公聴会に呼ばれたら
もう30年前の話ですが、アメリカのビジネススクールの授業でマスコミ対応について学んだことを思い出しました。
その時のケースの内容は、
「あなたは会社のCEOです。あなたの会社の製品でトラブルが発覚し、社会問題となりました。不買運動に発展する恐れもあります。政治家の集まる公聴会や記者会見で、あなたはどう対応しますか?公聴会や記者会見の様子は全てテレビで放映されます」
というものでした。
クラスのメンバーが順番にCEOの役を演じ、会社を糾弾する政治家や社会運動家、新聞記者たちを演ずる別のプラスメートたちの質問に答えていきます。
そして別のメンバーがこのやり取りを全てビデオ・カメラに撮影し、後で、1人1人、順番にビデオを再生して、全員で「このCEO役の対応は良かった」とか、「この言葉はまずかった」とかを議論するものです。
教授が最後に言っていたことで印象に残っていたことは:
・ あなた(CEO)が訴えかける相手は、会社を糾弾する政治家や社会運動家、新聞記者たちではない。テレビを見ている視聴者である。オーディアンスを間違えてはいけない。
・ よって時には政治家や社会運動家、新聞記者たちに攻められて、むしろ、あたかもあなたが被害者であるかのような同情を買う戦略も有効だ。攻める方は、ここぞとばかり、がんがん攻めてくるから、テレビを見ている視聴者は責め立てる人に対して反感を持ってしまうことも多い。
・ 逆にあなたは自分の主張を全面に押し出しすぎて、攻める相手と戦いの構図を作り出してしまっては、あなたの本当のオーディアンスである視聴者の反感を買ってしまうことになりかねない。
・ 公聴会や記者会見は出発点に過ぎない。あなたのオーディアンスであるテレビの向こう側の人たちがあなたやあなたの会社のことをどう思うか。不買運動などに発展せずに、引き続きあなたの会社の製品のファンでいられるようにする。つまり「その後の努力」が大切だ。
私もCEOの役を演じ、数々の意地悪な質問を受けました。
その後、その様子がビデオで映し出されました。これを見た教授や学生たちの反応は:
・ 真摯に、そして冷静に、かつ一生懸命対応しているので好感がもてる
・ 嫌な質問者の挑発にのってこない
・ 自分の会社の製品を愛するというメッセージが伝わってきた
・ 話す英語がトツトツとしたアクセントのある英語なのでかえって同情を買う
と、おおむね好評でした。
私の最大の欠点だと思っていた「トツトツとしたアクセントのある英語」がプラスの評価に転じたので、今でもこの時のことは鮮明に覚えています。
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