Too little, too late
本日の日経CNBC『日経ヴェリタス・トーク』は、最近の円高、株安について。
キャスターの方から、「今日の日銀の追加緩和策についてどう思うか」質問されましたが、私は、「Too little, too late」 と答えました。
Too late の方は、もう10日くらい前から、「首相と日銀総裁との会談を行う」といったニュースが流れていました。そして、先週月曜日(23日)に会談が行われたと思ったら、たった15分間の電話会談でしかも中身は無かったという経緯があります。
今日の会合は本当に「やっと」という感じでした。
次に Too little の方です。
ようやく今日に至って臨時の金融政策決定会合が開かれたと思ったら、その決定内容は全く新味の無いものでした。
その結果、マーケットでそれまで85円89銭をつけていた為替は一気に円高へ・・。
日経平均も午前中は300円近く上げていたものが、日銀決定の中身が伝わると下落(上げ幅の縮小)へ・・。
「20兆の資金供給に10兆(しかも6ヶ月)上乗せする」のではなくて、
「20兆プラス10兆(3ヶ月)プラス10兆(6ヶ月)=40兆」くらいの発表を行っていたとしたら、マーケットはもっとポジティブに反応したと思います。
リーマンショック後の世界的不況のなかでも、日銀のバランスシートはほとんど膨らんでいません(『こちら』)。
むしろ量的緩和政策を行っていた2006年までのほうがバランスシートは膨らんでいたのです(『こちら』)。
一方、FRBの方は、リーマンショック後、バランスシートを3倍近くにまで膨らませてきています(下記グラフ及び『こちら』40頁のグラフ参照)。
(上のグラフはクリックすると大きく、そして見やすくなります)
中央銀行の庭先は汚くなっても国を救うとの意思が上のグラフからは伝わってきます。
「パーティーが盛り上がった時にパンチボウルを取り上げるのが中央銀行の仕事」と言ったのは、1951年から1970年までFRBの議長を務めた(ちなみにこれが最長記録)William Martin です。
私は、国民や企業が脱水症状に陥ってふらふらしている時に、水を差し出すのも中央銀行の役目だと思っています。
今回は水が出てくるのが遅くて、しかも十分な量ではありませんでした。
なお『日経ヴェリタス・トーク』の再放送は、8月30日(月) 24:00~、8月31日(火) 18:30~、19:06~です。
| 固定リンク
コメント