BPの問題が日本の新聞も賑わせています。
日本ではあまり報じられていない点を幾つかご紹介します。
(1)オバマ大統領との関係
ニューズウィーク(日本版)の『こちら』のコラムは、オバマ大統領は民主党の方針である「環境懸念のため沖合油田開発には反対」という立場に反して「掘削推進派」だった、と解説。
さらに突っ込んだ形でオバマとBPとの関係に切り込んだのが、
The BP Money Trail と題するニューズウィーク誌の記事(『こちら』)。
BPとオバマ大統領との「これまでの」関係を the company enjoying close ties with lawmakers and a record of big spending, especially on one politician: Barack Obama と記しています。
BPとオバマ大統領との「この種の」関係を報ずる記事は米国では結構多く(たとえば『こちら』)、このため大統領として逆にBPに対して、より一層強くあたる必要があるのかもしれません。
にもかかわらず、「大統領はBPに対して戦う姿勢を十分に見せていない」と批判する記事も多くなってきています(たとえば『こちら』)。
(2)WSJの記事
一昨日の記事で、
BP appears “to have made multiple decisions for economic reasons that increased the danger of a catastrophic well failure.”
と報じています(詳しくは『こちら』)。
(3)CNNの画像
CNNはBPが海底で原油を流出し続ける動画を何度も放映し続けてきました。この動画自体、存在するにもかかわらず、「BPはそのことを黙っていた」としてメディアに批判されています。
(4)日本への影響
問題を起こしたディープウオーター・ホライズンの権益は三井物産グループが10%保有。
詳しくは『こちら』の三井物産のプレス・リリースをご覧ください。
このため物産の株価も下落。
(ここ1カ月の商事(赤線)と物産(青線)の株価動向図)
(5)ヨーロッパへの影響
BPの株価は大きく下落し、事故直前に17兆円あった時価総額は9兆円まで下落(16日付け日経新聞)。すでに8兆円の時価総額が喪失しました。
CDSも4%まで上昇(上記日経)。
ブルームバーグやCNBCに出演するアナリストたちは最悪の場合BPは倒産するかもしれない、誰も買収する勇気はないだろうとコメントを発し、昨日発売されたニューズウィーク日本版(6月23日号)でもバンクラプシーといった言葉が記事中に出るようになりました。
ギリシャ、スペイン、ハンガリーに続いてヨーロッパは大きな問題を抱え込んだことになります。