メイク・マネー!
『明神氏が私たちにカジノで勝ち続けるリスクについて語ったことがある。出入り禁止になる、闇討ちにあう、という次元の話ではない。最大のリスクは、カジノの全財産より多く勝ってしまうことだ、と彼は言った。そうしたら、払ってもらえない、と。』(末永徹著『メイク・マネー!』237頁)
この本は東大法学部在学中に公務員試験上級に合格するも1987年卒業と同時にソロモンブラザーズに入社し、10年間トレーディング部門で活躍した著者が、投資銀行の内幕を余すところ無く活写したもの。
私がこれまで『投資銀行』、『プロジェクト・コード』などで描写してきたのは、投資銀行の中の「投資銀行部門」の世界でしたが、この本は同じ投資銀行でも部門が違うトレーディング部門を描いたものです。
部門が違えば別会社、別業種のような違いがあるのですが、それでも両者に共通するところも多くあります。このため本書で描かれている世界は私にとって非常に身近に感じられました。
これから外資系投資銀行に入ってトレーダーになろうと考えている若い人たちは是非読んでみると良いと思います。
それにしてもソロモンはトラベラーズに買収され、スミス・バーニーと合併させられ、さらにトラベラーズはシティ・バンクと合併し、いまそのシティがサブプライムで大きく傷つく状況となってしまいました。本書は弱肉強食が支配する、こうした米金融業界の凄まじさを垣間見ることが出来る秀作だと思います。
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