年金について(3)
これまで「月23万3000円の年金」(厚生労働省発表のモデル世帯のケース。サラリーマンの夫と専業主婦がもらえる年金額)といった記述をしてきました。
しかし実際の事務手続き上は、年金は2か月分がまとめて偶数月の15日に支払われます。
この結果、年金の支払が無い月(奇数月)も出てきます。
サラリーマン時代には、毎月25日には決まって支払われていた給与が、2ヶ月に1回の年金支払に取って代わると、日々の資金計画上、若干の注意が必要になってきます。
クレジットカードで買物した代金の預金引き落としや電気代、電話代の支払などは毎月生じるからです。
「毎月分配型の投資信託にあなたの資金を投入すれば、年金の支払の無い月にも分配金が支払われます」
「当社の投資信託は隔月分配型。年金支払の無い奇数月に分配金が支払われるので老後の生活が安心出来ます」
証券会社のこうした甘い言葉に乗せられて投資信託を購入した方に是非チェックして欲しいのは、購入した投資信託の基準価額はいま幾らかということです。
100万円を投下して購入した投資信託が基準価額56万円になっていたとしたら、仮にいま投信を解約しても56万円しか戻ってきません。(さらに解約に伴う手数料を差し引かれるとすると、実際はもっと少なくなります)。
こういった事態が生ずるなら、100万円で投信を買う代わりに、銀行に100万円を預金し、投信の分配金に見合う額を自分で降ろしていった方が得です。
「しかしこの投信は銀行に勧められたのです。銀行が自分たちに入る預金を犠牲にしてまで投信を勧めるでしょうか」
こうおっしゃる方がいますが、いまの銀行は手数料収入を上げることに躍起です。
銀行はほとんど金利ゼロで日銀から資金を調達できます。
しかも銀行にとって有利な運用先はあまり無く(少なくとも銀行はそう信じているようで、集めた資金が融資の形になってなかなか民間企業に回っていきません)、
「集めた預金はとりあえず国債を買って運用している」というケースが少なくありません。
そういった銀行にとっては預金者に100万円の普通預金を預けられるより、100万円の投信を買ってもらった方が儲かるのです。
銀行に(場合によっては3%前後の)販売手数料が入ってくるからです。
もちろんこの販売手数料を支払っているのは投信を購入した人たちです。
だからこそ投信はほとんどの場合、買ったとたんに手数料分だけ損してしまうのです。
さらに毎年払う信託報酬などの手数料もバカになりません。
それでも海外の金利が高くて、しかも金利と為替の裁定が理論どおりに働いていなかった一時期は投信の基準価額が初期投資額を上回ることもありました。
しかし結局のところそんな時期は長くは続かず、多くの毎月分配型投信の基準価額が値崩れを起こしてしまいました。
この辺の事情はかつて『こちら』のブログ記事にも書きましたので、参考にしてみて下さい。
たとえば毎月分配型の投資信託として人気のあるグローバル・ソブリン・オープン(略称「グロソブ」)の基準価額(赤線)は当初10,000円のものが今や5,627円(下図)。(詳細は『こちら』を参照)。
毎月分配型投資信託は年金の代わりにはなりません。
年金は生きている間支払われますが、基準価額が減っていく投信は
(a)いずれ分配金が支払われなくなるか
(b)分配金の減額を余儀なくされるか、
さらには(c)信託報酬手数料などの支払の重圧や運用成績の劣悪化によって存続そのものが難しくなってしまいます。
退職金を運用に回すときには、リスクとリターンを十分に吟味することが必要です。
「ミディアム・リスク、ハイリターン」とか
「ローリスク、ハイリターン」などと、
訳の分からないことを言うセールスマン(セールスパーソン)には要注意です。
リターンの高いものはリスクも高い。
この原則を忘れると、「高いリターンを求めて振興銀行に1000万円以上預金してしまう」といったような間違った行動を取ってしまいます。
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