金(ゴールド)への投資(その1)
友人、知人などから時おり問い合わせを受けます。
過去数か月で一番多かった質問は、東電の株を持っているけれど、売った方がよいだろうか、というもの。
あるいは東電がここまで安くなったのであれば買いたいと思うけど、どうだろうか、との質問もありました。
日本航空のときも同様な質問が寄せられました。
そのほかにも質問としては:
FXで友人が儲けたので自分もやりたい。どう思うか。
金(ゴールド)への投資をしたいけれど、どうだろうか。
ハウスメーカーから震災で傷ついた自宅をいっそのこと建て直して3階建てにして1、2階をワンルームの賃貸住宅にして貸したらと言われているが、どう思うか。
円が高い今、米国債が絶好の買い場だと思うが、どうだろうか、などなど。
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今回の本でもこれらの点に触れましたが、そのうちの一つ、金(ゴールド)への投資に関して以下、述べていきます。
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「金は高くなり過ぎてしまった。もう天井で、あとは下落するだけだ」
4~5年前から、金についてはこう言われ続けてきました。
しかし、今日に至るまで、金は上がり続けています。
「天井」という声に惑わされずに、金を買った人が利益を上げ続けてきたわけです。
さらに「金は高くなっているが、それはドルベースでのことだ」
という人がいます。
たしかにドルベースでの価格推移(1973年以降、今日までをカバーする詳しいグラフは本に載せました)は、ここ10年以上、具体的には2000年以降は、急激な右肩上がりになっています。
円ベースではどうでしょう。
上のグラフはクリックすると大きくなりますが、円ベースでも金は上がってきています。
2005年にはグラム当たり1,619円(年平均価格)だったものが、2010年には3,477円。
さらに2011年7月7 日現在は4,204円になっています。
6年前に比べれば2.6倍。
年率平均にすれば6年間で 17 %の上昇を果たしたことになります。
さらに遡って金相場の変動を見てみますと、本に掲載したドルベースのグラフのように1980年に急騰したことがありました。
このとき、円ベースでも、前年の1,418円から6,495円まで一気に上昇しています。
これは旧ソ連軍がアフガニスタンに侵攻した一時的な影響で、翌1981年には2,830円まで下落しました。1年間で4.6倍に上がった価格が、次の年にはおよそ4割になってしまったことになります。
しかし2000年に入ってからの相場は、1980年のような、何らかのできごとによる変動とは性質が違うように思えます。
グラフを見ればお分かりのように、金は2000年から10 年以上、一貫して右肩上がりで上昇を続けてきているのです。
その背景にあるのは、ドルをはじめとする通貨全体に対する信認性の低下です。
次回はその辺についてみていきます。
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