シンガポールでのスモール・ミーティング(3)
昨日のNY(ダウ平均)は一時、10,000を割り込み、9,869を記録しましたが、その後、急速に回復。為替も3円ほど円高に振れました。
(さて前回からの続きです)
4.中国について
今回の出張では中国を訪問してから、シンガポールにやってきた。
中国では何人かの政策決定者と面談した。
周小川中国人民銀行(中国の中央銀行)総裁とも面談した。
(周小川総裁)
中国経済の将来の成長について中国の要人たちは、「謙虚なレベルの心配(modest degree of worry)」を持っているのかもしれないと、私は感じた。
人民元については切り上げが起きるとしても、ドル単独に対して、というよりも、通貨バスケットに対してペッグさせて再評価させる ― こういった方向もあるように感じた。
中国の要人たちは、中国の輸出産業のコスト構造の構造的変化を心配している。
中国内陸部から珠江デルタ地域への労働者の移住のペースが落ちてきている。
結果、深圳、広州、東莞、珠海などの大都市が並ぶ中国の輸出産業の一大集積地では労働力が不足。
賃金が上昇して、対外的なコスト競争力の低下に繋がりかねない状況にある。
5.それでも全体観からするとプラス面の方がマイナス面を上回る
ヨーロッパが抱える問題、そして米国の問題など、世界を取り巻いている問題は多い。
にもかかわらず、私は全体観からするとプラス面の方がマイナス面を上回ると考えている。
それはなぜか。
1)機関投資家や企業は多額の現金を保有している。
米国企業はいまや1兆2000億ドル(110兆円)もの現金を持つに至っている。
2)投資家の間には十分な(余りあるほどの)恐怖心がある。
最近時の株式市場の好調ぶりに対して、abundance of fear (余りあるほどの恐怖心)がある。
このことが市場が脱線するのを防いでいる。
3)大学などの運用基金、年金、生保などは(リーマンショック後)これまでリスクを極端に嫌って運用してきた。
社債や公共債などの債券での運用を株式での運用に比べて高め、これら比較的安全な資産での運用を overallocate してきたのだ。
しかしながらこんな運用スタイルは長期間継続させることは出来ない。
というのは、長期にわたるliability servicing に不足が生じてしまうからだ。
年金基金の平均的 liability である6%は、4~5%の債券運用ではまかないきれない。
よって何れは運用スタイルの変化が生ずる(株式運用比率を高める)ことになる。
以上、1)~3)の要因を勘案するに、株式市場は今後、10~15%程度の上昇(rally)を経験することになるだろう。
特に現在投資家が underweight なのは米国だ。
すなわち株式市場は米国の市場に牽引されて上昇していくと見ている。
(次回に続きます)
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