最初の5店舗までが大変だった
一代で日本全国に飲食チェーン店舗網を確立し東証一部上場にまで育て上げた創業社長の言葉です。
『最初の店を成功させるのが一番大変でした。今風に言うと、ビジネスモデル確立の過程ですね。
失敗もたくさんし、首吊って死のうかと思ったこともありました。
やっとのことで、1号店を軌道に乗せ、「こうすれば上手く行く」ということが分かって、2号店を出しました。
けれども立地が違うからまた上手く行かない。1号店のときとは違った分野で苦しみました。
しかし大きな苦労は5店舗まで。
その頃になるとだいたい商売の勘どころが分かってきます。
フランチャイズ形式も取り入れお蔭様で今ではそれなりの店舗網を築きあげることが出来ました。』
ところで、起業家セミナーとか起業家の人たちを対象としたパーティー、異業種交流会などに顔を出しますと、圧倒的多数の出席者は起業家の方たちよりも、起業を支援するベンチャー・キャピタリスト、税理士、会計士、弁護士、政府関係者(独立行政法人やその他の団体)、金融機関などです。
起業をサポートする人たちは多くても、リスクを取って起業する人が少ない。(あるいは起業家たちは日々の商売、資金繰りなどで苦戦していて、この種の会合に出る余裕がそもそもない?)
シリコンバレーなどと違って、日本では大学を出た優秀な若い人がリスクを取りたがらないように思います。
それだけではありません。社会全体の最近の風潮として何でもかんでも政府に支援を求めすぎている(役所の方でも権限が拡大するから手を広げる傾向にある)ように思います。
自分でリスクを取って、自分で考えて事業を営む。
このことは辛く厳しいものなのでしょうが、上述の創業社長によれば、「半面、見方を変えれば面白い」。
「その面白さを一人でも多くの人に知って欲しい」-60代後半なのでしょうか、色つやの良い顔立ちで創業社長はこう話していました。
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コメント
先日、学生時代の親友と久しぶりに逢いました。彼は現在はwebの製作を中心とした会社を興し、現在2期目、従業員も数名雇っています。多忙で色々大変だと話していました、がしかしその目は明らかに希望に満ち溢れていたのが私には非常に印象に残りました。。
日本ではなぜ起業家が育たないのか。。
①従来型の日本の社会システム②教育の問題③起業に対する社会的評価④再チャレンジに対する支援、等々あるのではと考えさせられます。
また起業家を取り巻く関係者もそれぞれの分野でサポートするものの、アメリカのそれとはレベルも内容もまだまだ未熟で支援内容にも限界があるのかとも思います。
岩崎さんはこの辺に関してはどのように考えられますか。
日本における起業は今後拡大していく可能性はあるのでしょうか?
投稿: コジコジ | 2009年12月 5日 (土) 00時07分
コジコジ様
かつて外資系投資銀行で働いていた時、インド出身の仲間と一緒に仕事をする機会に恵まれました。
付き合いを深めていくと彼らの本音が伝わってきます。
「インドで社会の下に目をやるとぞっとする」
中国でもインドでも社会の格差は日本の比ではありません。
したがって超人的な努力を重ねて上に行こうと必死の努力する人たちが出てくる。
日本では今のところワーキング・プアや派遣切りの問題があると言っても、インドや中国ほどの格差はないんだと思います。
今のままでも、そこそこ何とかなりそうだから、「敢えてリスクを取ることはしない」-日本の若い人たちにはそういうスタンスが多いのでしょうか?
しっかりとした統計はないのですが(調べればあるのでしょうが)米国のシリコンバレーのベンチャー企業を訪問すると中国やインドから来た人たちが始めたベンチャー企業が非常に多いのに驚かされます。
* * *
ところで起業家をサポートするVCたち。日本ではVCの質が人によってずいぶん違います。
10人に1人ぐらい、「この人は素晴らしい」と思う人に出会うことがあります。
同じく10人に1人ぐらい、世の中を勘違いしている人(要は「俺はカネを出してやるんだから」といったスタンスの人)に出会うこともあります。
日本では、アメリカのKleinerやSequoiaのようなVCはなかなか出現してきませんが、あくまでも有望なVentureがあって初めて有能なVCが出現してくる(主役はVentureであってVCではない)のであって、その逆ではないような気がします。
投稿: 岩崎 | 2009年12月 5日 (土) 14時56分