リコールのコスト
朝日新聞報道によると「トヨタのリコールは延べ1千万台近くに上っている」といいます(1月30日、夕刊)。
一方、Yomiuri Online ではトヨタの世界におけるリコール対象車は「460万台以上」とした上で、トヨタはCTS(アクセルペダルの製造メーカー)に「数百億円とみられるリコール費用の一部負担を求める考えだ」と報じています(1月30日)。
1月23日の毎日新聞報道では、トヨタ幹部のコメントとして「今回のリコール費用がいくらかかるかは言えないが引当金の範囲内で手当てできる」とのこと(【注】これはアメリカでの230万台リコールが報じられた時点での発言)。
いったいリコールに係わるコストはどの位になるのでしょうか。
リコールの告知を出して、消費者(トヨタ車オーナー)が持ち込んだクルマを修理工場が修理(部品交換)をする・・・このことに係るコストを仮に1台1万円と大胆に想定(あくまでも仮定です)すると、
朝日新聞報道ベースでは、リコールのコストは1000億円(1万円×1千万台)となります。
トヨタの発行済み株数は3,448百万株(平成21年11月12日現在)。
よって1株あたりにすると、リコールコストは、29円。
仮にリコールコストを1台5万円と想定しても、1株あたりのリコールコストは、145円。
一方、トヨタの株価は1月21日の4,190円→29日の3,490円と、この間に、700円下落。
これを株式市場の過剰反応と見るかどうかは、リコールに伴う企業イメージ悪化、今後の新車販売への影響などをどう予想するかによって違ってきます。
トヨタはアメリカ版のホームページ(『こちら』)ではリコールについて詳しく報じていますが、日本版(『こちら』)では報じていません。
これだけ日本の新聞にも書かれ、株主も心配しているわけですから、リコールのコスト、1株当たり利益への影響などについて詳しく開示した方が、逆に株主の不安は和らぐと思います。
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コメント
全部保険をかけてますよ^^
投稿: Tiger | 2010年2月 1日 (月) 09時24分
Tiger様
全部保険をかけているのであれば、トヨタ幹部の「今回のリコール費用がいくらかかるかは言えないが(注:230万台分のリコールについては)引当金の範囲内で手当てできる」とのコメント(1月23日、毎日新聞報道)はやや適切でないように思えます。
少なくとも私には「引当金勘定を取り崩して対応せざるをえない」ように読めます。(その分、「受け取り保険金」で相殺できるということなのかもしれませんが・・。)
また最終的に負担することになる保険会社はどこなのでしょう。まさか、あいおい損保(トヨタが33.4%出資)ではないとは思いますが・・。
いずれにせよ、リコール報道が主因となり、1月21日に比べトヨタの時価総額は、2兆5500億円減少しているわけです。
全部保険をかけていて損益上の影響が無いのであれば、その旨を開示した方が、株主に対して親切だと思います。
投稿: 岩崎 | 2010年2月 1日 (月) 22時42分
確かに開示は必要かもしれませんね。
ただ通常は、毎年プレミアムを払い引き当てを積んでおります。(トヨタは4000億ほどだったかと)
そして、元受け会社はこの規模のものなので当然再保険をかけております。
いずれにしても、
日本のメーカーが不当な扱いを受けることのないよう祈りたいものですね。
投稿: Tiger | 2010年2月 2日 (火) 10時35分