『金融日記』
『金融日記』というブログで、拙著『M&A新世紀』を紹介して頂きました。現在アマゾンで品切れ状態ですが、そのうち直ぐに入荷になると思います。
ところで、2日(月曜日)にテレビ東京のNEWS FINEに出演させて頂いた際にもお話しましたが、私は鉄鋼に関しては、これから先、業界再編が起きる可能性が高いと見ています。
昨日の日経新聞によると、粗鋼生産が世界で急回復しており、宝山鋼鉄の7~9月期の粗鋼生産量は何と四半期では過去最高を記録したと言います。
アルセロール・ミタルの7~9月期生産量も、4~6月期比、24%増を記録。
アルセロール・ミタルの株価は、昨年のリーマン・ショックで15ドル台にまで急落しましたが、今年3月後半からじりじりと上がり始めました(現在は33~42ドルのレンジ)。
こういった中で、キリン・サントリーの統合報道を多大な関心を持って受け止めたのは、実は日本の鉄鋼関係者だったのではないでしょうか。
これまで新日鐵はアルセロール・ミタルに買収されてしまうことを恐れて、住友金属工業や神戸製鋼との株式持合いを強めてきました。
しかし独禁法のこともあり、彼らと合併することまでは決断出来ませんでした。
このような状況下で、キリン、サントリーの統合が報道されたのです。
統合の結果、ビールの世界で上位2社の日本国内での市場占有率は87%超になります(キリン・サントリー:49.6%、アサヒ:37.8%; 2008年ベース)。
ビールの世界で斯様な業界構造が許されるのであれば、鉄鋼の世界でも、新日鐵・住金・神戸鋼と、JFEといった2大グループによる寡占構造が許されるかもしれない。
キリンの18倍もの生産量を誇るインベブや新日鐵の3倍近くの粗鋼を生産しているアルセロール・ミタルのような巨大メーカーが海外で出現してきている今、日本国内だけの枠組みで独禁法を考えてみても意味がなくなってきています。
世界の粗鋼生産量の51%を占める東アジア(中国、日本、韓国)。
ここでのアルセロール・ミタルの次の一手は如何なるものか。
これに対して日本の各社はどう対応するのか。
何れにせよ、近い将来、何らかの動きが鉄鋼業界にあると思っています。
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コメント
私も「M&A 新時代」を読みました。
私のような素人にも非常に分かりやすく株についていろいろ考えるようになりました。
読んでて思ったのは資金を調達できれば、発展途上国のような国の企業の方がM&Aには有利なんでしょうか?
投稿: 名前が茄子 | 2009年11月10日 (火) 23時02分
名前が茄子様
発展途上国のような国の企業の方がM&Aには有利ということはないと思います。
(1)まずターゲットが途上国企業の場合ですが、途上国はM&Aの法制が整備されていなかったり、そもそも会社が買収されることに国民が感情的な反発をしたり・・ということで、より一層難しい側面もあります。(ただし為替が安ければ、会社の値段は相対的に安くなりますが・・)
(2)次に買収者が途上国企業の場合ですが、これも買収される側の従業員や株主からすれば、途上国企業に買収されてしまうことについて、感情的な反発が出てくることがありえます。
また何か疑問に思うことがありましたら、お知らせ下さい。
投稿: 岩崎 | 2009年11月11日 (水) 11時47分
返信に気づきませんでした
どうもありがとうございました
投稿: 名前が茄子 | 2010年4月23日 (金) 11時44分