日本のネット個人金融資産の8割は60歳以上(世帯主ベース)が所有
2010年3月末の個人金融資産残高は1457兆円(『こちら』の日銀「資金循環統計」をクリック)。
日本の総世帯数は49百万です(『こちら』)ので、1世帯あたりの金融資産残高は、29,714千円となります。
ところで、上記の個人金融資産残高は負債を含むグロスベースの数字。
負債の方は373兆円ですので、ネット資産は、1084兆円です。
すなわちネットの個人金融資産は1世帯あたり、22,122千円となります。
一方、総務省家計調査(平成22年5月14日発表、 『こちら』)では1世帯(2人以上)あたりの平均貯蓄残高は、16,380千円。
同じく負債が4,790千円、よってネットの個人金融資産は1世帯あたり、11,590千円。
2200万円(日銀資金循環統計)と、1200万円(総務省家計調査)の差はいったいどこから来るのか。
詳しくは『こちら』をどうぞ。
いずれにせよマスコミが報道する場合、
『個人金融資産残高は1457兆円』といった具合に単純化されてしまいます。
しかしこの1457兆円には例えば個人事業主(個人企業)の事業性資金も含まれています。
なお総務省家計調査によると、60歳以上の世帯は全体の約4割。これが日本の家計部門(2人以上世帯)の貯蓄(金融資産)全体の約6割を占めます。
この数字はネットベース(負債を引いた後)で見るともっとラディカルなものとなります。
以下は2009年(平成21年)のデータ(総務省家計調査)を元に算出したものです。
すなわち負債を控除した後のネットベースの金融資産でみると、「世帯主が60歳以上の世帯が日本全体の8割の金融資産を有している」との結果が出てきます。
(注:上の2つの図表では世帯割合などの数値で0.1%ほどの差異がありますが、下の表は私が日本の世帯数を上記の通り49百万として計算して作成したことに伴う若干の差だと思います。)
富が中高年に集中し、若者の生活が厳しい状況が統計からも見て取れます。
しかもこの富の世代間格差は年々広がってきています。
上記(『こちら』)の「ISSUE BRIEF」(国立国会図書館 調査及び立法考査局 調査企画課)のペーパーには5年前のデータが掲載されています(下記)。
これと今日(2009年)のデータを比較してみると:
世帯主が60歳以上の世帯が日本全体の金融資産(ネット)を有している割合
5年前:74% → 現在:80%
世帯主が50歳以上の世帯が日本全体の金融資産(ネット)を有している割合
5年前:96% → 現在:100%
世帯主が29歳以下の平均金融資産残高(負債控除前)
5年前:351万円 → 現在:294万円
世帯主が30歳代の平均金融資産残高(ネットベース)
5年前:▲45万円 → 現在:▲160万円
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なお上記の3つの図表はいずれもクリックすると大きくなります。
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