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2011年7月11日 (月)

金(ゴールド)への投資(その2)

そもそも金の価格はどうやって決まるのでしょうか。

当然のことながら、需要と供給とのバランスで決まるのですが、その裏にあるのは何でしょうか。

有史以来、人類が世界中でこれまでに掘り出した「金」の総量(地上在庫)は約17万トン、オリンピックプール3杯半ほどにしかならないといわれています。

日本では1981年に発見された菱刈鉱山が、トン当たり40グラムとケタ外れに高品位の金を供給し続けています(世界の主要鉱山の平均品位は約3~5グラム)。

私自身、興銀審査部時代に菱刈には3度ほど入坑した記憶があります。トラックレスマインと言ってクルマに乗りながら坑内に入っていくことができます。

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さて、金の需要に目を向けると、金は耐食性、導電性、低い電気抵抗などの特性を持つことから電子部品に使われるほか、歯科治療、そしてもちろん宝飾品としての需要もあります。

しかし、何より金の需要を左右してきたのは、通貨に代わって資産保全を図る「代替通貨」としての役割だと言われています。

といっても、もともと通貨として使われてきたのは金のほうで、今の貨幣(紙幣)は金に代わって出てきたものです。

しかし、貨幣が中心になった現在は、貨幣の価値があやふやになったり、貨幣に対する人々の信認が薄まると金の価格が高くなっていくという側面があります。

世界では、金の価値に重きを置いて、代々、金を持ち続けている人々もいます。

たとえばベトナムの富裕層。

フランスに占領されてもアメリカと戦っても、隠し持っている金で凌いできたとか、庭に金を埋めて保存している人もいて、ベトナム人が日本製バイクを新車で買えるのもこのせいだと言われてきました。

中国やインドは、最近になって政府が金を多く保有するようになりました。

2009年度の金保有量を見ると、中国が対前年比8割増、インドが5割増です。

ドルやユーロだけ持っていては外貨準備資産としていずれ危なくなるかもしれない、と読んでの措置かもしれません。

いずれにせよ中国やインドの動きがまた金の価格上昇を招く結果にもなってきました。

ところで、先般見たように10年間右肩上がりの上昇を続けている金ですが、とくに2008年以降の伸び幅が大きいことがわかります。

これは2008年9月に起きたリーマンショックを受け、FRB(連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長が、米国経済をデフレに陥らせないために、国債や不動産担保証券を買いまくり、通貨の供給を増やしたことに関連しているといえましょう。

2度にわたってバーナンキ議長がとった措置(QE1、QE2)は、景気のカンフル剤としては効果がありました。

しかし著しく効果のある薬には、必ず副作用がついてくるものです。

米国経済は今のところデフレに陥らずに済みましたが、その副作用としてドルの価値低下や金価格の上昇を招きました。

円や、ギリシャ危機に揺れてきたユーロが、予想を越えて高く保たれてきたのも、こういった要因によると考えられています。

さて金はこれからどうなるのでしょうか。

まだ上がるのか、それとも今度こそ本当に天井でしょうか。

その辺については今度発売になるの方をぜひ手に取って見てみてください。

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