年末・年始の過ごし方
年末・年始。 私の回りでは「これといった予定を作らず本を読んだり映画を見たりして過ごす」という人が多いようです。
(1)映画
『アバター』の人気が凄いとの記事がウォールストリート・ジャーナル紙でも特集されていました。公開後3日間の米国での観客動員数(注:確定値ではない)は、歴史上最多だったとか・・(詳しくは『こちら』)。
(2)本
私がよく行く本屋さんで今週売上げ第1位だったのは『フリー:〈無料〉からお金を生みだす新戦略』。現在アマゾンでも売上げ第1位です。
これはニューヨークタイムスでもベストセラーとなった本の日本語版。
そのほか私が最近読んで面白かった本をご紹介しておきます(一部過去のブログ記事とかぶります)。
金融日記というブログ(『こちら』)で紹介されていた『鳩山由紀夫の政治を科学する』。この本の各章には「コラム」と称する、ちょっとした小話が出てくるのですが、これが結構興味深く読め、この本の面白さを倍増させています。
(例えば第1章に登場するコラムのタイトルは、『鳩山論文を読む「お見合い問題」』。このコラムでは、鳩山由紀夫さんの論文、「生活の中における情報と意思決定」の中で取り上げられているという「お見合い問題」について紹介しています。
「お見合い問題」とは、別名「秘書(採用)問題」、「海辺の美女(ナンパ)問題」などとも言われ、何名かの候補の中から最適な人を選ぶための数学の問題とのこと)。
この本の筆者の一人、竹内薫さんは、知る人ぞ知る『たけしのコマ大数学科』(フジテレビ)に出てくる数学の先生なんですね。
小説で面白かったのは、『外事警察』。
実はこれは11月から12月にかけてテレビドラマとなって放映されていたものです。『本』とテレビとでは内容がかなり違い、どちらも楽しめます(本の方はかなりテンポ良い文体で書かれており、さっと読めてしまいます)。
『テレビ』(石田ゆり子の演技が良かったです)は1月10日にBSで再放送されますので見逃された方はどうぞ。
デルタ航空で爆破テロ未遂事件があったり(詳しくは『こちら』)して、『外事警察』の世界も一気にリアリティを増してきました。
今から10年前、1999年の著作であるにもかかわらず、今読んでも十分通用するのが末永徹さんの『メイク・マネー!―私は米国投資銀行のトレーダーだった 』。
本書にはこんな一節があります。
「会社の資本と信用を貸与して博打を打たせ、儲けの一定割合を報酬として渡す。これは、本来、会社にとってしてはならない危険極まる取引である。トレーダーにしてみれば、とにかく大きい相場を張って、勝てばボーナスを手に入れ、負けても失うものは何もないという状況に置かれたことになるからだ。本当の博徒の世界であれば、負ければ体が傷つき、あるいは命を狙われたりすることが歯止めになるのだろうが、証券会社はそういう管理手法をとる訳にはいかない。
いかにしてトレーダーに会社を食い物にする気を起こさせないか。ソロモン・ブラザーズはこの難問を驚くほど単純に解決していた。ソロモンは、ただ輝かしい金儲けの履歴を誇る上位トレーダーが下位のトレーダーを支配することによって、管理運営されてきた。上司に説明できないポジションは持てない、それがソロモンの唯一のルールである。そして、そのトレーダーの連鎖の頂点にメリウェザーがいた。メリウェザーの目がどこかで光っていることが、すべてのトレーダーに会社の金を誠心誠意使わせる究極の力であった。」
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さて今年もいよいよ残すところあと僅かとなりました。
みなさん、どうぞ良いお年をお迎え下さい。