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2011年5月31日 (火)

豪ドル vs. ブラジル・レアル

昨晩は日経CNBC『日経ヴェリタストーク』に出演しました。

            Img_1936_2

トピックスは、豪ドル vs. ブラジル・レアルについて。

このところ豪ドル預金やブラジル通貨レアルの預金が人気を集めているといいます。

日銀の資金循環統計(2011年3月23日発表)によると2010年12月末の個人の金融資産は1,489兆円。

このうち株式投資は64兆円、日本円の流動性預金は297兆円、定期性預金が464兆円となっています。

注目すべきは外貨預金で、残高5.4兆円を記録しました。

2010年10月末時点で個人の外貨預金残高は4.9兆円となり、2000年以降で最高となったとニュースで伝えられていましたが、たった2か月間でその最高記録さえも10%ほど上回ったことになります。

特に人気を集めているのが高金利を付けている豪ドル。

たとえば三菱東京UFJ銀行の円定期預金は預入期間1年もので年0.03%。

それが豪ドルだと、3.42%にもなります(2011年5月27日現在)。

これだけ金利差があると、金利と為替の裁定が働き通貨安(円高、豪ドル安)に見舞われそうですが、少なくともここ2年くらいの動きをみると、豪ドルはむしろ円に対して強含んでいます(下図1)。

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              (図1)

結果的に豪ドル預金者は金利で得をして為替でも利益を得てきたことになります。

ブラジルの通貨、レアル建ての預金はどうでしょう。

ソニー銀行は5月16日から国内銀行では初めてのブラジル・レアル建て外貨預金の取り扱いを開始しました。

金利は3か月ものが5.4%。

レアル預金の取り扱い開始後たった10日間余りであっという間に3億円程度を集めたといいます。

ブラジル・レアルについても2009年以降の為替は堅調で、レアルの預金者は金利と為替の両面で利益を上げることが出来ました(下図2)。

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              (図2)

ただここで気をつけなくてはならないのは、豪ドルにしてもブラジル・レアルにしてもこの10年の間に数か月間で為替が約半値になるという暴落を経験していることです。

豪ドルについては2008年7月には1豪ドル105円であったのが、5か月後の12月には58円にまで45%も暴落しています(上図1)。

リーマンショック(2008年9月)で海外の投資家が一斉に資金を引き揚げて自国通貨に変えたことなどの事情によるものですが、

こういったリスクを抱えた上での外貨預金投資であることは認識しておく必要があります。

ブラジル・レアルについてはここ10年の間に2回(2002年と2008年)も半分近くに通貨が暴落することを経験しています(下図3)。

     Photo_3

              (図3)

両通貨とも資源を持つ国の通貨として人気を集めていますが、

せっかくの高金利も為替の下落リスクと背中合わせの関係になっていることを認識する必要があります。

よほどの余裕資金でもない限り、個人投資家として運用期間は1か月程度にしてこれをロールオーバー(再設定)するといった形の方が無難かもしれません。

1年間という期間設定だと為替が激しくアゲンストに動き始めても、預金を下ろすに下ろせないということになりかねません。

更に付け加えますと、仮に2008年後半のようなことが再度あるとすると、たとえ1か月程度の運用期間であったとしても傷つく可能性があります。

リスクなくして「リターンだけある」といった「都合の良い話」なんて、基本的にはありません。

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2011年5月29日 (日)

20 Under 20

映画ソーシャルネットワークをご覧になった方でしたら、フェイスブックが最初に投資家から資金を入れた時の場面を覚えていると思います。

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ショーン・パーカーに連れられて、マーク・ザッカーバーグ は投資家に会います。

映画タワーリング・インフェルノの舞台となったビルのオフィスで、この投資家はザッカーバーグに「50万ドル投資する」と言います。

その後ザッカーバーグはエドワルドに電話をして、「Peter Thiel がフェイスブックに50万ドル投資してくれることになったんだ」と興奮気味にしゃべります。

映画の中でザッカーバーグが興奮してエドワルドに語ったPeter Thiel は、シリコンバレーでは有名な起業家・投資家で、すでに当時から PayPal の創設者の一人として知られていました。

そして現在では彼はフェイスブックへの最初の投資家(the first outside investor)として、より広く世界中に知られるようになっています。

さて先週 5月25日、Peter Thiel は、20 UNDER 20 THIEL FELLOWS を発表しました(『こちら』)。

THIEL FELLOWS に選ばれた24人(予定では20人のはずが絞り切れず24人となってしまったのでしょう)の若者(20歳以下)には、The Thiel Foundation を通じて1人あたり10万ドル(約800万円)の資金が付与されます。

と同時に The Thiel Foundation は彼らに対して mentorship をはじめとする各種サポートを行うというもの。

この中から将来のマーク・ザッカーバーグ が現れるのかどうか・・・。

400人以上の応募者の中から選ばれた24人のメンバーは『こちら』。小学3年生のときから大学のコンピューターのクラスを取った人とか、凄い若者たちがぞろぞろと出てきます。

中国系の人、モスクワからやってきた人なども目につきます。

日本人がひとりもいないのはちょっと寂しいです。

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「炉心溶融(メルトダウン)」 → 「メルトスルー」 → 「そしてその先」

福島第一。炉心溶融(メルトダウン)だけではなくて、一部の燃料が圧力容器の外にまで溶け落ちる「メルトスルー」も起きている可能性が高いことはすでに多くの専門家が指摘しているところです。

たとえば元東芝原発設計技術者・後藤政志氏はテレ朝のニュース解説番組(5月25日)で『こちら』(←クリックしてみてください)のように解説しています。

     Photo_2

                   (YouTubeの画像から)

さらに後藤氏は「格納容器も損傷していて、そこから放射性物質が外に常に漏れている」「収束の手だてが非常に難しい。厳密にいうとできない。緩和するだけだ」と述べています。

京都大学原子炉実験所小出裕章助教もメルトスルーが起きている可能性が高いとの意見。

では格納容器の損傷はどの程度なのか。

小出裕章助教はウラン燃料が格納容器を溶かして地下にめり込んでいるだろうと見ています。

詳しくは『こちら』および『こちら』

2800度まで溶けないウランが溶けて格納容器の底に落ちているとしたら、どうなるでしょうか。

格納容器の鉄は1400~1500度で溶けます。

すなわち溶けたウランが格納容器の鉄と直接接触するようであれば、溶けたウランは格納容器の底さえも溶かして地下にめり込んでいくのではないか・・。

格納容器の底にはどれだけ水がまだ残っているのか(十分な水が残っていれば溶けたウランが直接鉄と接触することはないのですが、さて・・)。

汚染が地下へと拡大していくことが心配です。

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2011年5月28日 (土)

男気

昨晩はデジタルハリウッド大学復興支援委員会(仮称)とデジコンサロンとの共催会議に出席しました。

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楜澤さん大矢さんなど、被災地にボランティアで行かれていた方々から生の声を聞きました。新聞・テレビで報道されない現地の実情がわかります。

たとえば「石巻では3月末時点で被災者の誰も白いご飯を食べていない」との情報を農水省が聞きつけた。そして名古屋で18,000人分の炊き立てご飯を作り、自衛隊基地経由で石巻の自衛隊基地に運ばせたが、石巻に着いたときは既に炊き立てではなくなっていた。しかも自衛隊はこれを被災者に配るルートがその時なくて、結局16,000人分は捨てられてしまった・・・。

特に大矢さんは3月27日からずっと現地入りしていて昨日東京に一時帰ってきたばかりとのことで、我々は直近の生の情報を知ることが出来ました。

現地の情報を的確に捉えないと、全国から古着がたくさん送られてきて被災地はむしろ対応に困ってしまうといった「ミスマッチ」が生じてしまいます。

* * * *

秋葉原での会議の帰り。駅のスタンドを覘いたら、夕刊フジの大きな見出しが目に入りました。

「菅に逆らった、原発所長、男気」

実は海水注入を中断せずに、現場判断で注入を続けていたことを報じたものなのですが、この辺のタイトルのつけ方はさすがですね。思わず130円出して買ってしまいました。

大新聞が書きたくても書けないことをピンポイントで突いてきます。

私はその昔、ジェット機のパイロットから聞いた話を思い出しました。

機が何らかの事情で操縦不能になったらどうするか。

そのパイロットが教官から教わったのはただ一つ。

「乗客を救おうとか、管制塔の指示に従うとか、そんなことを考えるよりも、自分が生き延びることだけを考えろ。それが結果的には乗客、乗員を救うことにつながる」

たとえ官邸が「総理が海水注入を中断しろと言っている」と指示したとしても、そんなことをしたら現場の所長以下、職員の命が無くなる可能性が高くなる。だとしたら、現場の指揮官としては、現場が生きることを優先させる。それが結果的には日本を救う道につながる・・。

まったくの私の憶測ですが、当時の吉田所長はまさに操縦不能機を運航するパイロットのような心境だったのかもしれません。(すいません、最近憶測でブログを書くことが多くて反省しています)。

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2011年5月27日 (金)

東京の放射線量

毎日、新聞で発表されている東京・新宿の放射線量の数値。

これは、地上18メートルの高さで計測されているものだそうです。

政府によると、これは空間放射線量を計測したものであり、空間放射線量は地上からの影響を避けて、空気中に漂う放射性物質だけを測定するものだから、こうしているとのこと。

しかし我々は地上18メートルの高さを歩いているわけではありません。

放射線量を地表1メートルのところで測りなおすとどうなるでしょう。

公表されている数値よりかなり高くなる、場所によっては、2~5倍になると言います。

たとえば東京都心、溜池交差点付近で、0.128μSv/h(マイクロシーベルト毎時;5月2日の測定値)。

これは、このままの状況が1年続くと、1.12mSv(ミリシーベルト)となり、国際放射線防護委員会の定める一般公衆の年間被曝許容限度(1mSv)を超えてしまうレベルです。

詳しくは『こちら』のサイトをご覧ください。

ところで、以前このブログで石川宏さんのウェブサイトをご紹介しました。石川さんは大手通信会社の研究所所長、ネットワーク部長などを歴任された方(工学博士)。

原発事故が起こる前から、東京(日野市)のご自宅に、ガイガーカウンターを設置して、毎日放射能レベルを検知し、それをブログで発表していました。

この数字が政府が発表する数字とかなり違う(政府の方が格段に低い)ことから、私は以前から変だなと思っていたのですが、やっと上記のような理由であることがわかりました(もっとも石川さんの計測値は原発事故以前から結構高い数値を示しています。この辺の事情はよくわかりません)。

* * * *

さて昨日出版社の編集長の方が来社しました。

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「今度こういった本をつくりました」

ということで編集長からもらったのが、武田邦彦著『原発大崩壊!』

さきほどの放射線量測定のように、「実はこうなっていた」というケースにこのごろよく遭遇します。

(「実は最初から炉心溶融が起きていた」、「海水注入は実は継続していた」などなど)。

我々は自分で情報を収集し、自分で考える必要があります。

そういった意味で一読の価値ある本だと思いました。

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2011年5月26日 (木)

まだ観ていない方にお勧め

マークザッカ―バーグは(この映画を観て)『自分の着ている服以外は全部違う』と言ったとか・・。

しかしシリコンバレーの何たるか、そしてグーグルを脅かすような会社(フェイスブック)が立ち上がってくるアメリカ資本主義のダイナミズムを感じることが出来ます。

DVDが出ました。 『こちら』です。

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かもめのジョナサン

『かもめのジョナサン』は1970年に米国で出版された小説。

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作者のリチャード・バックは次のような言葉を残しています。

Sooner or later, those who win are those who think they can.

[出来ると前向きに思う人がいずれは本当に出来る(成功する、勝つ)ようになる]

* * * *

一方、チャーチルはこんな言葉を残しています。

We make a living by what we get, we make a life by what we give.

[我々は稼いだ(獲得した)もので生活するが、人に与えることで人生は形作られる]

* * * *

実はこれらの引用句(Quotes)はGreat Minds Quotesというツイッターで知ったものです。

Sinead Duffyという人がやっているものですが、1日に10個くらいこうしたQuotesを知らせてくれます。詳しくは『こちら』

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        (Sinead Duffy)

* * * *

ツイッターを使ったことがない、使い方が分からないという方は『こちら』をどうぞ。

基本的にはメールアドレスとその他いくつかを入力するだけで、アカウントの登録が出来ます。

『人がつぶやくのなんか興味ない』-たしかにそうですね。わたしもずっとそう思ってきました。

ただこのGreat Minds Quotesやブルームバーグニュース日本語版などはフォローしています。

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2011年5月25日 (水)

コマーシャル

東京新聞夕刊に「書物の森」というコーナーがあります。

昨日の「書物の森」の「今週の本棚」欄で拙著『定年後 年金前』が紹介されました。

下記です(↓)。

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なおちょうど地震の2日ほど前になりますが、日刊ゲンダイに紹介された時の記事はこちらです。

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2011年5月24日 (火)

武田邦彦さんの国会での参考人陳述

武田邦彦さんについてはこのブログでも紹介してきました(『こちら』)。

5月18日、武田さんが衆議院文部科学委員会に参考人として呼ばれ、陳述したときのYouTube動画が『これ』(←クリックしてください)です。

10分間の動画ですので是非ご覧になってみてください。

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武田さんは「これまでの安全基準が1年間で1ミリシーベルトであったものが、事故が起きてから、1年間で100ミリシーベルまで平気だ、と変わるのはおかしい」と述べています。

あたかも高速道路の制限速度が時速100キロから突然「時速1000キロまで安全」と変わるようなものだと・・。

* * * *

こちら(以下の青字、茶色字、および写真)はフリージャーナリスト田中龍作氏のサイトから。

  福島の母 「校庭の土を舐めて下さい」

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厚労省の担当者に福島市内の小学校の土を渡す佐藤幸子さん (5月2日、参院会館。写真:田中龍作氏撮影)

「福島県の校庭利用にあたって、文科省が定めた放射線量の上限である年20ミリシーベルトは出所、根拠ともに不明であることが明らかになった」(5月3日『こちら』)。

「「放射能から子供を守れ」、父母らの不安と怒りは募る一方だ。児童の被曝許容量を20mSvとした通達の撤回を求めて福島県の父母らが23日、文科省と交渉した。

ICRP(国際放射線防護委員会)の2007年勧告では公衆の被曝量は 、1mSv/年 以下とされている。20mSv/年というのは仕事で放射線を浴びる職業被曝の基準なのである。ただ日本政府がICRPの07年勧告をまだ受け入れていないため“違法扱い”されていないだけだ」(5月23日『こちら』)。

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2011年5月23日 (月)

失敗学と非属

昨日読んだ『非属の才能』(山田玲司著、光文社新書)。

10代後半から20代の方にお勧めの本ですが、私のような世代の人間にもところどころ大切に思えるページがありました。

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幾つか引用してみます(以下、青字部分はすべてこの本からの引用です)。

* * * *

『「新しいことにチャレンジすれば、結果は必ず〝失敗″である」

東京大学名誉教授の畑村洋太郎氏は、大学で工学系の失敗を数多く見てきた経験から、「失敗学」なる学問をはじめた人物だ。

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   (畑村洋太郎著『失敗学のすすめ』

畑村氏は、「いつも成功してますって奴がいたら、そいつは新しいことをやんない奴だ」と言う。・・・・

エジソンが、1万回の実験失敗に対して、「1万回うまくゆかない方法を見つけたのだ」と言ったように、失敗は「この方向にいくとダメになる」という重要な教訓をもたらしてくれる』

* * * *

『あの手塚治虫でさえ、ヒット作の打率は二割に及ばなかったという。

アトムやブラック・ジャックやジャングル大帝の陰に、おびただしい数の報われない作品があるのだ』

* * * *

『手塚治虫の未完の名作『火の鳥』は連載当時なかなか人気が出ず、水木しげるの代表作『ゲゲゲの鬼太郎』第一話の人気投票は最下位だった。・・・

黒澤明は「もうあんたは古い」と映画を撮らせてもらえなかった時期に自殺未遂まではかっているが、ジョージ・ルーカスたちの支援でチャンスをもらうと、すぐに名作『影武者』を撮った』

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2011年5月22日 (日)

米サイエンス誌の記事

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上の写真は米国の『Science誌』から。

『3月の巨大地震(黄色の輪郭線で示す)とその後の余震(色で描かれた輪で示す)が、人々を脅かす「ひずみ」の一画(白い「?」マークで示す) を残した』との説明が加えられています。

High-tech analyses of Japan's March earthquake overturn long-held views of fault behavior and warn that another disaster may be looming.

(3月の日本の地震をハイテクを駆使して分析したところ、長いこと信じられてきたプレートの「ひずみ」の動きに関するこれまでの見方が覆ることとなった。

前回のような災害が今ふたたび不気味に迫っているのかもしれない。。)

このような出だしで記事は始まります。

詳しくは『こちら』をどうぞ。

なおこの件は日本のマスコミでも一部報道されていますので手っ取り早く日本語でエッセンスをという方は『こちら』『こちら』をどうぞ。

If the offshore southern portion is indeed stuck, Simons and colleagues see “the possibility of a sibling to the 2011 event” that could be “similar to what just occurred offshore,” but half as far from Tokyo.

(サイモンズ教授と仲間たちは次のように見ている:『もしも沖合の南側の部分が本当にstuck(詰まって動かない)してしまっているなら、2011年に起きたことと、あたかも兄弟のように同じようなことが起こりうる。それも今度は東京からの距離が前回に比し半分のところでだ』)

サイエンス誌はこのように警鐘を鳴らしているのですが・・・。

この辺の研究が一刻も早く進むことを願ってやみません。

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2011年5月20日 (金)

IPO後の初値は公募価格の84%増

日本のIPO市場に比べれば、投資家にとって夢のような話です。

LinkedIn 

IPO Price (公募売り出し価格) $45

初値  $83

その後 $92.99

現在(11:02 AM EDT) $87.49

時価総額は今や約$8.6 billion。

日本円にして7000億円。

DeNA 4400億円

グリー 3600億円

ですので、1日で両社を抜き去りました。

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中途半端

みずほ銀行とみずほコーポレート銀行の合併。

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意思決定を一元化するため、と言いながら、持ち株会社社長と銀行頭取にはそれぞれ別の人がつきます(報道ベース)。

みずほFG(持ち株会社):社長 佐藤康博 (興銀出身)

みずほ銀行:頭取 塚本隆史(DKB出身)

何のことはない、システムトラブルを起こしたみずほ銀行の西堀頭取(富士出身)が詰め腹を切らされ、富士出身者が経営の一線から消えただけとも見えます。

ほんとうに意思決定を一元化したいなら三菱銀行方式を取るべきでしょう (同じ人が持ち株と銀行の双方のトップに就いています)。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(持ち株会社):社長 永易 克典(三菱銀行出身)

三菱東京UFJ銀行:頭取 永易克典(三菱銀行出身)

まあ、みずほもやっと三井住友レベルになった(下記)と見ることができますが、経営意思決定プロセスの明瞭・簡素化、迅速化にはまだちょっと先が長い気がします。

【参考】

三井住友フィナンシャルグループ(持ち株会社):社長 宮田 孝一(三井銀行出身)

三井住友銀行:頭取 國部 毅(住友銀行出身)

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2011年5月19日 (木)

LinkedIn IPO

昨日のLinkedIn IPO (『こちら』)。1株45ドルで売り出され、LinkedInの時価総額は、$4.25billionとなりました。

誰が株を持っているのか、SECへの登録資料(『こちら』)を調べてみましたら、やはり創業者やセコイアなどのVCでした。

第1位の株主は創業者のReid Hoffman と彼の奥さんのMichelle Yee で全体の21.2% (IPO後 20.1%)。

      Reid_hoffman

          (Reid Hoffman)

第2位はVCのSequoia で全体の18.7% (IPO後17.8%)。

第3位も同じくVCのGreylock で全体の15.6% (IPO後14.9%)。

Hoffman はいきなり 700億円近くの資産を持つことになりました。

ところでFacebookの方はどうなんでしょう。

こちらは来年の4月にもIPOすると言われています。

すでに私募のベースで株式が売りだされたことがあり、このときの価格をベースにすると、IPO後の時価総額は $70 billion(『こちら』)。 ちなみにGoogleは現在 $170 billion。

$70 billionというと日本円で約5.6兆円ですので、トヨタ、ドコモに次ぐ第3位(時価総額ランキング)に位置することになります。

なお、LinkedInの設立は2002年。Facebookは2004年の設立です。

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2011年5月18日 (水)

MIT メディアラボ

MITメディアラボ。

  Mit

ホームページ(『こちら』)にある概要(Quick Facts)を並べるとこのようになります。

QUICK FACTS

  • Year founded: 1985
  • Graduate concentration: Media Arts and Sciences
  • Number of graduate students (2010-2011): 139 (65 master's, 74 PhD)
  • Number of faculty and principal investigators: 28
  • Number of sponsors: 60+
  • Annual operating budget: approx. $35 million

ご存知の方も多いと思いますが、この第4代所長に伊藤穰一さんが選出されました(4月25日)。

MITのプレスリリースは『こちら』

『こちら』は伊藤さんのブログ。

伊藤さんと言えば、最近ではたとえばデジタルガレージを通じてTwitterに出資された方としても有名です。

石黒さんの記事ニューヨークタイムスの記事も参考になると思います。

伊藤さんの活躍ぶりを見ていると、日本だ、アメリカだ、などとは言ってられなくなります。

メディアラボの今後に注目です。

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2011年5月17日 (火)

毎年7500万人増える世界の人口

毎年7500万人増える世界の人口。これはドイツ一か国の人口に匹敵。

29年後には90億人に。

ミネソタ大学のビデオから(英語ですが全部字幕なのでわかりやすいと思います。約3分です)。

『こちら』です。

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2011年5月15日 (日)

プレートの拡大・移動

地球のプレートの動き(↓)。

Movements_2

   (図はクリックすると大きくなります)

たとえば北米プレートとユーラシアプレートの間は広がる方向にあります。

その接点にアイスランド沖合があるのですが、実際に潜って2つのプレートのギャップが拡大している様を写真にとらえたダイバーがいました。

     Gap2

     (図はクリックすると大きくなります)

地球の神秘を感じさせる写真です。

こうしてプレートが動くから巨大地震が発生するのか・・

是非『こちらのサイト』でダイバーがとらえた写真の数々をご覧ください。

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債権放棄

5月13日の枝野官房長官の発言。

『金融機関が原発事故以前の東電への融資の債権放棄などをしなければ(東電支援の枠組み策定について)国民の理解は到底得られない』(『こちら』) 

         Edano

彼が言おうとしていたことを勝手に憶測してみます。

あくまでも私の勝手な憶測です。

『3月11日の地震・津波による福島第一原発事故で東京電力は実質的に破綻してしまったはず。

資産 137,951億円、負債 108,130億円、資本勘定 29,822億円の会社(平成22年12月末)が、資本勘定を上回ると予想される簿外負債(被害者への補償、廃炉に係るコストなど)を発生させてしまったからだ。

したがってこの時点で東電に融資していた銀行の貸出債権はすでに大幅に毀損されていたはず。

そもそも銀行はそういったリスクを見込んでこれまでの貸出債権について金利収入を得てきたはずなので、これだけのことが起きても銀行が無傷というのであれば、いままで(東電が原発を運転していた過去40年間以上)銀行が得てきた膨大な金利収入はいったい何だったのかということになる。

実質債務超過に陥った東電を国民負担(財政支出、電力料金値上げ)で救う結果、すでに大幅に毀損されてしまっていた銀行の貸出債権さえも、国民負担で救うというのは、ロジックとしておかしい』

* * * * * 

これに対する銀行側のロジックというのはこういうものでしょう。

『3月11日の時点で実質的に破綻してしまったというのであれば、株主価値がまずゼロとなり、そのうえで債権者は担保の有無、優先順位等にしたがって救済されていくべき話。

政府の言っていることは、株主には責任(減資、上場廃止)を求めずに、債権者に負担を求めるものであり、これは資本主義(株式会社制度)のロジックに反する。

さらに債権者についても、社債権者と銀行とを不平等に扱うものだ。

社債への投資という形で東電に資金供給してきた生損保と、貸出という形で資金を出してきた銀行をなぜ差別するのか。

東電向けの貸出債権を証券化して投資家に販売しているようなケースがもしあったとしたら、こうした金融商品へ投資する人は保護するのかしないのか』

* * * * * 

水面下でこうした話がなされているのか、いないのか・・。Tepco_2

                (東電の『CDSスプレッド』推移)

水俣病を起こしたチッソに対する金融支援のときもそうでしたが、もともとある法律(民法、会社法)とは少し違った形で解決を図ろうとすると、すっきりとしない部分が一部出てきます。

『三方一両損です』

チッソに対する救済策策定のとき役所の幹部がこう発言していました(『こちら』)。

こうした枠組みの下では、関係者が自分の庭だけ綺麗にするということは出来なくなります。

それでは資本主義のロジックにそった、スパッと竹を割ったような外科手術的解決策は ―  というと、それはそれで実は関係者の誰もが望まなかったりします。

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2011年5月14日 (土)

こちら特報部

一昨日の東京新聞。

「こちら特報部」は必見だと思いました。

まずは東京新聞のウェブサイトから(『こちら』)。

東電また“情報操作” 「電力不足キャンペーン」にモノ申す (2011年5月12日)

中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の停止決定を機に、またぞろ「電力不足キャンペーン」が始まった。

中電による電力融通の打ち切りが理由のようだが、「こちら特報部」の調べでは、被災した東京電力広野火力発電所(福島県広野町)が七月中旬にも全面復旧する。

そうなれば真夏のピーク時も電力は不足しない。

国民を欺くような“情報操作”の裏には、なおも原発に固執する政府や電力会社の姿勢が垣間見える。 (佐藤圭)

【こちらは記事の前文です】 記事全文をご覧になりたい方は、東京新聞朝刊または、携帯電話の有料会員サービス「東京新聞・東中スポ」をご利用ください。

東京新聞は、関東エリアの駅売店、コンビニエンスストアなどでお求めいただけます。 購読・バックナンバーをご希望の方は「新聞購読のご案内」をご覧ください』

* * * *

記事は『真夏のピーク時も電力は不足しない』と断言していますので(上記サービスを利用されるか、図書館などで)是非ご覧になってみてください。

なお「日々坦々」というブログ(『こちら』)の作者の方はこのようにコメントしています。

『東京新聞の原発や東電関連記事は、他紙をはるかに引き離すくらい、徹底して読者側・国民の立場に立った記事を書いている。それは、本来のマスメディアの役割でもある「権力の監視」が、全ての記事ではないが徹底されいると言える』

* * * *

話は変わりますが、そう言えばということで、思い出しました。

実は私も東京新聞の『こちら特報部』に載せて頂いたことがあります。

2006年3月12日。 こちら(↓)の記事です。(画像はクリックすると大きくなります)。

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このときの記者の方も非常に『記者魂』の強い方でした。

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2011年5月11日 (水)

LNG

日経CNBCの『日経ヴェリタストーク』には『ヴェリペディア』というコーナーもあります。

『「日経ヴェリタス」の新興国紹介欄を、コメンテーターがさらに掘り下げて解説。各国の意外な素顔や金融・経済情報を聞く』

というコーナーです。

一昨日はインドネシア。

私に残された時間は約1分間。

1分間でインドネシアについてTV視聴者の印象に残ることを言わなくてはなりません。

しかも新聞(日経ヴェリタス)に載っていない何かを・・。

何が言えるか。。。

1分間ではあまり多くは言えません。

『人口が2億4千万人。中国、インド、アメリカに次ぎ世界4位。

GDPは世界18位。韓国(15位)の比較的近くまで接近してきた・・。

資源・エネルギーに恵まれている。

いま問題となっている日本の電力。

日本の電力需要の29%は原子力によってまかなわれているが、同じく29%を天然ガス(LNG)が占めていて重要な役割を果たしている。

このLNGを日本がもっとも多く輸入している先がインドネシア(全体の19%)・・』

と、まぁ、ざっとこんな話をしました。

興銀時代、私は豪州のLNG開発(Woodside)のプロジェクト・ファイナンスを担当し、現地に実査にも行きましたが、同じチームの仲間はインドネシアのLNG開発の審査を担当していました。

天然ガスはマイナス約162°で液化されます。

私は袖ヶ浦のタンクが完成する前に中に入ったことがありますが、東京ドームが丸ごと地下に埋まっているようなイメージでした。

ドームの天井から下に階段を降りていくようなイメージで地中に埋まっているタンクの下まで降りました。(かなりの深さで落ちれば即死でしょうから、ちょっと怖かったです)

話がそれてしまいました。。。

TV番組でお話した日本の電力の電源別発電電力量については下図を参照(今後の見通しのところは今となっては違ってしまっています)。

出所は電気事業連合会『でんきの情報広場』。なお図はクリックすると大きくなります。

Pres_jigy_japa_inde02_l_3

日本のLNG輸入量産地別割合はこちら(↓)をご参照ください。

出所は財団法人天然ガス導入促進センター『日本のLNG(液化天然ガス)輸入量の現状と輸入量の推移』。

なおこちらの図もクリックすると大きくなります。

Fig_lngimp2_3

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2011年5月10日 (火)

38勝8敗

日経CNBCの『日経ヴェリタストーク』に出演しました。

番組は震災後2か月近く中断していました。今日が復帰第一号です。

ヴェリタスの編集長も山崎さんから越中さんへ、キャスターも小川さんから曽根さんへと変更となりました。

さて今回の番組は4月30日のバークシャーの株主総会を振り返ってのもの。

         Nikkei_v

毎年ネブラスカ州オマハで開催されるバークシャーの株主総会には4万人もの株主が出席、バフェットが5~6時間かけて株主の質問に丁寧に答えます。

現在バークシャーの株は1株約1,000万円(先週末 120,280ドル)。

これでは簡単に株主になって出席することはできない ― そう思っている方に朗報です。

1996年からバークシャーはB株を発行し始めました。そしてこちらは1株約80ドル(約6,500円)。

B株の株主でも株主総会に出席できます。

B株は通常のバークシャー株(A株)の1,500分の1の経済価値を持ちます。B株の議決権はA株の10,000分の1。

A株はB株1,500株に交換可能ですが、B株を1,500株集めてもA株にすることはできません(詳しくは『こちら』)。

このため市場では常に、

A株の株価≧1,500×B株の株価

なる関係が成立します(万が一そうなっていないと、すぐに裁定取引が行われます)。

と思って、先週末の株価でこの関係をチェックしてみると、

A株の株価=120,280ドル

1,500×B株の株価(80.21)=120,315ドル

と、上記の関係は成立しておらず、裁定が働く余地がありました!

バークシャーのアニュアル・レポートにはバフェットが同社の経営権を握った1965年から最近年までの毎年のパフォーマンス比較(対S&P500)が載っています。

2010年末の報告書を見ると、46年間のパフォーマンスは38勝8敗。

バフェットは46年間のうち38年間、市場に勝ってきました。

しかもトータルのリターン(46年間)は、市場が63倍、バフェットは4,904倍。

1965年に100ドル投資していれば、2010年には490,400ドルになっていた計算になります。

ただし最近2年間の投資成績(2009年、2010年)は市場(S&P500)に敗れてます(『こちら』)。

『日経ヴェリタストーク』の再放送は

5月9日(月) 24:00~24:15、5月10日(火) 18:30~18:45、19:06~19:21 の3回です。

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2011年5月 8日 (日)

市場を牽引するもの

日経平均が 18,300 円(2007年2月)とか、18,297 円(2007年6月)をつけていた時。

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     (日経平均2001~2011年)

市場を牽していたのはトヨタでありキヤノンでした。

たとえばトヨタの営業利益は、

2005年度(2006年3月末期)で、1.9兆円、

06年度(07年3月末期)で、2.2兆円、

07年度(08年3月末期)で、2.3兆円。

3年続けてこのようなパフォーマンスを上げたものでしたから、

市場はトヨタを「営業利益2兆円は期待できる会社」と評価。

時価総額も一時30兆円をつけていました(07年2月)。

30兆円という時価総額(株価8,300円)は、トヨタがその年に上げた営業利益 2.2 兆円の13~14年分ですから、まぁ、妥当な水準であったわけです。

ちなみにトヨタの2011年3月末期の営業利益見通しは5,500億円。現在つけているトヨタの時価総額は11兆円であり、今期予想営業利益の20年分。

市場は 「トヨタの業績はまだまだ回復過程にある、少なくとも営業利益1兆円くらいは比較的早い段階で期待できる」 と見ており、だからこそ現在の株価 3,200 円がついていると考えることが出来ます。

話を前に戻しましょう。

2006年や2007年に日本経済を牽引したトヨタやキヤノンのような役割を、今の日本ではどの企業が担っているのでしょうか。

現在、時価総額トップ10を1位から順に並べてみると、トヨタ、ドコモ、ホンダ、三菱UFJ、NTT、キヤノン、三菱商事、三井住友、ソフトバンク、日産となります(5月6日現在)。

これらの会社に2006~07年期のトヨタやキヤノンのような活躍が期待できるのかどうか。

ひるがえって米国の場合はどうでしょう。

ダウ平均株価は昨年1年間で11%上昇し、リーマンショック前の水準を上回りました(2010年11月4日、11,434ドル)。現在はこの水準よりさらに1割強も上昇していて、12,638ドルのレベルにあります。

      Dow

       (ダウ平均株価推移)

市場では、「バーナンキのQE2がうまく機能してきた」とかいろいろなことが言われてきていますが、ダウ平均株価を構成する30社の業績が良いことも見逃せません。

個別の会社の株価をまず見てみましょう。

たとえばIBM。

Ibm

      (IBMの株価推移)

あるいはキャタピラー。

Catapilar

     (キャタピラーの株価推移)

ハンバーグのマクドナルドはどうでしょう。

Mcdonald    

     (マクドナルドの株価推移)

これら3社はいずれもダウ平均株価を構成する30社の1つですが、新興国の需要も着実に取り込み業績をのばしています。そして株価も最高水準を更新し続けてきています。

さらに米国ではFacebook や Twitter のように、設立(Facebook 2004年、Twitter 2006年)後まだ数年しか経っていないにもかかわらず、すでに世界で6億人(Facebook)とか2億人(Twitter)のユーザーを獲得(『こちら』)している会社も出現しています。

しかもこれらの会社は株式市場が渇望しているにもかかわらず未だ上場さえしていません。

政府部門の肥大化を防ぎ、民間の力を最大限に発揮させる―こう叫んでいた小泉政権(2001年4月~2006年9月)が終わりを告げてから5年が過ぎようとしています。

現在の日本でも、新興国の需要・成長を取り込み、日本経済を牽引する企業の出現が期待されるのですが、さて・・。

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2011年5月 5日 (木)

東京電力顧問・元参院議員の加納時男氏への朝日新聞インタビュー

朝日新聞が掲載した5月5日付の加納時男東京電力顧問(元東京電力副社長)へのインタビュー記事。

すでにネットの世界(とくにtwitter)でもかなり広く取り上げられています。

以下はその一部(青字が加納氏発言部分)。ぜひとも新聞記事で全文をご覧になってください。

* * * *

(福島の現状をどう感じてますか、の問いに対して)

『東電出身、元国会議員として二重の責任を感じている・・・

地元の強い要望で原発ができ、地域の雇用や所得が上がったのも事実だ。』

(河野太郎氏は「核燃料サイクル」政策は破綻していると主張しています、との問いに対して)

『反原発の集会に出ている人の意見だ。自民党の意見になったことはない。

反原発の政党で活躍すればいい。

社民党に推薦しますよ。

福島瑞穂党首は私の大学の後輩だから』

(今後も原発を新設するべきでしょうか、の問いに対して)

『・・原子力の選択肢を放棄すべきではない。福島第一原発の第5、6号機も捨てずに生かす選択肢はある』

(東電の責任をどう考えますか、の問いに対して)

『東電をつぶせと言う意見があるが、株主の資産が減ってしまう。金融市場や株式市場に大混乱をもたらすような乱暴な議論があるのは残念だ・・

低線量の放射線は『むしろ健康にいい』と主張する研究者もいる。

説得力があると思う。

私の同僚も低線量の放射線治療で病気が治った。

過剰反応になっているのでは。

むしろ低線量は体にいい、ということすら世の中では言えない。これだけでも申し上げたくて取材に応じた

* * * *

以下、加納氏の発言に関する私の感想です。

【1】低線量の放射線は『むしろ健康にいい』と主張する研究者がいることについては、私も2年ほど前にこのブログで書きました(『こちら』)。

しかし福島第一が放出してきたのは高いレベルのものであり、周辺住民から住む土地を奪い、生活を破壊し、農業・漁業にも多大な影響を及ぼしています。

国際社会は、日本のことを地球環境を破壊した国、原子力を適格に扱えない国と見なすようになり、日本の威信は傷つきました。

【2】加納氏は『東電をつぶせと言う意見があるが、株主の資産が減ってしまう。金融市場や株式市場に大混乱をもたらすような乱暴な議論があるのは残念だ』と述べていますが、

『株主の資産が減ってしまう』からといって、国民負担にするというのは資本主義の原則から外れます。

そんなことをすれば、日本の市場が異質なものと国際的に映ってしまい、それこそ金融市場、株式市場に悪影響を及ぼします。

2010年4月にメキシコ湾原油流出事故(Deepwater Horizon oil spill)を引き起こしたBPは、

すでに同年の12月末決算にて

409億ドル(3.3兆円)の損失引き当てを計上しました(『こちら』)。

    Bp_2

     (BPのアニュアル・レポート)

もし仮にBPの経営陣(もしくは顧問)が『株主の資産が減ってしまう。金融市場や株式市場に大混乱をもたらすような乱暴な議論があるのは残念だ』といったコメントを発すれば、それこそ世界の笑いものになっていたでしょう。

水俣病を引き起こしたチッソも、債務超過になり上場廃止になっても補償責任をまっとうしてきました。

河野さんが同じ朝日の紙面で、(東電には)『逆立ちしても鼻血が出ないくらいまで賠償金を払わせるべきだ』と述べていますが、東電にまず求められるのは徹底したリストラです。

たとえば原因企業である東電には、副社長(原子力担当)を務めた後、12年間参議院議員を務めた人を再度顧問として雇い入れる余裕など無いはずです。

バブル崩壊後に公的資金を受け入れた金融機関も当然のことながら徹底的なリストラを余儀なくされました。「顧問」や「相談役」の廃止もその一つでした。

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チョッと信じられないキャタピラーのカモフラージュ

Unbelievable caterpillar camouflage (チョッと信じられないキャタピラーのカモフラージュ)と題して米国から送られてきたので、

先般発表された決算で何かあったのか、と思いましたが、自然界のキャタピラー(チョウ、ガの幼虫)のことでした。

画像はクリックすると大きくなります。

本当にうまくカモフラージュしています。

Unbelievable_caterpillar_camouflage

どうやってそうなっていくか、詳しくは『こちら』をどうぞ。(卵から変わっていく写真が出てきますので下の方へどんどんスクロールしていってください。)。

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2011年5月 2日 (月)

坂本泰樹医師からのメール

AFS留学生同期(18期)の坂本泰樹医師がメールをくれました。

彼は「空飛ぶドクター」として著名で、本(『こちら』)も著しています。

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坂本医師からのメールは、AFS18期同期全員(ただしアドレスが分かっている人)に同送で送られてきたものです。

タイトルは、『「放射線騒ぎ」に煽られないように!』というもの。

特に私にとって「目から鱗」だったのは「内部被曝」に関する説明。

飲んだり食べたりしても、尿や糞便として体外に出ていく方がほとんどで、体に吸収されるのは10分の1や百分の1になるでしょう』

と明快な説明をしています。

坂本医師からの了解を得ましたので以下にそのメールの一部を転載します。

* * * *

「数字で言うと、科学(微生物学や放射線学など)の世界では一般の人に馴染みのない、千倍単位の変化、差異は普通です。

私の専門の泌尿器科で言うと、検尿で1mlあたり千個(10の3乗)の細菌が顕微鏡で見えることがあります。

内科の医者が膀胱炎という診断で、抗生物質を出すことがあります。

実は、これはとんでもない誤診です。

だいいち、患者さんによく聞けば膀胱炎の症状(排尿時痛、頻尿など)はないはずです。

これは、常在菌と見なされるのです。

要するに、無害です。

実際の「膀胱炎」のおしっこには何と1mlあたり10の7乗(一千万)個くらいは細菌がいます。

尿量300mlとすると、30億個(10の9乗)もの細菌が膀胱炎の人の膀胱内にはいるのです。

今回の混乱もこの単位からです。

マイクロシーベルト(10のマイナス6乗)、ミリシーベルト(10のマイナス3乗)、シーベルト、メガシーベルト(10の6乗)。

つまり、同じシーベルトでも、マイクロとメガでは10の12乗(え~と計算すると、1兆!)も違います。

普段こういうのに慣れていない一般の人は戸惑うようです。

「通常の千倍!」と新聞の見出しが出ただけで煽られます。

大変だ!

でも、先ほどの細菌がいい例で、千個もの細菌がいても正常なのです!

知識がないと当然、大事だと思うでしょう。無理もありません。

普段の生活で給料が千倍になる!なんてありえません!

(でも、あったらいいですね!?)

ですから、もともと1万倍以上も厳しい規制値であれば、千倍になっても大したことはないのです。

これが数字のトリックです。・・・ (さらに)

例えば、内部被曝が大事だと煽ります。

野菜や水の放射能が蓄積すると言います。

でも、元々厳しすぎる意味のない基準値ですが、一応その数値を基準にしても、飲んだり食べたりしても、尿や糞便として体外に出ていく方がほとんどで、体に吸収されるのは10分の1や百分の1になるでしょう。

しかも半減期という言葉でわかるように、毒のように蓄積する以上に減っていくのが放射能です。

煽る人たち(みんな医者ではありません)は、普段は病気のことも知らないし、勉強もしていない人たちです。

コラーゲンを食べても、飲んでも皮膚には行きません(もちろん、美容効果なんかありません)。

ヒアルロン酸を飲んでも、都合よく膝の軟骨には行きません。

でも、多くの人が騙されています。効果があるとしたら、プラセボ(偽薬)効果のみです。

内部被曝も同じ論理です。

一見もっともそうで、医学的には全く根拠がありません。

いずれにせよ、医者でもない人たちが偉そうに健康被害を声高に訴えている不思議な国です。

実際、地味ですが日本産婦人科学会や日本小児科学会は声明を出しています。

胎児の奇形や小児の健康に悪影響はなく、むしろ水分を十分に与えない方が脱水などで健康被害になると。  

あまり、マスメディアには出てきませんが、数少ない放射線医学専門家は意外と放射能被害が少なかったと調査結果を述べています。

あれだけひどいチェルノブイリの事故の後でも、小児の甲状腺癌で死んだのは15人程度が正しい数字のようです。

発病した小児は5千人くらいいるようですが。

これは、医学的にもありえると思います。甲状腺癌は割と予後の良い癌ですから治療で治るのです。

また、大人には一例も甲状腺癌は発症していません。・・

実地調査した長崎大学名誉教授が言っていましたが、実はチェルノブイリでさえ、一例も放射性セシウムによる健康被害は見つかっていないそうです。

これが中途半端な理論でなく、疫学調査による事実です。  

まだ半信半疑の人は、以下の別の長崎大学教授の講演と質疑応答の記録があります。参考にして下さい。

これが正しい医学的見解、事実です。

http://ameblo.jp/kaiken-matome/entry-10839525483.html

・・危ないからと、妊婦さんや子供が念のために退避するのは私にも理解できます。

ほとんど安全でも、絶対に安全だとはなかなか言えないからです。

でも、最近の「警戒区域」で居残ったら逮捕までされるというのは、むしろ人権侵害だと思います。

逆に言えば、今の程度の放射能ではっきり健康被害が出るとは言えないはずです。

そんな医学的エビデンスはありません。

百歩譲って、将来癌になる確率が「少し」上がるとしても、70歳の老夫婦がここに残りたいと言っているのを邪魔する権利は国にもないと考えます。彼らが正しいのです。

少なくとも70歳の老夫婦にとって、健康被害は考えにくいのです。

十分、寿命を全うするはずです。

根拠のない同心円で20km以内という大雑把な線引きで、家畜の牛を放り出して家を追われている人たちが可哀想でたまりません。

工場を追われた中小企業の人たちも可哀想です。

厳し過ぎる基準とは言え、面倒でも、せめて同心円ではなく、各地の線量を調べて決めるべきです。  

今回は、新型インフルエンザと違い、放射能では「一人も死んでいません!」。

これからもたぶん誰も死にません。これが事実です。中世の魔女狩りと同じです。

ほとんど根拠もないのに、みんなが危険だからと言うから抹殺されようとしているのです。

放射能自体では誰一人死んでいません。なのに、悲観した農家の人が自殺したり、ノイローゼになったり、体育館などの劣悪な避難所で高齢者が体調をくずして死んだりで百人くらい死んでいるかもしれません。それが事実です。まさに「人災!」です。

書き終えようとしたら、私と同様の意見(異説?)をインターネットで見つけました。

英国ガーディアン紙の著名環境ジャーナリストによる意見のようです。「放射能の危険性は本当? 英国で議論呼ぶ異説」です。参考にして下さい

http://www.asyura2.com/11/genpatu9/msg/829.html 」

* * * *

坂本医師については以前このブログでもご紹介しました。

『こちら』です。

なお坂本医師のウェブサイトは『こちら』 。

放射線については、彼のブログにもっと詳しい記事が載っています。 『こちら』です。是非ご覧になってみてください。

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