

極端な例を想定してみると分かりやすい。

企業Aは100万株の株式を発行していて、営業利益100億円を上げている(株価は1株10万円がついているとする)。

企業Bは50万株の株式を発行していて、営業利益75億円を上げている(株価は1株15万円がついているとする)。

企業Aが21万株を増資して全額企業Bに持ってもらうとする。

企業Bの所要資金(株式購入資金)は、210億円。

企業Bは210億円を増資で調達。1株15万円、14万株を全株企業Aに買ってもらう。

さて企業Aと企業Bとが上げる営業利益の合計は175億円で変わらず、株数だけが増えている。

株価は企業Aが1株10万円から1株8.3万円に、企業Bは1株15万円から1株11.7万円に、それぞれ下落していることになる。

2006年から3年連続で日本企業が持ち合い比率を高めたということは、その分、株価の下落要因として働いたということである。

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コメント

現経営陣も資金繰りが大変ですね。
NECと日立は経営者に恵まれなかったですね。
そのツケを現経営陣が処理している感じでしょうか?
昔の経営者がやった付けを払わされている感じがします。

投稿: マンガー | 2009年11月24日 (火) 00時50分

A社では、一番優秀な人材は、研究開発部門につき、次に優秀な人たちは生産管理、3番目が内部管理(経理、労務管理)、そして最後が営業という順になっていると言います。B社では、歴代社長は○○工場の出納課長出身者が多いとか・・。

そういった社内派閥とか、主流、非主流といったものを無くしていかないと、優秀な人材が上に上がっていかないような気がします。

投稿: 岩崎 | 2009年11月24日 (火) 06時32分

歴代の人はみな同じ工場だったのですか。
日立の場合、永守さんが日本サーボを売ってもらうために交渉をしましたが、古川さん以前は全員技術系だったので売ってくれなかったみたいでしたし。
大企業ほど、いい人が上に立たれることを希望したいですね。

投稿: マンガー | 2009年11月25日 (水) 08時05分

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