東京電力のCDSスプレッド
東京電力については上場来最安値を更新したとか、株価ばかりが話題になりますが、社債や信用リスクについても目を向けた方が良いでしょう。
まずは株価のチャート。
上図は10年間のチャート。
今日は362円でストップ安を付けています。
一方、CDSスプレッドの方は:
3月11日以降急騰しています。
ここで、いきなりCDSスプレッドが出てきて何のことかわからないという人も多いかもしれません。
実はこのブログではCDSスプレッドについて何度か取り上げてきています。
最近のものでも『こちら』でCDSスプレッドについて説明し、 『こちら』や『こちら』でも触れました。
とくに『こちら』はCDSを使って個人で1兆円強を稼ぎ出したポールソン氏の話。
難しい説明を読むよりも『こちら』の本を読んでしまった方が手っ取り早く理解できるかもしれません。
といっても「そんな時間はない」と言う方に講義風に説明しますとこうなります。
CDSとは:
(例えば)Aの債権1億円分のプロテクションを買った投資家は、Aが債務不履行に陥った場合に(プロテクションの)売り手から、1億円の債権の回収不能相当額を補償してもらう。
売り手はリスクを引き受ける代わりに毎年一定の保証料を買手から受け取る。
ということになります(これは『日経ヴェリタス』による説明です)。
要は、東電の社債を持つ人が毎年何パーセントの対価(「プレミアム」)を払えば、万が一東電の社債がデフォルト(債務不履行)になった際に、
そのリスクから解放される
(プレミアムを受け取った人が債権の相当額(額面額等)の金銭を支払う)
かを示すものです。
なお上述のグラフ(東電のCDSスプレッド推移)は東京金融取引所のウェブサイトより取ったものです(『こちら』)。
CDSスプレッドは CMA などでも公表しており、本日のブルームバーグは 「CMA prices for credit-default swaps が東電の場合、本日は3.91%、3月31日には 4.47%にもなった」 と報じています(『こちら』)。
毎年4%前後のプレミアムを払うことで、東電の倒産リスクから解放される―
「それならば」と思ってプレミアムを払う社債の保有者がいるかもしれませんし、
「天下の東電がつぶれるはずがない。ばからしい」と思って、そんなプレミアムは払わないという人もいると思います。
あるいは「万が一の場合には社債を持っている他人の面倒を見てやるから、ここはプレミアムだけをまずはもらっておこう」と思う人もいるでしょう。
こういった相対立する考えの人たちが市場で拮抗するポイントが、現状4%前後というプレミアムの水準です。
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