幻冬舎MBO
幻冬舎がMBOで上場廃止となる旨が発表されました(『こちら』)。
(幻冬舎株価推移)
金曜日の株価146,000円に対して、公開買付価格は220,000円(50.7%のプレミアム)。
過去3ヵ月平均株価147,565円、6ヶ月平均株価150,012円に比してもプレミアムはそれぞれ49.1%、46.7%となっています。
このためレックス(6ヶ月平均に比し▲18.1%のディスカウント)やサンスター(6ヶ月平均に比し18.6%のプレミアム)などの時のように買付価格が問題とされる可能性は低いと思われます。
幻冬舎はこれまで自己株の市場買付を積極的に行ってきており、発行済み株式総数36,000株のうち自己株式が24%強の8,650株にも上ります。
公開買付では自己株式は取得しないとしています(『こちら』)ので、買付予定株は(新株引受権行使を勘案しても)最大27,449株、買付代金は最大 6,039百万円となります。
一方、当社の貸借対照表(平成22年6月30日)を見ると、借入れ金はゼロで、
現預金 4,325百万円 (a)
受取手形・売掛金 5,245百万円 (b)
有価証券 705百万円 (c)
支払手形・買掛金 ▲2,509百万円 (d)
未払法人税等 ▲343百万円 (e)
(分かりやすくする為、流動負債項目を敢えて▲表示しています)
すなわち以上を合計すると、ネットキャッシュ(ネットの現預金)に 「近いもの」 の合計( (a)~(e) )が、7,423百万円。
要は、買付人は60億円の資金で74億円の現預金(に近いもの)を得ることが出来るわけです。
米国であれば、このような場合、『だったら私が、22万円ではなくて、24万円でTOBする』という対抗馬が出てくることが予想されます。
もちろん今回のMBOでもそういった対抗馬がこれから先、出てくる可能性も無いわけではありません。
しかし幻冬舎の場合、「見城社長の強烈な個性が収益を生み出す原動力である」と見ることも出来、仮に対抗馬が出てきて、より高い価格で幻冬舎を買収したとしても、見城社長が退社してしまえば、ゴーイングコンサーンとしての企業価値は大幅に毀損してしまうことが予想されます。
(これ以上、現在進行中の案件に対して、「仮にこうなったら・・」と想定してみても余り意味のないことかもしれませんが) 本件の場合、もし24万円でTOBするという対抗馬が出てきたら、幻冬舎の取締役会はどう判断するのでしょうか、頭の体操としては興味あるところです。
それにしても幻冬舎の場合、これまで市場でついてきた株価が安すぎました ― PER 4.5倍、PBR 0.4倍。
こんなに安い値段しか付いていないのであれば、「MBOして買い戻してやる」― そう思う経営者の気持ちは理解できるところです。
もっとも投資家の立場から見れば、「万が一見城社長が体調でも崩し退任したらどうなるんだろう」と思って、この株はなかなか買い進めなかった面があるのかもしれません。
さらに7年前に上場したときの幻冬舎の公募価格は120万円(分割調整後のベースで40万円)。
創業者としてこの値段で売り出しておいて、これを22万円で買い戻すことに対しては、「感情的に納得できない」と思う投資家も多いかもしれません。
今回会社が発表したプレス・リリースには「現在の当社の財務状況等からは、上場維持の最大のメリットであるエクイティ・ファイナンス活用による資金調達の必要性が当面なく、当社は上場会社としてのメリットを十分に活かしきれていない」とありますが、
「だったら、そもそも上場なんて、してはいけなかった」というのが多くの投資家が思うところだと思います。
| 固定リンク



コメント