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2010年9月30日 (木)

年金について(5)

今回は少し脱線します。

外資系の投資銀行に勤めるAさんから

「われわれのようなケースはどうなんですか」

と質問を受けました。

「老後に1億円必要」 、それに対応できる「年金の価値は9千万円」との先日の記事を読み、

自分の年金は本当に9千万円にもなるのか、

不安になったといいます。

たしかに外資に勤める人の年金は意外と少ないケースが多いようです。

厚生労働省のモデルケースはサラリーマンの夫と専業主婦で合計月23万3000円の年金が支払われることになっていますが、これは「40年間勤めた場合」です。

外資の投資銀行のケースでは、たとえばアメリカの大学院を出て28歳から勤め始め、48歳では辞めてしまうといった人も少なくありません。

これでは20年間の勤務ですから、足りないところ(年金は最低25年間保険料を払わないともらえません)は、国民年金に加入して保険料を払うことがまず必要になります。

たとえ不足分を国民年金保険料で支払ったとしてもこれは「1階部分」です。

すなわち厚生労働省のモデルケースで40年間払うことになる「2階部分の保険料」は、外資の「上の例」では20年間しか支払われません。このため、それに見合う2階部分の年金が少なくなるのです。

もちろんその代わり外資に勤めている間は年収が高いといった側面はあります。

しかし上記の「価値9千万円の年金」は25年間にわたって年360万円をもらうとの前提で試算されたものであり、したがって、これにはほとんど税金はかかりません。

これに対して外資で9千万円を残そうとすれば、所得税率(地方税を含む)50%として、9千万円の2倍の総計1億8000万円分の給与・賞与を稼ぎ出さなければなりません。

* * * * *

外資の投資銀行に勤める人たちの「その後(投資銀行を勤めた後)」のキャリアはさまざまです。

メリルの網屋さんやモルガンの中西さんのように国会議員になった人もいれば、かつて勤めていた日本の銀行に戻った人もいます。

そのほかにも中堅の証券会社に入った人、自分で会社を興した人、ネット系のスタート・アップ企業に入り、IPOを目指している人、特に仕事を持たずクルーザーであちこち出掛けている人などなど様々ですが、

多くの場合、年金のことは頭の片隅に入れつつも、まだまだ先に広がる自分のキャリアの展開を考えている人が多いように思えます。

たまたまかつて一緒に働いていたBさんと会ったら、

「いまは毎日ジムで体を動かしています。そのうち何かしないといけないと思っていますが・・」

と話していました。

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