偶然に、億万長者になった人
『「大いなる財産の背後には、必ず大いなる犯罪がある」-そう言ったのはバルザックだが、彼がもし蘇って、2003年10月の終わりに、カークランドハウスの部屋に駆け込んできたマーク・ザッカーバーグの姿を見たら、自分の発言を修正したかもしれない。
それは歴史的な夜だった。
この夜が、間違いなく、現代史でも数少ない大富豪の誕生につながったのだ。
だが、背後にあったのは、犯罪というにはあまりにも軽微なもので、むしろ学生のちょっとした悪ふざけと言った方がいいようなものだった。』
19歳のマークがたった数日で作り上げたウェブサイト、「フェイスマッシュ・ドットコム」。
このサイトに入ると、コンピューターが選ぶ2人のハーバード大学女子学生の顔写真が現れます。
これを見たビューアー(Viewer)は、「どっちが魅力的かを」を投票出来ます。
ときには「女子学生」対「女子学生」ではなく、一方の写真には動物の写真が登場したりする「ふざけた」サイト。
投票結果を基に複雑な計算が行われ、キャンパスで一番魅力的な女の子が決まる・・
このウェブサイトが立ち上がるや否や、2時間足らずのうちに、2万2000もの票が集まったといいます。
『「誰が怒っているんだ?」
「そりゃ女の子だよ。怒っている子が無茶苦茶多い。キャンパスのフェミニストグループから苦情の手紙がたくさん送られたらしいし。
あと、大学も怒っている。あんまりそのサイトにアクセスが殺到しすぎて、キャンパスの回線がパンクしたんだ。e メールが使えなくなった教授もいた。大混乱だよ。」』
このサイトを作ったマーク・ザッカーバーグはハーバード大学の懲罰委員会にかけられますが、さて・・・
* * *
以上は、 『The Accidental Billionaire (偶然に、億万長者になった人)』と題する本の一部。
正確にはBillionaireですので、約1000億円以上の資産を持つ金持ちということになります。
この本は先日のこのブログでも紹介したマーク・ザッカーバーグがフェイスブックを起業する過程を描いたもので、日本語にも翻訳されています(『こちら』です)。
マイクロソフトを創業したビルゲイツ、グーグルを作ったペイジとブリン。そしてアップルのジョブズ。
彼らとはまた違った横顔を持つザッカーバーグのストーリーは、彼らに負けず劣らずユニークで興味深いものです。
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コメント
この本、英語版でさらっと流し読み致しましたが、結構、話の誇張もありそうですよね。。。そんな気が。でもM.Zuckerburgはインタビューにまったく協力していないみたいですね。
投稿: Nobu Kumagai | 2010年8月28日 (土) 00時31分
Facebook(Zuckerberg)と、今となってはco-founderと認知されたEduard Saverin との間には訴訟が(Saverin側から)提訴されており、その裁判記録などをベースに本書は書かれています。
また訴訟ということではTyler and Cameron Winklevoss(北京五輪6位入賞)も、Facebookのアイデアは彼らがもともと持っていたアイデアに近いとしてFacebook(Zuckerberg)を提訴。
こういった裁判記録やマスコミ報道をベースに、更にまた、Eduard Saverinらへのインタビューによって得られた話などを加味して、本書は書かれたといいます。
Zuckerbergがインタビューに協力しなかったのは上記経緯からすれば、当然とも言えるわけですが、本の内容はZuckerbergサイドに不利になっているわけではなく (かと言って有利ということでもなく)、フェアに書かれていると思いました。
ベンチャーのスタート時には、創業メンバーが思い描いている絵が微妙に違い(またFacebookの場合、全て天才プログラマーであったZuckerbergの能力に依存することが大であったことから)、frictionが起きるのはある意味、やむを得なかったのだろうと思います。
投稿: 岩崎 | 2010年8月28日 (土) 08時59分