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2009年12月23日 (水)

言葉の難しさ

高校時代にAFS留学していた時。オレンジ・カウンティー地区の留学生たちが2~3ヶ月に一度集まり、AFSディナーと称して夕食を共にしました(地区のAFSボランティアの人たちも一緒です)。

留学生の1人1人が簡単にスピーチをして近況を紹介します。10数名の留学生の中でも英語が直ぐに上手くなる人、なかなかアクセントが抜けない人などいろいろでした。

一番最初に外国人アクセントが無くなり、完璧に米国人の英語を喋るようになったのは、ドイツ人留学生。Fountain Valley High School に通うブリジットという名の女生徒でした。

彼女に秘訣を聞くと:

『You have to use it.』(言葉は使わなければ上手くならない)

* * *

私は最後までアクセントが抜けず、『日本人英語』を話していましたが、それでも今振り返ると自分のこれまでの人生で高校時代が一番英語が上手かった気がします。

スタンフォードに留学していた時代は英語を読むのが早くなりましたが、それでも米国人学生に比べると6~7割くらいのスピードでしかなく随分苦労しました。

外資系投資銀行に勤めていた時代は上司が英国人だったり米国人だったりしましたので、英語は職場の中で生き残っていく為に必要な道具。ニューヨークにいる米国人ボスに簡潔に『ボイス・メッセージ』(要は留守録のことです)を残す為、一度録音してみて再生をかけてみて聞き直してみると気に入らず、再度録音しなおす・・こういったことも何度もしていました(確定ボタンを押すまで何度でもやりなおせます)。

* * *

ところで、外資の投資銀行で生き残るために一番必要なのは何でしょうか。言葉でしょうか。

私が思うに、それは、『言葉であって言葉でない』。

グローバルなベースでチーム・プレーをすることが求められる投資銀行部門で重要視されるのは言葉の裏にある『信頼』です。

米国のある投資銀行家はこう私に話しました。

『実は君の前任の○○氏の言うことは信用出来なかった。彼が「大きなM&Aの可能性がある」というので米国でチーム編成をして準備して日本に出張してきても、全くの無駄骨に終わることが何度もあった。我々の間では「もう日本の言うことは信じるな」と言い合うようになっていたんだ』

日本人はあまり気づかないかもしれませんが、欧米人の企業幹部には湾岸戦争などで軍隊を経験した人も少なくありません。戦場で敵を前にしたとき一番重要なのは仲間が信頼できるかどうかです。

たとえ日本人のアクセントの強い、トツトツとした英語であっても『あいつの言っていることは信頼できる』、そういった信頼関係を築いていくことがグローバルなベースで仕事をしていく上で必要です。

そういった意味で、『Trust me』との鳩山首相の言葉は余りに重い、と思います。

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