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2011年7月18日 (月)

デフォルトの中身

16日(土)の大阪経済大学大学院の授業での受講生からの質問。青字部分が質問。黒字部分が私の答えです。

「米国政府の債務残高上限問題に関して聞きます。

仮に連邦議会が上限の改定を行わないまま8月2日を迎えると米国債はデフォルトしますか」

「議会が8月2日までに上限の改定を行わないとすると、国債の利払いが出来なくなる可能性が強くなります。そういった意味でデフォルトする可能性があります」

「そうするとまたリーマンショックのようなことが起きるのではないですか」

「起きません。デフォルトの中身が問題です。デフォルトとは債務者が債務を履行しない状態を言います。この中にはpayment default、technical default などいろいろな種類のデフォルトがあります。

デフォルトは、債務者が債務を履行できない(unable to pay his or her debts)状態であるinsolvencyとは限りません(もちろんinsolventな状態ゆえにデフォルトすることもあります)。

少なくとも今回の問題は米政府がただちにinsolventになるわけではない。

よってたとえ議会が承認せずに利払いがなされないといった状況が起きたとしても、数日後(遅くとも数週間後)には利払いがなされると思いますので、これが引き金となってリーマンショックのような危機が再来するとは思えません。

もっとも米国債の利払いに合わせてスワップなどが契約されている可能性もあり、事態を軽視しているわけではありませんが・・。

現時点でリーマンショックのような危機が再来するとしたら、それはギリシャをはじめとする欧州の通貨危機、およびこれに関連する欧州金融機関の信用不安が引き金になりうると思います。

こちらの方は、そういった状態にならないように現在欧州各国が知恵を出しているところですが、我々としても事態を注視していく必要があると思います」

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