日経CNBC
昨晩、日経CNBC『ヴェリタス・トーク』という番組に出演しました。
再放送は今晩これから深夜2:11~と、今日、3月30日(火)の 18:15~、および19:06~です。
携帯電話機器(端末機器)の分野では韓国のサムスンやフィンランドのノキアのような会社が世界では存在感を示し、日本のメーカーは苦戦を余儀なくされています。
採算が取れないことから、これまでに多くの会社が実質的に撤退してきました(カッコ内は実質的な撤退を発表した年。他社への事業譲渡を含む)。
2001年 デンソー
2002年 ケンウッド
2007年 サンヨー
2008年 三菱電機
2008年 ノキア(日本市場から撤退を発表)
2009年 東芝(国内生産からの撤退)
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いまから10年ほど前、私は日本の総合電機メーカーA社幹部の方とロンドンで行なわれた「欧州機関投資家向け説明会」に出席していました。
説明会を無事に終え、夜の内輪の打ち上げの席でこんな話を耳にしました。
「一つの携帯機器からボタン一つを押すことによってドコモとか au とかケータイの通信会社を自由に選べる、そんな機器の出現も将来、技術的には可能になるかもしれません。消費者は自分が気に入った、使い勝手の良い端末を購入する。その後で、実際に電話をかける時に、通話相手に応じて、どこの通信会社を選ぶか決断すれば良いという考え方です」
なるほど固定電話の世界では、電話をかける段になってNTT経由とかKDDI経由とか電話会社を選ぶことが出来ます(当時は例えば0077を付けてから電話をすればKDDI経由でかけることが出来ました)。
仮に将来ケータイの世界でこれが実現すると、携帯電話ビジネスの収益は、通信会社から機器メーカーに移転するようになります。
携帯の通信会社は、水道会社、ガス会社などのような単なるユーティリティ・メーカーになってしまう。
しかしそれは技術の進化と共に起こりうる「必然」なのではないか・・
そんなことをロンドンで考えていたのが、いまから約10年前。
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しかし10年たってもA社幹部が話していたような世界はなかなか実現しませんでした。
本日のYomiuri Online 記事によれば、ようやく「SIMロック解除」の動きが実現に向けて動き始めたとのことです。
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(Yomiuri Online記事)
総務省は27日、携帯電話端末を、通信契約した携帯電話会社経由でしか使えないようにしている「SIMロック」について、解除するよう携帯電話会社に求める方針を固めた。
2010年末から発売される次世代携帯電話の端末を対象とし、法制化による義務付けも検討する。利用者が、端末と携帯電話会社を自由に組み合わせて選べるようになる見通しだ。
通常の携帯電話の端末には、電話番号や契約内容などが記録された「SIMカード」が差し込まれており、海外ではSIMカードを取り外して差し替えれば、どこの会社の端末でも使えるのが一般的だ。
日本では、端末は特定の携帯電話会社向けに作られており、別の会社向けの端末を使うには通信契約も切り替えなければならない。SIMカードを他社向けの端末では使えないようにするSIMロックがかけられているためだ。
総務省は、ロックが解除されれば利用者の選択の幅が広がり、企業間の競争が激しくなって通話料の値下げや端末の性能向上などにもつながるとみている。そのため、NTTドコモなどの携帯電話会社に、契約から一定期間がたった次世代携帯電話の端末について、希望者にはSIMロックの解除に応じるよう求める。現行の端末を使っている利用者は対象外とする。
日本の携帯電話業界では、携帯電話会社がメーカーからすべての端末を買い上げて販売している。メーカーは端末を特定の携帯電話会社向けに開発するため、海外で販売することができず、世界市場でのシェア(占有率)低迷の一因となっている。その閉鎖的な開発・販売モデルは、特殊な生態系が残る太平洋の島々に例えて「ガラパゴス状態」とも呼ばれている。
投資銀行にいた時、私は主にカバレッジ(coverage)を担当していました。日本語で言うと「営業」になるのでしょうか。
企業のニーズを聞き出し(あるいは掘り起こし)、M&Aの専門部隊につなぐとか、株式や債券の引受部隊に繋ぐのが主たる役目です。
もっとも日本の顧客の場合、投資銀行のカバレッジ部門が獲得したディール(案件)をすぐにM&Aや引受部門に振るのを嫌がることも多く、
結果、カバレッジ・オフィサーがディールの細部にわたって関与することも少なくありません。
また日本での陣容がさほど大きくない投資銀行の場合、M&Aについてはカバレッジ・オフィサーが責任者となってM&A専門部門の若手を使って仕上げるという体制を取っているところもあります。
ただカバレッジの基本はあくまでも「ディールの獲得」。
取ったディールの処理は極力専門部隊に任せて、新しく次のディールを獲得することが求められます。
ディール獲得を常に求められるのはカバレッジ・オフィサーの宿命ですが、基本となる武器はプレゼンテーション力です。
どの営業現場でも同じだと思うのですが、プレゼンの巧拙はディールの獲得にかなり影響します。
如何にしてプレゼンの腕を上げるか。
『こちら』のようなビデオ(YouTube)も参考になるかもしれません。(画面が現れてから16秒くらい後に音声が始まります)。
先週はタイのバンコクに出張していました。
(上の写真はオリエンタルホテルのAuthor's Wing)
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大泉啓一郎さん(『老いてゆくアジア』の著者。『こちら』参照)が言うように、アジアでも人口ピラミッドの高齢化現象が進んでいて、都会だけを見ていても本当の現実は分らない - これは事実だと思います。
にもかかわらず、単純に(同じ都会の)バンコクと東京とを比較してみても、バンコクは活気、覇気に溢れ、街全体から躍動感のようなものが強く感じられます。
おそらく日本以上の格差社会なのでしょう。
街中のショッピング・センター(Emporium)には、ベントレーなどの高級外車のディーラーが出店しています。
「輸入車には高い関税がかかります」と案内してくれた現地タイの大手銀行の副頭取(EVP)。
値段を見たら日本の約3倍。
日本円にして 9,000 万円近いクルマもありました。
一方、この銀行の社員食堂で食べた昼食は 75 円。
「日本のM銀行(筆者注:そう言えば日本の3大銀行は何れもMが頭文字でした)の駐在員の方たちも時おりこの食堂に食べに来ています」とは先の副頭取の弁。
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成長するアジアの「波」に乗ろうとバンコクには多くの日本企業が進出してきています。
例えば前述の Emporium ショッピング・センターには、日本の大戸屋なども出店しています。
メニューを見ましたら一見したところ献立は日本と変わらず、値段も日本とほとんど同じように思えました。
そして私が見た店(2つのEmporium ショッピング・センターに入っている2店)は何れも現地タイの人たちによってほとんど満員の盛況振りでした。(もっとも大戸屋はタイに20店舗もあり私が見たのはそのうちの1割に過ぎないのですが・・)
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大手銀行の社員食堂で75円で昼食を食べられる(市内にはもっと安く昼食を食べられる店がたくさんあります)。その一方で、大戸屋のような店が日本と同じような価格帯でメニューを提供しても繁盛する - こういった現実がこの街にはあります。
タイではタンマサート大学(『こちら』)と並び、最も優秀な大学とされるチュラーロンコーン大学(詳しくは『こちら』)。
この大学のキャンパス近くスターバックスではコーヒーを飲みながら教科書を読んだりノートを取ったりする学生たちで賑わっていました。
(チュラーロンコーン大学)
『タイの将来は教育にある。教育は最も重要な国家プロジェクトです』
出張中にお会いしたタイの文部省(Ministry of Education)事務次官の方はこう力説していました。
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ところでバンコクで泊まったオリエンタルホテルは辻仁成の小説『サヨナライツカ』の舞台となったホテル(奥さんの中山美穂が主演した映画の方を知っている方も多いかもしれません)。
チャオプラヤー川のほとりにあるこのホテルは昔ながらの情緒を残していて、作家のサマセット・モームなども長期滞在していたとして知られています。
私がスタンフォード大学のビジネススクールに留学(1978-80年)していた時期に、同じスタンフォードのエンジニアリング・スクール(大学院)に留学していたAさん。
そのAさんの娘さんは桐朋学園大学を出て、今やプロのバイオリニストとして活躍しています(岡部まちさん。彼女のブログは『こちら』)。
先日Aさんから連絡を頂きました。娘さんの岡部まちさんが 「2nd Album Release 記念公演」を渋谷 JZ Brat で行うとのこと。
昨晩行って聞いてきました。
以下はJZ Brat のBulletin に紹介された文章。
「ヴァイオリニストの枠を超え注目を浴び、コンポーザーとしての評価も高く、楽曲提供アルバム『PIANO DANCE』は発売以来連続してiTunes ダンスチャートで1位を獲得。
そんな彼女がセカンドアルバムリリースパーティーを開催。
ポップでグルーヴ溢れる豪華なサウンドを、彼女ならではのハイセンスな味付けでお届け」
アルバム PIANO DANCE (下図)は『こちら』。
岡部さんのファースト・アルバム(下図)は、『こちら』で試聴できます。
セカンド・アルバム「Candy girl 」も間もなくネット購入可能になるとのことです。
私は 2007年度から毎年大阪経済大学の大学院で講義をしてきています。
来年度(4月から始まる2010年度)で4年目になりますが、こうした席で若い方々にお話しするのは、これからの時代、ますます「プロフェッショナルになる」ことが求められるということです。
プロフェッショナルの条件はいろいろあるのでしょうが、私は難しく考えていません。「あることについて普通の人よりも長けている」といったイメージです。
私の場合は興銀の審査部でプロジェクト・ファイナンスの審査を5年間も行ったので、キャッシュフローを引くことについては普通の人よりもたくさん経験してきました。
それが後にLBO(Leveraged Buyout)ファイナンスの分析やM&Aの企業評価の際にも役に立ってきたのだと思っています。
ところで、キャッシュフローを引くというと難しく聞こえますが、ポイントの一つはエクセルのスプレッド・シートの展開力です(私がビジネススクールにいた時はBASICでプログラムを書いていました)。
そしてもう一つが、バランスシートやインカム・ステートメント(日本で言うPL)を読む力。
こちらについては会計(Accounting)の勉強をしていくことが必要になります。
スタンフォードのビジネススクールの時もそうだったのですが、会計学は好きな人は好きなのですが、嫌いな人は嫌い。経済学などと違って、面白さが分るまで結構時間がかかります。
そういった方たちにお薦めなのが、副読本の活用。一見したところでは無味乾燥な会計学を面白く説明する本が最近は結構たくさん出ています。
たとえば、『決算書でよむ企業と業界力』。
これは大ヒット(9万部も売れたとのこと)した『財務3表一体分析法・・』の著者による最新作です。
この本の特徴は、各社の財務諸表を鳥瞰図的に捉えることが出来るということ。
投資銀行などでピッチブックを作らされている若い方たちは、既に何でも図表化しグラフ化することに慣れているので、この種の本は「今さら・・」と思われるかもしれません。
しかし一般の人たちはなかなか鳥瞰図的にものを捉える機会に乏しいのではないでしょうか。そういった人たちには意味ある一冊だと思います。
実際のところ、ある会社が筋肉質なのかメタボ体質なのか、鳥瞰図的にさっと財務諸表を見るだけでも、かなりのところまで分るものです。
もちろん一見スリムでも隠れ肥満(内臓脂肪)の人もいれば、逆に豊満な人でもお相撲さんのように内臓脂肪が余り無い人もいます。
キャッシュフローを引く上では、財務諸表の裏側にある企業体力、事業素質を読み解くことが必要になってくるのは言うまでもありません。
私は中近東へはこれまでにサウジアラビアを初めとして何度か出張で足を運んだことがあります(注:イラクに行ったことはありません)。
オリーブなのでしょうか、街に漂う独特の匂いと、そしてどこからともなくコーランを読む声 (注:実はこれはアザーンの声だったようです・・・下記のこのブログ記事のコメント欄をご参照ください) が聞こえてきて、街中に響き渡るのが印象的でした。
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さて先週土曜日から公開されているのが、今年度アカデミー賞(作品賞)を受賞した『ハート・ロッカー』。
これは2004年夏のイラクを舞台にした映画です。
イラクでの豊富な取材経験を持つマーク・ボール氏による脚本は、本作を非常にリアリティーの高いものへと仕上げています(アカデミー賞:脚本賞を受賞)。
監督はコロンビア大学大学院で映画を学んだというキャスリン・ビグロー監督。
彼女はこれまでにも 『K-19』 など緊迫感に満ちた作品を作り出してきています。
そして今回。
ハート・ロッカーの映像は、観ている人をして、あたかも自分がイラクの戦場にいるかのような臨場感を持たせます(アカデミー賞:監督賞を受賞)。
死の淵に立つことを余儀なくされる爆発物処理班の男と、その背後で聞こえるコーランを読む声・・。中近東独特の乾燥した空気と匂いがこの映画からは伝わってきます。
The rush of battle is a potent and often lethal addiction, for war is a drug...
映画ハート・ロッカーはこの言葉で始まりますが、これは戦争記者(War Correspondent)のChris Hedges の言葉(詳しくは『こちら』)。
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ところで日本のマスコミでも報じられていますが、キャスリン・ビグロー監督はアバターのジェームズ・キャメロン監督の元妻。
どちらがアカデミー賞を取るか注目されていましたが、元妻の方が栄冠を獲得しました。
アバターの3D映像の見事な美しさは驚嘆ものでしたが、どちらか一つの映画を選ぶとすれば、私もハート・ロッカーの方に軍配を上げると思います。
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イラク戦争で亡くなったアメリカ兵はこれまでに4,371名。
3,452名(79%)が30歳以下。
3,265名(75%)が白人。
Operation Iraqi Freedom と称する米軍の作戦名のデータベースに詳細なデータが載っています(詳しくは『oif-deaths-total.pdf』をクリック)。
これらの数字を見ていくと、映画で伝えられるような、その裏にあるストーリーと相俟って、胸がずしんと重くなってしまいます。
以前にこのブログでご紹介(『こちら』や『こちら』)した、アマゾンのキンドルDX。
残念ながら現時点ではまだキンドルで日本語の書籍を買うことは出来ません。
米国など海外のアマゾンのサイトからの買物に限られています。
(そのうち、世界の多くの国々と同じように日本でもキンドルで本を買えるようになることを期待したいところですが・・)。
しかしキンドルは意外と使い勝手が良いので、こんな使い方もあるといった点について以下ご紹介します。
(1)声にして英語を読んでくれる
キンドルで買った書籍を音声にして聞きたい場合は、ボタンを押せばコンピューターが英語で読み上げてくれます。
音声も男性、女性と2通り選ぶことが出来ます。
もちろんプロが読み上げるオーディオブックの方が聞きやすいのですが、キンドルでは、「文字を読む」、「聞いて理解する」という2通りの楽しみ方が出来ます(目で文字を追いながらキンドルに読み上げさせることも出来ます)。
(2)英語の意味を瞬時に教えてくれる
読んでいる単語が分らなかった時、その単語にカーソルを動かすと、単語の意味を画面の下に表示してくれます(英英辞典)。
(3)日本語の本も一部楽しめる
青空文庫のものをPDF化してキンドルにダウンロードして楽しめます。
青空文庫で手に入るのは著作権の切れたものですが、名作が多く、これを機に私は太宰治の小説(走れメロス)など、小学生や中学生の時に読んだ小説をもう一度読んでみました。
(4)省スペース
キンドルDXには、3500冊の本を収納出来ます。床から天井の高さまでの本棚があるとして、この本棚の横幅3.5~4.0メートル分くらいの本が小さなキンドルに入る計算になります。
日本の住宅事情を考えると、本で占領されているスペースというのは結構馬鹿になりません。
キンドルはこのスペースを解放してくれます。
「もうすでにこんなことは前から実践している」
という方も多いのでしょうが、
「まだ」という方にはお勧めできます。
仕事の能率を上げる上で役にたつかもしれません。
【1】 Gmail
私の場合、会社に来るメールも自宅のPCに来るメールも、どちらも自分のメールアカウントに送らせると同時に Gmail にも転送(同送)させています(同時転送はプロバイダーのメールアカウントの頁から設定出来ます)。
この結果、会社に来たメールを自宅で見たい場合には Gmail にアクセスすることで見ることが出来ます。
同じように、自宅に来たメールを会社で読むことも出来ます。
もちろん出張先のホテルで Gmail にアクセスすることによって会社や自宅に来たメールを読むことが出来ます。
さらに Gmail の検索機能は、さすがグーグルだけあって優れもので、検索結果が直ぐに出てきます。
これを使えば過去に来たメールをほとんど瞬時に探り出すことが出来ます。
【2】 iMac
これについては半年ほど前のブログで書きました(『こちら』)。ウェブページを検索する上でiMacの反応は圧倒的に速く(注:下記の Windows 7 よりも速い)、大変重宝しています。
ただし多くの人がWindows PC を使っている現状からすると、ファイルのやり取りを初めとして、Windows を使わざるを得ない局面もあるかもしれません。
【3】 Windows 7
私の場合、本の原稿を書くときなどには、やはり使い慣れたWindows のワードやエクセルを利用しています。
Windows の PC は、数年前のXPをメモリーを目一杯増設して何とかこれまで使ってきたのですが、ついに最近Windows 7に買い換えました。
PCの立ち上がりが随分と早くなり、迷惑メールが綺麗に全て迷惑メールホルダーに振り分けられるようになりました。
ホルダー内の迷惑メールはマウスの右クリックで一括消去。
なおこのWindows 7 のPC。半年前のモデルを買ったので現行モデルの半値以下で買えています。
【4】 ブログの検索機能
時おり、「以前このブログで書いたけど、その時のデータはどうだったのかな」と、記憶を辿りたい局面があります。
そんな時はこのブログ右側のバーに付いている「ブログの検索機能」が便利です。
必要な単語を入力して、「このブログ内で検索する」のボタンを押すと一発で必要な情報(目的とするブログ記事)に行き着きます。
もう30年前の話ですが、アメリカのビジネススクールの授業でマスコミ対応について学んだことを思い出しました。
その時のケースの内容は、
「あなたは会社のCEOです。あなたの会社の製品でトラブルが発覚し、社会問題となりました。不買運動に発展する恐れもあります。政治家の集まる公聴会や記者会見で、あなたはどう対応しますか?公聴会や記者会見の様子は全てテレビで放映されます」
というものでした。
クラスのメンバーが順番にCEOの役を演じ、会社を糾弾する政治家や社会運動家、新聞記者たちを演ずる別のプラスメートたちの質問に答えていきます。
そして別のメンバーがこのやり取りを全てビデオ・カメラに撮影し、後で、1人1人、順番にビデオを再生して、全員で「このCEO役の対応は良かった」とか、「この言葉はまずかった」とかを議論するものです。
教授が最後に言っていたことで印象に残っていたことは:
・ あなた(CEO)が訴えかける相手は、会社を糾弾する政治家や社会運動家、新聞記者たちではない。テレビを見ている視聴者である。オーディアンスを間違えてはいけない。
・ よって時には政治家や社会運動家、新聞記者たちに攻められて、むしろ、あたかもあなたが被害者であるかのような同情を買う戦略も有効だ。攻める方は、ここぞとばかり、がんがん攻めてくるから、テレビを見ている視聴者は責め立てる人に対して反感を持ってしまうことも多い。
・ 逆にあなたは自分の主張を全面に押し出しすぎて、攻める相手と戦いの構図を作り出してしまっては、あなたの本当のオーディアンスである視聴者の反感を買ってしまうことになりかねない。
・ 公聴会や記者会見は出発点に過ぎない。あなたのオーディアンスであるテレビの向こう側の人たちがあなたやあなたの会社のことをどう思うか。不買運動などに発展せずに、引き続きあなたの会社の製品のファンでいられるようにする。つまり「その後の努力」が大切だ。
私もCEOの役を演じ、数々の意地悪な質問を受けました。
その後、その様子がビデオで映し出されました。これを見た教授や学生たちの反応は:
・ 真摯に、そして冷静に、かつ一生懸命対応しているので好感がもてる
・ 嫌な質問者の挑発にのってこない
・ 自分の会社の製品を愛するというメッセージが伝わってきた
・ 話す英語がトツトツとしたアクセントのある英語なのでかえって同情を買う
と、おおむね好評でした。
私の最大の欠点だと思っていた「トツトツとしたアクセントのある英語」がプラスの評価に転じたので、今でもこの時のことは鮮明に覚えています。
こちらの写真はGreenlight Capital のDavid Einhorn 社長。
今年42歳になるヘッジファンド・マネージャーです。彼を初めとする有力なヘッジファンドのマネージャーたちが “ある夕食会” に招かれ、通貨ユーロについて話し合ったことが今、話題を呼んでいます(詳しくは『こちら』)。
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すでに何度も報道されているように、ギリシャの問題を受けユーロがじりじりと値を下げています。
(過去3ヶ月間のユーロ対ドル)
(過去3ヶ月間のユーロ対 円)
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冒頭の “ある夕食会” の話ですが、ウォールストリート・ジャーナル紙の報道(2月26日付け、詳しくは『こちら』)によると、
2月8日に Monness, Crespi, Hardt & Co.(『こちら』)が、ニューヨーク、マンハッタンで、"idea dinner" と称する夕食会を開催。
夕食会には、SAC Capital Advisors、Soros Fund Management、 Brigade Capital、そして Greenlight Capital などのヘッジファンドが招待されたとのこと。
Soros と言えば、1992年に英国ポンドに対して戦いを挑み、勝利した(ポンドの下落)ことで知られています。
そして、Greenlight Capital はDavid Einhorn (上の写真)が社長を務めるファンド。リーマンブラザーズの株を思いっきりショートして、リーマン破綻を加速させたことで有名です(詳しくは『こちら』)。
さて夕食会でどんなことが話題になったかですが、
『ユーロはもっと下落すべきではないか。1ドル=1ユーロくらいになるのではないか』
といったことが議論されたとのこと。
ウォールストリート・ジャーナル紙によればヘッジファンドのマネージャーたちが集まってこの種のことを議論しても違法にはならないとのことです。
これから先、1年の間に為替レートが1ドル=1ユーロに達することにかけるトレード(プット・オプション)は昨年11月の段階では3%、すなわち 33 対 1 の掛け率(odds)。
それが今では7%、すなわち 14 対 1 の掛け率(odds)にまで来ていると言います(詳しくは『こちら』)。
ギリシャの次は、スペイン、ポルトガルなども問題となり得るなどと言われていて、今後ユーロの動向から目が離せません。
ユーロ安は、ヨーロッパに行く日本人観光客にとっては有り難い話なのでしょうが、ヨーロッパで収益を上げているキヤノンなどの輸出企業にはマイナスに働きます。
グロソブなどの投信を持っている方もユーロ安の動向に留意していくことが必要です(ちなみにグロソブはポートフォリオの43%をユーロ圏の国債等で運用。詳しくは『こちら』)。