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2010年4月30日 (金)

終わりのない履歴書

有馬稲子さんが日経新聞に書いていた「私の履歴書」が今日で終わりました。

正直言いますと毎朝読み飛ばしていた方で、じっくり読むことは余りなかったのですが、最後の文章をこう締めくくった(下記の青字)のを読んで、はっとしました。

通常、「私の履歴書」では、「これまでの人生を振り返って悔いはない・・」  「がんばっただけのことはある・・」  「あとは孫たちに囲まれて静かな一生を送りたい・・」

こう終わるのが定番です。

それが、今回は下記の青字のようなエンディングです。

いつまでも前向きでい続ける。 人生の履歴書に「終わり」はない・・。

それをさらりと知らせてくれる・・。

凄い人がいるものだと思いました。

「いまの暮らしが続き、また「私の履歴書」を書く機会があったなら、今度は明るく楽しいことを満載できるのではと思っている。」

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2010年4月29日 (木)

寸評

最近買って使ってみたもの、あるいは最近読んだ本の(一部は辛口?の)寸評です。

* * * *

『ワコール・クロスウォーカー』

     Photo_2

『はいて、歩いて、体脂肪を燃やそう』とのCMを見て買ってみたのが、『これ』 。

実際に使ってみると・・・。 なるほどこれなら歩く時の姿勢や歩幅が変わりそう・・。

「筋肉トレーニングをしたような状態になる」という説明にも納得感があります。

ただ、商品説明書を読むと、「一日6000歩以上歩きましょう」とのこと。

やはり、「はくだけ」ではなく、「歩かないと」、いけないようです・・・

* * * *

堤未果『アメリカから<自由>が消える』

堤さんの本は以前『ルポ 貧困大国アメリカ』を読んだことがありました。

「貧困大陸」の方は私の知らないアメリカの一面を見事に切り取って描写してくれていて、説得力もありました。

「今回の本」も同じように、アメリカの一面を描いているのですが、一つのテーマ(“テロとの戦い”のスローガンの下で国民の自由が奪われていく)で1冊の新書にするには、ややストレッチし過ぎていているように感じました。

(「貧困大陸」の時は、徴兵制の現場、医療保険の実態など、さまざまな場面を描くことで、読み応えのある内容になっていました。)

更に付け加えると、私は、空港で何よりも安全点検をきちんとやって欲しいと願う方です・・・。

「ミリ派スキャナー」が人権侵害につながるという指摘はその通りだと思います。

しかし一方で、昨年12月の米機爆破テロ未遂事件では、爆薬として使われた化学物質が下着に縫い付けられ、金属探知機をくぐり抜けてしまった、という現実もあります。(仮にこういったケースを未然に防ぐにはやはり「ミリ派スキャナー」しかないとすると、いったいどうすればいいのでしょう・・。)

「“テロとの戦い”という言葉のもとで、政府が行き過ぎた行動を取っていくのを、国民はウォッチしていかなければならない」-著者のこの主張はもっともだと思うのですが・・・。

* * * *

『外資系金融マンのリストラ日記』

アマゾンの書評にもありますが、この本はところどころに漫画が載っていたりして、気楽に読めます。

よく考えると本書が扱っているのは外資をリストラされた人の話であり、本来は「気楽」ではないはずなのですが・・・。

その辺は編集のなせるワザ、あるいは軽い文章のタッチのおかげなのでしょう・・。

220頁もある、きちんとした本なのになぜか定価が500円。

何だか週刊誌を読んでいるような感じでサッと読めてしまいます。

で内容は・・というと、

これまた週刊誌を読むような感じ。

気楽に読めるようにと、面白く書いてあるところや、やや誇張しているように思える箇所もあります。

金曜日の夜、仕事が終わって職場の同僚と酒でも飲みながらワイワイ騒ぐ・・そんなときの話を集めて本にしたといった感じでしょうか・・。

外資の金融では著者が書いているような「一面」があるのは事実でしょう。と同時に、著者自身が本書のはしがきで、

「外資・・の実態をお知りになりたければ、この本と同時にきちんとした本でリサーチしてください」

と述べているように、本書で書かれているのは「一面」でしかないことも事実です。

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2010年4月28日 (水)

国家の破産

1980年代の初め。このとき私は興銀で、破たんした国家への既往貸付債権のリスケジュールを担当していました。(このことについては既にこのブログでも書きました。『こちら』です)。

当時私がいたのは興銀の外国部(後の外国業務部)欧州班で、ポーランド、ルーマニア、ユーゴなどの国が債務の返済に応じられなくなっていました。

隣の米州班ではアルゼンチンが問題化し、さらに国際金融市場の関心はブラジルに集まっていました。

アルゼンチンやブラジルは資源も豊富です。

そもそもこういった国がなぜ破たんの危機に陥るのか―私はこの辺を疑問に思い、当時調査部の人に聞きにいったのを思い出します。

「一国が資源を持つかどうかは一つのファクターに過ぎません。たとえばブラジルの問題は政治や官僚の問題です」

調査部の方の話を今になって思い出します。

* * * *

さて街の本屋さんの店頭を覗くと『週刊エコノミスト』がど~んと積み上げられていました。

『日米英「同時破産」』という衝撃的な見出し・・。

中をめくってみると浜矩子教授 (注:常に厳しい見方をしていて、ぶれないところが良いと思います。『グローバル恐慌―金融暴走時代の果てに』など勉強になります) をはじめとする識者たちの寄稿文が載っていたので、買って読んでみました。

* * * *

本日の日経平均は今年2番目の下げを記録。

「いったいどうなってしまうんだろうか」

こう思っている方にはこのエコノミストの特集記事は一読の価値があるかもしれません。

30年近くも前にブラジル問題について解説した調査部の若いアナリストの一言:「ブラジルの問題は政治や官僚の問題です」

これはもしかするとそのまま今の日本に当てはまる、そんな思いが頭の中をよぎりました。

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2010年4月27日 (火)

シャガールのアラビアン・ナイト

ある画廊から送られてきた画像です。

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この作品が来るかどうか知りませんが、今年も7月から始まる「シャガール ロシア・アヴァンギャルドとの出会い」展(東京藝術大学大学美術館ほか)などの、シャガール展が開かれる予定です。

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2010年4月26日 (月)

外交官ナンバー

外交官ナンバーのクルマというと、多くの場合、黒塗りのベンツだったりレクサスだったりします。

ところが先日東京の街中で見かけた外交官ナンバーのクルマは鮮やかなオレンジ色。しかも小さい・・・・。

在日オランダ大使館のクルマで、三菱の電気自動車i-MiEVでした。

       Photo

鮮やかなオレンジ色は革新的で、しかも電気自動車!

オランダという国の好感度が(少なくとも私の中では)グッとアップしました。

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2010年4月25日 (日)

クアルコムの Mirasol テクノロジー

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スタンフォードから来た情報です。

蝶の羽の glimmer にヒントを得て、クアルコムMEMSのギャリー博士たちが開発した新しいスクリーン、Mirasol 。

これは iPad と、アマゾンキンドルの「良いとこ取り」のようなスクリーンです。

  • キンドルの長所(すなわちiPadスクリーンの短所):液晶ではなくて E-ink なので、目にやさしい(長時間の読書に適する)、電力消費もほとんど無くて1週間は持つ。太陽の光の中でも(紙にインクで印刷された本のように)読める。

  • キンドルの短所(すなわちiPadスクリーンの長所):カラーではない。動画に対応できない。

Mirasol は E-ink よりも長く持ち(数週間)、しかもカラーで動画対応、太陽の光の中でも快適に読めるとか・・。

詳しくは、『こちら』をどうぞ。

今週金曜日にギャリー博士がスタンフォードで講演するらしいのですが、タイトルは、

Technology Inspired by Nature (Biomimicry)

蝶の羽に inspire されるとは・・、科学者の頭は凄いと思います。

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2010年4月24日 (土)

ディスカバリー

Aさんが主宰するメルマガで知った、スペースシャトル、ディスカバリーの写真(『こちら』)です(オリジナルはBoston.comより)。

鮮明な画像には迫力があり、宇宙が身近なものとして感じられます。

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2010年4月23日 (金)

アースウォッチ (その3)

1月13日(『こちら』)と、1月27日(『こちら』)でご紹介した Earthwatch

このときの様子(『南アフリカのハイエナのプロジェクト』)が映像化され、YouTubeにアップされています。

『こちら』です(私の高校時代のクラスメートのAさんも映っています;映像は9分53秒)。

なおアースウォッチではスポンサーを求めているとのことです(詳しくは『こちら』『こちら』)。

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2010年4月22日 (木)

iPad vs. ネコ

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『こちら』をクリックすれば動画(約2分間)になります。

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2010年4月20日 (火)

努力すればするほど、運はついてくる

前回ご紹介した本には示唆に富む言葉がたくさん出てきます。

たとえば「我々は最低限の努力で目標をクリアするように刷り込まれている。これを取り払え」(189頁)。

* * * *

私の頭に一番残ったのは「努力すればするほど、運はついてくる」という言葉(141頁)。

なるほど人生には運、不運は付き物です(数ヶ月間必死で作業してきたM&Aのディールをちょっとした不運で逃したこともあります)。

しかしいま振り返ってみると「努力しなくて運が降って沸いてきた」などということはありませんでした。

視界不良であっても、努力をしていくうちに運が開けてくる。

こう信じてこれからも進んでいきたいと思います。

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2010年4月17日 (土)

本との出会い

1週間に1冊くらいのペースで本を読んでいます。

買う前に本屋さんで少し立ち読みをしたり、アマゾンの書評を読んだりしてから買っていますので、期待外れに終わる本はそんなに多く有りません。

もっとも「そこそこ面白い」、あるいは「ためになる」だけではなくて、読み終わって「出会えて良かった」と思える本。

そんな本に巡り合えることはめったにありません。

それだけにそういった本に出会えた時は本当に嬉しいですね。

* * * *

『20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義』

    Stanford

以下は、アマゾンの紹介ページにも出てくる、『この本』の冒頭部分です。

いま、手元に 5 ドルあります。

2時間でできるだけ増やせと言われたら、みなさんはどうしますか?

これは、わたしがスタンフォード大学で実際に学生に出した課題です。

(中略) おなじ課題を出されたら、みなさんならどうしますか?

いろんなグループにこの質問をすると、たいてい「ラスベガスに行く」とか、「宝くじを買う」と言う人が出てきます。

ドッと笑いが起きます。

こういった人たちは、大きなリスクを取って大金を稼ぐという、ごくごく低いチャンスに賭けているわけです。

次によくあるのは、5ドルで道具や材料を揃えて、「洗車サービスをする」、あるいは「レモネード・スタンドを開く」といった答えです。

2時間のあいだに、使ったお金よりも多少儲けようという人にとっては、それもいいでしょう。

ですが、わたしが教えた学生のほとんどは、こうしたありきたりな答えのはるかに上を行く方法を見つけました。

できるだけ多くの価値を生み出すために、課題に真剣に向き合い、常識を疑った結果――豊かな可能性に気づいたのです。

じつは、大金を稼いだチームは、元手の5ドルにはまったく手をつけていません。

(中略)では一体、彼らは何をしたのでしょうか?

* * * *

こんな1節もあります。

わたしは、この本で紹介した物語の一部を父に話しました。

すると父は、83歳の人生を振り返って、一番大切な知恵は何か考えてみると言ってくれました。

(中略)父は8歳のとき、アメリカに渡ってきました。1930年代に、一家でドイツから命からがら逃げてきたのです。当初は英語がまったく喋れませんでした。

(中略)RCAで働いていた駆け出しの頃、暗礁に乗り上げたプロジェクトがありました。

父たちは何日も徹夜して問題解決にあたりました。

(中略)ようやく問題が解決し、プロジェクトを完成した直後、事業計画全体が中止になりました。

父たちにとってはプロジェクトがすべてでしたが、ほかの人たちにとっては取り替えのきくものでした。

人生に起きることのほとんど、とくに失敗は、そのときの自分が思っているほど大したことではない ― この点を何度も思い知ることになったと言います。

(中略)影響力や権威、力のある立場に立てば、大きな恩恵を受けられます。ところが、その「地位」を去った途端に、そうした特権は消滅してしまいます。

(中略)だから、自分自身をいまの地位と結びつけて考えてはいけないし、周りの評価も鵜呑みにしてはいけません。

* * * *

この本は著者が、20歳を迎える息子への誕生日プレゼントとして書いたものです。

最後の1節から。

25年前に書いた詩を読んで思い出すのは、

20代の頃、次のカーブに何が待ち受けているのかわらなかったが故に抱いた不安です。

将来が不確実なのは歓迎すべきことなのだと、誰かが教えてくれればどんなによかったのに、と思います。

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2010年4月15日 (木)

人民元

人民元の問題はグラフにして見ると分りやすいと思います。

                 (1人民元当たりのドル価額推移)

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上図(出所:Yahoo! Finance をもとに著者編集)をクリックするとグラフは大きくなり見やすくなりますが、要はこういうことです。

2005年7月21日、中国は為替制度改革を実施。人民元の対ドル相場を約2%切り上げ(上の図の左端)。

以降、人民元相場は穏やかに上昇(上の図の左半分)。

ところが金融危機が深刻化し始めた2008年夏ごろから人民元相場はほとんど動かなくなります(上の図の右部分)。

「中国は安い人民元で輸出を拡大させ経済を梃入れした」、「これは逆に米国企業などにとっては不利に働いたではないか」、「本来の価値に戻して欲しい(切り上げして欲しい)」、というのが米国の主張です。

人民元は最大で40%過小評価されているとの説もあります(『こちら』)。

「40%過小評価されている」ということは、中国のGDPは日本を「抜いた」どころか、実は日本よりも「4割も大きかった」ということになってしまうのですが、さて・・・。

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2010年4月14日 (水)

北京

核保安サミット出席のため訪米した中国の胡錦濤国家主席と、オバマ米大統領との間で行われた米中首脳会談。

今後人民元改革(『こちら』)の動きが出てくる(『こちら』)とのことで、13日の東京マーケットでは為替は円高に振れ、日経平均は下落。

* * *

さて私は先週末から中国、北京に行っていて、昨日(13日)帰ってきました。

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 (天壇公園で早朝太極拳をする人々)

現在の北京は2008年のオリンピックも終わって、オリンピック前の喧騒とした雰囲気は無くなり、「一段落した」という印象。

さすがに建設中のビルやクレーンの姿が以前ほど目に付かなくなりました。

* * *

私が中国に最初に行ったのは1991年10月。

その後、幾度となく、中国各地(北京、上海、大連、無錫、深圳、広州、東莞)を訪れました(例えば『こちら』)が、沿岸部だけです。

そのうち内陸部にも行ってみたいと思っています。

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2010年4月11日 (日)

足踏み

1週間ごとの動きで見ると、日経平均株価は2月1日で始まった週以降、(4月2日に終わった週まで)8週間連続で上昇してきました。

* *

2月1日の週(2月5日引値) 10,057円

2月8日の週(2月12日引値) 10,092円

2月15日の週(2月19日引値) 10,123円

2月22日の週(2月26日引値) 10,126円

3月1日の週(3月5日引値) 10,368円

3月8日の週(3月12日引値) 10,751円

3月15日の週(3月19日引値) 10,824円

3月22日の週(3月26日引値) 10,996円

3月29日の週(4月2日引値) 11,286円

* *

しかし先週は11,204円で取引を終え、週単位で見ると下落。

8週間続いた上昇基調に終止符を打ちました。

* * * * * * *

現在の世界経済を読み解く上で参考になるのが、ニューズウィークの「4.14号」『世界経済超入門』

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第1部は『今年の3大イシュー』と題して、

1)世界の景気は回復したのか

2)人民元を値上げせよ

3)ギリシャ危機は広がるか

の3点を解説。

第2部は『そうだったのか!世界経済16のポイント』

と題して、

1)中国経済

2)株価

3)金融規制

4)米失業率

5)ドル安

6)政府の借金

7)デフレ

8)ジンバブエ

(以下略)

などをそれぞれコンパクトに解説。

例えば、2)株価のところでは、『今年3月までの1年で一番株価が上がったのは東欧諸国。ウクライナの株価は4倍以上になった』

それだけ東欧やウクライナがリーマンショックの影響を受けて昨年3月までに株価を下げていたということなのでしょうが、何れにせよニューズウィークの視点は新鮮です。

8)のジンバブエの項では、2008年7月のジンバブエのインフレ率は、何と年率 2億3100万%だったとか。

それが今年1月のインフレ率は9.6%。

いったいどんな魔法を使ったのか(詳しくはニューズウィークの記事をみてください)。

* * * * * * *

さてニューズウィークの記事を読んでいくと、いろんなことに思いを巡らせてしまうのですが、その一つが日本国債。

よく『日本国債は95%が国内で消化されるから平気だ』という評論家が多いのですが、

それは個人が、銀行預金、郵便貯金などへの預け入れ(あるいは年金保険料・社会保険料支払いなど)により、

間接的に国債消化に寄与してきたからです(例:個人から受け入れた資金で地方銀行が国債を購入)。

しかしこれを年層別に見ると、個人資産を積み上げ、積極的に預金を預け入れしてきたのは60代~80代の世代。

これからの若い世代はそういった余裕は無くなってきています。

これから先も 95% は国内で消化されると言えるのかどうか。

個人投資家としては、5年後、10年後の世界を見通して自らの資産運用戦略を考えていく必要があります。

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2010年4月 8日 (木)

政府は何もしない方がいい

ケネディ家は食事の時に家族でよく政治の話をしたと言います。そして、それがそのまま子供たちのディベートの訓練になったとのことです。

私が高校時代に1年間一緒に過ごしたアメリカのアルフォルド家も、夕食時には常に何らかの政治の話をしていました。

父親(ハーバードのビジネススクール卒)は熱心な共和党支持者。「政府は小さければ小さいほど良い」との考えの持ち主。

母親は民主党支持。学生時代はスミスカレッジの大学院で社会福祉を専攻していました。

よって二人の意見は政治的には正反対で、夕食時、子供たちも交えて二人はよく議論をしていました。そしてこの議論を聞くのは私にとって非常に勉強になりました。

ちなみにアルフォルド家には3人の子供がいました。

長男(後に弁護士になる)は父親と同じ考え。長女は政治には無関心。次男(彼も後に弁護士になる)は母親に似た考え。

父親と母親は選挙の時には相対立する候補者に投票していました。

父親いわく、『女性に参政権を与えたのは大きな間違い。私の一票が無駄になる』。

彼は第二次世界大戦中、ヨーロッパ戦線でヒトラーと戦い、Dデイの日にノルマンジーに上陸した一人です。

『基本的に政府は何もしない方がいいんだ』と良く話していました。

政治的には全く意見が違うアメリカの父親と母親でしたが、二人は大変仲が良く、私が留学している1年間、二人が喧嘩したのを見たことは一度もありませんでした。

ところで『政府は何もしない方がいい』と言っていた父親も、教育についてだけは例外と考えていたようで、レーガン州知事(当時)がカリフォルニア大学の予算を大幅にカットしたことについては、かなり強く憤慨していました。

彼は貧しい人たちにも教育を受ける機会が与えられなければならないと強く信じていて、この点については母親と同意見でした。

アメリカの父親が亡くなってから20年近く経ちます。政府は何もしない方がいいと言い切った彼が、政府にいろんなことをして欲しいと思う今の日本人を見ると何と言うのでしょうか。。。

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2010年4月 3日 (土)

リーマン破綻の内幕

今からほぼ1年前の2009年3月下旬。

テレビ東京報道局のプロデューサーAさんがオフィスに訪ねてきました。

Aさんいわく、

『テレビ東京では「ルビコンの決断」という経済ドキュメンタリー・ドラマを新しく始めます。女優の木村佳乃さんが経済報道番組に初めてレギュラー出演します。シリーズ2回目の放送ではリーマン破綻を扱ったドラマを放映する予定。そこにゲスト出演して頂けませんか』

とのことでした。

私がリーマンに勤めていたのは2003年までで、当時でさえ辞めてから6年も経っていました。

『私よりももっと適任者がいると思います。例えば日本法人の社長だった桂木さんにお願いしてみたらどうですか』

『実は岩崎さんにお願いに来る前に桂木さんに出演の依頼をしました。しかし桂木さんには「日本法人の民事再生手続きがまだ全て完了したわけではない」、ということで断られました』

『私がお断りしたらどうするのですか』

『かつてリーマンに在籍していたBさんにお願いするつもりです』

Bさんが出演するとなると番組は偏ったものになるかもしれない・・・。それでなくても当時のマスコミでは、「世界を潰したのは強欲な投資銀行だ」とか「リーマンは二流だから最近特に焦って危ないビジネスを手がけて失敗した」といった、ある一面だけを強調した、表面的で単純な論調が盛んでした。

『経済報道番組としてフェアに報道して頂けるのであれば出演します。ドラマの脚本を事前に見せて頂き、もし間違ったところがあれば指摘させて頂きますので直してください』

『分りました。桂木さんにも脚本に目を通してもらうつもりです』

* * * *

こうして出来上がった「ルビコンの決断」(リーマン破たん 最後の50時間)は、当時放映されたNHKスペシャルなどの類似番組に比べて、内容的にフェアで偏りのないものであったと思います(NHKスペシャルが相当お粗末だったことは『こちら』に書きました)。

ただ番組で私が語ることが出来たのは投資銀行全般についてであり、破綻時のリーマンの内幕については伝聞をベースとしたものしかお話できませんでした。

私ではなくて桂木さんがゲスト出演出来ていれば、間違いなく、もっと興味深い番組に仕上がっていたはずです。

* * * *

さてその桂木さんがリーマン破綻の内幕を綴った本を出版しました。

『リーマン・ブラザーズと世界経済を殺したのは誰か』

当時の経営幹部であったからこそ語れる、そして(恐らくは)今だからこそ語れる、数々の秘話・エピソードが綴られています。

本書は第1章から第8章まで、8つの章で構成されていますが、特に前半部分(第1章から第4章まで)は、非常に読み応えがありました。

実は桂木さんと私とは興銀同期入社。高校時代ともにAFSで留学し(桂木氏は第17期、私は18期)、興銀入社後1年3ヶ月で米国の大学院に留学したのも同じ。

ただ興銀を辞めて外資に転出したのは彼の方が私よりもちょうど10年早く、1988年。(この時、私はまだ興銀の審査部にいました)。

* * * *

リーマンの破綻は世界中の人々の生活に深い傷跡を残しました。

『バーナンキ議長とポールソン財務長官の仕事ぶりに成績をつけるとしたら、バーナンキは A。 間違いなく A (“Solid A”) だ。

一方、ポールソンには、B か B- しか与えられない。なぜなら彼はリーマン破綻に伴うコラテラル・ダメージ(付随する損害)を誤算したからだ』(拙著『リーマン恐慌』5頁)

リーマン破綻を振り返る時、このように語ったスタンフォード大学ウルフソン教授の言葉が改めて思い出されます。

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2010年4月 1日 (木)

新年度

今日から新年度。

株式市場では、注文と決済の両方が新年度に入る(これに対して例えば昨日は、注文は昨年度で決済は新年度)ことから、今日から「名実ともに新年度入りする」と言っています。

さて名実共に新年度入りする4月1日は、例年機関投資家が株式購入資金(予算)を新たに手にする、すなわち機関投資家のカネが入りやすいことから、その日の相場は上がりやすいと言われています。

実際にはどうなのでしょうか。

過去10年間のデータです

[○ は4月の最初の営業日の日経平均が前営業日(3月最後の営業日)に比して上昇、× は下落したケース]

2010年 ○
2009年 ○
2008年 ○
2007年 ×
2006年 ○
2005年 ○
2004年 ×
2003年 ○
2002年 ○
2001年 ×

結果は7勝3敗。

この結果をどう見るか。上がる可能性に賭けるというのであれば、来年3月末の営業日に日経平均を買って、翌営業日(4月の最初の営業日)にこれを売るというのも一法なのでしょうが、さて・・・・。

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