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2009年11月17日 (火)

核兵器無き世界の構築とテロとの戦い

戦後長いこと、アメリカ大統領が日本を訪問することはありませんでした。

アイゼンハワーも、ケネディも、そしてケネディの後を継いだジョンソンや、ウォーターゲート事件を引き起こしたニクソンも、誰一人として、大統領として日本を訪問したことはありません。

(【注】ウォーターゲート事件については『こちら』の映画(DVD)が面白い)。

米国の大統領が初めて公式に日本を訪問したのは、1974年(詳しくは『こちら』)。

フォード大統領です。

* * *

さて今回のオバマ大統領による日本訪問。

サントリーホールでの演説など人々の記憶に残るものとなりました。

私としては今から次回の訪問に期待してしまうのですが、次回は、オバマ大統領が東京ではなくて、大統領専用機をいきなり広島に着陸させたらどうでしょうか・・。

プラハ演説をもう一歩進め、核兵器無き世界を構築するために、そして更にテロとの戦いに勝利するために、例えば、こう演説したら・・。

* * *

『【1.核兵器無き世界の構築】

多くのアメリカの国民は、日本との戦争を早く終わらせるために核兵器を使用したと信じているが、私はアメリカが核兵器を使用したのは間違いだったと思う。

戦争を早く終わらせるためだけであれば、原爆を北海道の原野に落として、その威力を知らしめることが出来ただろうし、あるいは東京湾に落として、次は(当時の日本軍指導者たちがいた)東京の街だ、と迫ることも出来たはずだ。

こうした方法によっても原爆の威力を当時の日本軍の指導者に十分に示すことが出来て、これ以上戦争を継続することは無意味であることをさとらせることが出来ただろう。

少なくとも月曜日の朝、8時15分。広島の市民が仕事場に出かけようとしている、まさにその時間帯に広島に原爆を落とす必要はなかったし、原爆投下の数分前に観測用ラジオゾンデを吊るした落下傘を3つ落として、地上の人々がものかげから出てきて、空を見上げるように仕向ける必要など無かったはずだ。

当時のアメリカの指導者たちは核兵器の威力をソ連を始めとする他の国々に誇示することが必要だと思ったのだろう。そうすることで、第二次世界大戦が終わった後、アメリカが世界のリーダーシップを勝ち得ることを望んだのかもしれない。

しかしそのために10数万人もの市民の生命を犠牲にすることがはたして必要だったのであろうか。そんな方法によらなくてもアメリカは自由と平等と民主主義という、自らよって立つ価値観や理念が、中央集権主義や国家主義、官僚主義よりも優れていることを世界に示すことが出来たと思う。

アメリカは崇高な理念のもとに建国された国家であり、アメリカ人はそのことを誇りに思っているのだ。

アメリカは他の多くの国々がそうであったように、過去において間違いを犯したこともあった。しかしアメリカ人はそのことを積極的に認める勇気も持ち合わせている。

いま広島のこの地において、われわれは核無き世界の構築に向けて努力していくことを誓う。そしてそれはアメリカが核兵器を使用した唯一の国であるという歴史的事実と正面から向き合うことを出発点として進められるべきものだ。そう私は信じている。

【2.テロとの戦い】

いま世界の人々はテロとの戦いを進めている。我々はテロによって自分たちの要求を実現しようとする卑劣な考えには屈服しない。

またかつて欧州の指導者たちがヒトラーに対して弱腰で交渉に臨んだことが、ヒトラーを助長し、結果的に多くの悲劇をもたらしたという歴史的事実を忘れることはしない。

しかし一方で「目には目を」との考えを単純に推し進めていってもテロとの戦いには勝利することは難しいであろう。このこともわれわれは過去の歴史から学んでいる。

異なった宗教や信条を持つ世界の多くの人々は、アメリカは傲慢で一方的だと決め付けている。

しかし今、われわれは、広島のこの地において、われわれには過去の過ちを認める勇気があることを世界の人々に示した。

われわれは世界の人々、われわれとは異なった考えや信念を持つ人々と対話をする用意がある。

若者が自らの生命を落としてまで、そして罪の無い人々の生命を犠牲にしてまで、実現しようとしているのはいったい何なのか。

こういった無意味な行動を止めるのだ。

われわれとしてもいつまでもイラクやアフガニスタンに兵を置き続けるのを望んでいるわけではない。

どうかこのことを理解して欲しい。アメリカはチェインジする勇気を持ち合わせている国であるということを・・・異なった考えや信念を持つ人々と対話をする勇気を持っているということを・・・』

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コメント

ぜひ、オバマ大統領に読ませたい、感動的な演説です。これこそノーベル平和賞に値するものです。広島で実際にオバマ大統領がこのような演説をしたら、この岩崎さんのブログは後世まで語り継がれると思います。

投稿: 西森純三 | 2009年11月17日 (火) 09時15分

オバマの核廃絶の発言はリップサービスに過ぎないのではないでしょうか。

核軍縮は単なるお金の問題ですし、そもそも米国民は廃絶を望んでいないでしょう。

軍事・外交・経済で常にトップであらねばならないというのがアメリカの本意であり、それは核なしではあり得ないと思うのです。

オバマの天皇陛下に対する敬意が、国内で物議をかもすような傲慢な側面も決して見逃してはならないと思います。

投稿: キズキ | 2009年11月17日 (火) 14時06分

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