QE2
昨晩日経CNBC(『日経ヴェリタス・トーク』)に出演しました。
テーマは米国の中間選挙とFOMC。
(1)11月2日の中間選挙の予想
下院議員の任期は2年なので435議席全部が改選対象になります。ここでは共和党が過半数を獲得すると見られています。
一方上院議員の任期は6年。100議席のうち改選となるのは、3分の1(33議席)に若干の上乗せがあり37議席。非改選の議員の中に、民主党議員が40名いるので、よほどのことがない限り、民主党は過半を維持できる見込み。
(2)共和党が下院で過半を握るとオバマ政権はどうなるか
米国ではねじれは珍しいことではありません。クリントン大統領も1993年1月に大統領になり、94年の中間選挙では民主党が敗れました。米国の政党は党議拘束がさほど強くありません。オバマもクリントンと同じように議会対策をきちんとやれば彼の政策を実行できると見られています。
(3)FOMC
11月2日、3日のFOMCでは更なる金融緩和が決まる見込み。量的緩和の追加額はマーケットでは2000億ドル~5000億ドルのレンジを予想。これを実行に移すタイミングも「直ぐに」という見方から、「5000億ドルといった大きめの額を上げておいて6ヶ月くらいの期間でこの上限額を埋めていく方向で実行していく」といった対応策を予想する向きもあり、いろいろ。
ただ何らかの、然るべき量的緩和策があるとマーケットは予想しており、だからこそダウ平均株価は7月始めの9,700ドルから、10月終わりの11,200ドルまで、4ヵ月間掛けて15%も上げてきました。
(4)円相場
日銀もFRBの動きに合わせて迅速な対応が取れるように金融政策決定会合の日を前倒し設定。よって何らかの追加措置を取ることが予想されます。
円相場は80円を切る方向に向けて動いてきています。79円75銭を上回る円高に一時的になるかもしれませんが、そうなるとトレーダーたちは、どこで反転するのか、かえって怖くなるはず。80円を切る円高は一時的になったとしても、そう長くは続かないかもしれません。
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ヴェリタストークでは、以上のような話をしました。
ところで米国では11月2日、3日のFOMCで決まると予想される「更なる金融緩和」のことを、QE もしくは QE2 と呼んでいます。
QE2 とは Quantitative Easing 2 のことで、第2弾の量的緩和のこと。第1弾が行われたときは、QE とは呼ばれていませんでしたから、いきなり QE2 がやってきたといった感じです。
このQEという、今では米国の市場関係者の誰でもが使っている言葉は、私の理解では最初に使い始めたのは日銀だと思いますが、いかがでしょうか?
だとしたら、FRBとしては、日本が2001年に始めた量的金融緩和政策を意識しながら、現在の金融政策の舵取りをしているといったところでしょうか。
アメリカの失業率は9.6%。特に若者(24歳以下)の失業率は19.1%です。
大胆な量的緩和には、金や原油・金属などの商品価格や資産価格の上昇などの副作用も伴います。しかしこれをやらざるをえないほど、実態経済は冷え込んでしまっています。
日経ヴェリタストークの再放送は、11月2日(火) 17:45~、19:06~です。
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