降れば土砂降り
英語で良く使われる表現に When it rains it pours (降れば土砂降り) というのがあります。
「悪いことは重なる」、「泣きっ面に蜂」に近い表現です。
もっとも悪い意味にだけ使われるとは限りません。
雨が長い間降らなかった後では、土砂降りになりがちということで、
「いざ起こるとなると、大規模に集中的に起こる」という意味合いで、良い場合にも悪い場合にも使います。
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アメリカに住んでおられた方は食塩のパッケージにこの言葉が使われているのに気付かれたと思います。
アメリカで食塩と言えばモートン社の食塩。
モートン社では 1914年からずっとこの宣伝文句を使い続けています。
それより以前には、食塩は湿気の強い気候のときなどに水分を吸いこんで固まってしまうことがよくありました。
食卓で塩を降りかけようとしてもなかなか容器から出てこない、こういったことが頻繁にあったのです。
それがモートン社の塩なら、どんな時でもさらさらかかりますよ、ということを強調して、この宣伝文句が使われてきたのです。
実はモートン社では、最初は "Even in rainy weather, it flows freely"(雨の日でもこの塩はさらさらとかかりますよ)といった宣伝文句にしようと考えていました。
しかしそれでは長いし、インパクトに乏しい。
ということで昔からの慣用句、 When it rains it pours (降れば土砂降り) を使うことにしたとのことです。
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私はシカゴ駐在員時代、この会社を何度か訪問したことがあります。
この会社は1982年にThiokol社と合併して、Morton Thiokol Incorporated と呼ばれていました。
Thiokolといえばロケットやミサイルの推進システムの会社。スペース・シャトルのブースターの設計・製造・保守に関与していました。
当時、Morton Thiokol は、優れた会社として経済界でも高く評価されていましたが、
1986年、チャレンジャー号が爆発を起こすと、状況は一変。一気に批判の矢面に立たされました。
その結果、1989年にはMorton社と Thiokol社は分離。
結局、両社の合併は7年しか続きませんでした。
爆発事故の後、スペースシャトルは1988年のディスカバリー 号によって飛行再開がなされました。
そしてそれから22年、今月(2011年7月)21日、最後のシャトル「アトランティス」がケネディー宇宙センターに帰還してきました。
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