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2011年8月31日 (水)

PBS

アメリカで暮らしていた時、PBS(Public Broadcasting Service)を時おり見ていました。

      Pbs_logo_multicolored

ネットで調べましたら、今や日本でも米国のPBSをPC上で見ることができることを知りました(『こちら』)。

ところで、ドイツのPBSはARDZDF

このうちZDFのFrontal 21という番組で福島の特集をしていたということで、何人かの方からメールで連絡を受けました。

すでに日本語の字幕がつけられたものがYouTubeにアップされています。『こちら』です。

なお番組では原発の水素爆発の映像が音声付で流れていますが、これは後で付けられた擬音だと思います。

こういった問題はあるにせよ、日本のテレビが報じないことを海外のメディアが報じています。

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2011年8月30日 (火)

21年余りで最大の上昇

21年余りで最大の上昇――

といっても、ニューヨークなどのメジャーな市場の話ではなく、ギリシャです。

ギリシャ株が21年余りで最大の上昇-銀行2行の合併合意を好感

(ブルームバーグ・ニュース) 29日のギリシャ株式相場は大幅高となり、指標のアテネ総合指数は過去21年余りで最大の上昇を演じた。

EFGユーロバンク・エルガシアスとアルファ銀行の合併合意の発表が好感された(以下、詳細は『こちら』)。

この結果、ユーロ50種株価は2.23%上昇。

米国ダウ平均株価も254ドル(2.26%)ほど上げ、11,539ドル。

7月下旬の暴落前の水準に、あと1,000ドルのところまで来ました。

  Chart forDow Jones Industrial Average (^DJI)

      (ここ5日間のダウ平均株価の動き)

上がるにせよ、下げるにせよ、ちょっとしたニュースに敏感に反応する――マーケットのボラティリティ(価格変動の激しさ)が高くなってきているように思います。

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2011年8月28日 (日)

アイリーン

ハリケーン・アイリーン

Hurricane_irene_2

オバマ大統領は historic hurricane (歴史的なハリケーン)と警告(『こちら』)。

ニューヨーク市はシャットダウンの方向になりつつあります(『こちら』)。

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2011年8月27日 (土)

ドルベースの日本株投資と円ベースの米国株投資(その2)

前回の続きです。

日本人が米国株への投資採算を円ベースで把握するように、米国人は一般にドルベースで日本株への投資採算を把握します。

皆さんはドルベース日経平均という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

たとえば先週末の日経平均株価は、8,797円。

これを先週末の為替レート(TTM)77.45円/ドルで割ります。

8,797円÷77.45円/ドル=113.58ドル

この113.58ドルがドルベース日経平均株価です。

たとえばここ2年間で日経平均株価はどう変化したでしょうか。

2年前の2009年8月26日の日経平均株価は、10,639円。

10,639円→ 8,797円 で、17.3%も下落しています。

最近出版されているマネー本の中には日経平均やTOPIXなどの株価指数に連動するETF(株価指数連動型上場投資信託)への投資を勧めるものが少なくありません。

しかしその結果はというと、上述のようにたとえば、2年間で17.3%の下落(損失)。

実際はこれよりももっと悪いのです。

というのはETFの場合、毎年0.2%程度の信託報酬を取られます(拙著『マネー大激震』参照)。

このため概算すれば0.2%×2年=0.4%ほど損失は膨らみ、17.7%の損失となります。

日経平均はトレンドとしては過去20年以上にわたり下落のトレンドにあります(2002年~07年などの一時期をのぞく)。

よって、ETF(株価指数連動型上場投資信託)を買うくらいなら、銀行に預金(たとえ普通預金であっても!)しておいた方がまし、という結果になってしまいます。

それでは日経平均を買っているガイジンさんはどうでしょう。

彼らはドルベース日経平均株価を見ています。

2年前の2009年8月26日の日経平均株価は、10,639円。

このときの為替レートは94.02円/ドル。

よって2年前のドルベース日経平均株価は、

10,639円÷94.02円/ドル=113.15ドル

おやおやガイジンさんは

113.15ドル→113.58ドルですので、0.4%の(損ではなくて)プラスです。

ドルベース日経平均株価は外人投資家の視点に立って日経平均株価をみるときに有用です。

ここで10年間の動きをグラフ化してみましょう。

まず毎年8月26日の日経平均株価を調べます(休日のときは翌営業日)。

2001年 11,275円

2002年 10.067円

2003年 10,332円

2004年 11,129円

2005年 12,405円

2006年 15,762円

2007年 16,301円

2008年 12,778円

2009年 10,639円

2010年   8,906円

2011年   8,797円

このときの為替レートは:

(注:三菱UFJコンサルティングのウェブサイトで簡単に調べることができます。『こちら』です)

2001年 120.20円/ドル

2002年 119.50円/ドル

2003年 117.40円/ドル

2004年 110.08円/ドル

2005年 110.26円/ドル

2006年 117.26円/ドル

2007年 116.63円/ドル

2008年 109.45円/ドル

2009年 94.02円/ドル

2010年  84.67円/ドル

2011年  77.45円/ドル

以上からドルベース日経平均株価を求めると、

2001年 93.80ドル

2002年 84.24ドル

2003年 88.00ドル

2004年 101.09ドル

2005年 112.50ドル

2006年 134.41ドル

2007年 139.76ドル

2008年 116.74ドル

2009年 113.15ドル

2010年  105.18ドル

2011年  113.58ドル

これをグラフ化してみると次のようになります。

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小泉内閣(2001年から2006年)およびその直後(2007年)は総じて日経平均は上がりましたがその後は下落。

しかしドルベースでみると(円ベースに比較すれば)それほど悪いパフォーマンスではないことが分かります。

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2011年8月26日 (金)

ドルベースの日本株投資と円ベースの米国株投資(その1)

今から約5年前、グーグルの株を買いました(2006年2月)。

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1株当たり429ドル。

そして今年の2月、621ドルでこれを売却しました。

G2

現在グーグルの株は、520ドルですので、まずまずのタイミングで売却できたのかもしれません。

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        (5年間のグーグル株価推移)

429ドル(購入価格)→621ドル(売却価格)

ですので、5年間で 45%の上昇です。

G3

しかし円ベースでみるとどうでしょう。

購入時の為替レートは118円55銭(TTM)。

売却時は82円84銭(TTM)。

43%も円が高くなっています((1÷82.84)÷(1÷118.55)=1.43)

何のことはありません。

購入・売却に伴う手数料なども勘案すると円ベースで見た場合のグーグル株への投資、いわば5年間の成績表のようなものですが、これはほんの僅かですが、損失を計上していました。

米国株への投資は、このように儲かったと思っても実は損をしていることがあります。

これとまったく同じように、鏡の反対側のようなことが、米国人が行う日本株への投資でも見られます。

次回はこの辺を見ていくことにしましょう。

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2011年8月24日 (水)

コーラスライン

今週の日曜日(21日)は、来日していたブロードウェイのミュージカル「コーラスライン」の最終公演日でした。

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『私は自分の選んだ道に疑念を抱き始めた。

役者やスポーツ選手が直面するに違いない葛藤に見舞われたのだ。

特別な夢を何年も追いかけ、ウェイターやウェイトレスをしながらオーディションを受けたり、マイナーリーグでどうにかヒットを打ってきたあと、ふと気がつく。

才能や運がなければたどり着けない世界のまわりを、自分はただうろうろしているだけではないのかと。』

これはオバマ大統領が自らの著作で語った言葉(『こちら』)。

2000年の下院選で惨敗したときの彼の心境を表したものです。

コーラスラインが描く世界は、まさにウェイターやウェイトレスをしながらオーディションを受け続ける人たちの世界。

不合格になるたびに心が折れそうになり、自分には才能や運がないのではないかとの疑念に襲われます。

それでもいつかは夢を実現できるかもしれない。

そう思って、何度も何度も、立ちはだかる現実の壁の大きさに打ちのめされながらも、再び起き上がってチャレンジする・・・

自分だけではない。世の中には「いつか」を信じてチャレンジしている人がたくさんいるのです。

報われないまま終わる人が多い、そんな現実を分かっていながらもただひたすら努力して、次に挑戦できるチャンスがやってくるのを待つ・・・

だからこそ合格した時の喜びもひとしおです。

YouTubeにフィナーレ『One』の動画がありました(→『こちら』)。

観ていたらまたニューヨークに行きたくなりました。

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2011年8月23日 (火)

企業業績の見通し

昨晩は日経CNBC『日経ヴェリタストーク』に出演しました。

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トピックスは、日本企業の業績回復見通しについて。

ここ数週間の株式市場は、為替や米国の金融政策、欧州問題などマクロについてのみ着目され、結果、「恐怖」が支配する相場となっていました。

ここでもう一度企業業績に着目しようとの日経ヴェリタスの視点は大切です。

さて日経ヴェリタス紙が証券アナリストの予想(Quickコンセンサス)をベースに調べたところ、調査対象日本企業2,333社中、244社が来期は史上最高の営業利益を上げるとの見通しでした。

キャスターの曽根さんから、「超円高の逆風下、これは本当に可能か」との質問が寄せられました。

実は市場が現在よりももっと悲観的であった2009年3月期。

この期はトヨタが4,600億円を超える営業赤字を上げた期でもあります。

このときに史上最高益を達成した企業が約360社ありました。上場会社の約1割にあたります(日経ヴェリタス紙2009年4月19日~25日号参照)。

2009年3月期でさえ約1割の企業が史上最高益を達成したことを勘案すれば、今回も調査対象の約1割の企業が最高益を達成するであろうとの調査結果は、十分首肯しうるものだと思います。

ただ個別企業で見ていくと、アナリストが前向きな業績回復見通しを唱えているからといってそれが積極的な買いにつながるか、疑問なしとも言い切れません。

たとえばトヨタ。

来期の営業利益の市場予想は1兆1,733億円。これは1株当たり340円に当たります(1兆1,733億円÷34億4800万株)。

トヨタの場合、通常は税引き前利益の方が営業利益よりも大きいといった収益構造になっています。1株当たり営業利益340円をベースとする限り、現在の株価2,700円は、利益8年分に過ぎません。これだけ見れば、明らかに安すぎる株価となっていますが、現実にはトヨタ株は市場で売り込まれています。

なぜでしょう。

Quickコンセンサス(証券アナリスト予想の平均)以上に、トレーダーや機関投資家の運用担当者たちがトヨタに対して懐疑的なのかもしれません。

あるアナリストは「『作れる台数=売れる台数』の構図には一抹の不安を感じずにはいられない」と述べています(日経ヴェリタス今週号2面)が、トヨタに対して市場(特に外国人投資家)が不安に思うのは、こういった『作れる台数=売れる台数』の構図への疑問のほかに次の3点です。

1)リーマンショック時、ホンダは営業利益1,896億円を上げたが、トヨタは▲4,610億円の営業赤字だった

2)リコール問題時の対応のまずさ(風通しの悪さなど企業文化に問題があるのではないか)

3)東日本大震災で第一四半期、トヨタは▲1,080億円の営業赤字。日産は1,503億円の営業黒字。ホンダも226億円の営業黒字。トヨタは生産拠点の被害が最も大きかったのだろうが、日産もいわき工場等で被災した。にもかかわらず日産はかなりの黒字をあげえている。

こうした投資家の不安を吹き飛ばすような形でトヨタには今後是非とも好業績を上げてほしいと切に望みます。

何と言っても「ミスター日本」。時価総額ナンバーワンの日本を代表する銘柄です。

株価8,000円台でトヨタ株を買い、そのまま持ち続けている個人投資家も多いと思います。

トヨタ株の低迷が続く限り、日本の個人投資家は元気が出ません。

なお日経CNBC『日経ヴェリタストーク』の再放送は8月23日(火) 18:30~と 19:06~ です。

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2011年8月20日 (土)

mOasis

投資や成長にはリスクを伴います。

そのリスクを恐れる風潮が最近の日本には根強いため日本経済はなかなか成長しません。

現在のところ、過去の海外投資から得ている所得収支(下図の黄色部分)がまだ大きい(12.1兆円)ことから、経常収支は黒字を保っています(16.1兆円、数字はいずれも平成22年度、確定ベース)。

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      (出所:財務省;図はクリックすると大きくなります)

このため「経常黒字国」ということで、とりあえずのマネー避難先として日本円に人気が集まり、円は1ドル75.95円を記録。

このレベルの円高が続くと輸出が振るわなくなることから、日本の成長がますます鈍化していくことが懸念されています。

昨日、中国人投資家のAさんとお話ししましたが、「これから先4~5年、日本は難しいでしょうね。日本だけでなく米国や欧州も。そして中国も」とかなり悲観的な見通しを話していました。

* * * * *

元気の出ない話ばかりしていてもはじまりません。

目を海外、それも新興国や米国のシリコンバレーに転じると、果敢にリスクをとって成長を目指す新興企業の話題であふれています。

インドからシリコンバレーにやってきたPooja Nathさん(30歳)。

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スタンフォードのビジネススクール在学中(大学院1年生の時)に起業し、Piazzaという会社をスタートさせました。

すでにセコイア・キャピタルなどから1.5百万ドル(1.1億円)の出資を受け、ニューヨークタイムス紙にも特集されています(『こちら』)。

Piazzaは、Social Networking の色合いを強めた学習サイト。

それがどんなものであるか、Piazzaのサイト(『こちら』)に行き、ビデオのボタンをクリックします。

そして1分30秒のビデオをご覧になって頂くと一番わかりやすいと思います。

実は起業したPooja Nathさんと私の長男とはビジネススクールで同級生。

拙著『マネー大激震』にも書きましたが、私の長男もビジネススクール在学中に起業し、mOasisという会社を設立(詳しくは『こちら』)。

今週配信されたダイヤモンド社の『ダイヤモンド・オンライン』で紹介されています(『こちら』 ←をクリックしてみてください)。

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2011年8月14日 (日)

アルゼンチン

前回に続き、国家財政の破たん、国債のデフォルトについて、もう少し書いてみます。

まず今回(2011年7月)のギリシャ救済パッケージ。

ギリシャ国債を持つ民間金融機関などは長期国債への債務再編協力を余儀なくされました。

このため今回ギリシャ国債は実質的にはデフォルトしたという意見(ムーディーズ、フィッチなど)があります。

この辺の技術的な話はさておいて、約10年前、2001年にアルゼンチンを襲った金融危機は今回のギリシャ危機の比ではなく、もっと強烈でした。

当時のアルゼンチンは年率40%のインフレが進行し、失業率は30%近くに達していました。

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      (ブエノスアイレスの街角で)

そして2001年12月1日、アルゼンチン政府は預金封鎖を行ないました。

この日を境にアルゼンチン国民は預金の引き出しが制限されたのです。

引き出せるのは1週間に250米ドルまで。

またキャピタルフライト(資本の海外避難)防止のため、海外送金も貿易取引をのぞき

1日1,000ドルまでに制限されました。

そしてその約3週間後の2001年12月23日、全閣僚とデラルア大統領が辞任した後で選出されたロドリゲス・サー暫定大統領が対外債務に対する支払い停止を宣言したのです。

この辺の状況は拙著『マネー大激震』に書いた通りです。

預金封鎖は翌年にも続き、2002年春からは引き出せる額が1か月に500ドルとなりました。

4月19日にはすべての銀行の一時封鎖が実施され、怒った国民は銀行に押しかけATMを破壊したりしました。

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      (ブエノスアイレス;街角のカフェ)

以前このブログにも書きましたが私は今年の2月から3月にかけてアルゼンチンを訪問しました。

アルゼンチンは日本とはちょうど地球の反対側に位置します。

成田を15:25に出ると12時間25分後の米国時間13:50にアトランタに着きます(デルタ航空を利用する場合)。

そして同じ日の19:50にアトランタを発ち、10時間後の翌朝7:50(アルゼンチン時間)にブエノスアイレス着。飛行機に乗っている時間だけで24時間近くになります。

これでも行きは良い方で、帰りは向かい風となるためもっと時間がかかり、飛行機に乗っている時間は24時間をゆうに超します。

さてブエノスアイレス滞在中に私はかつて米国シティバンクのブエノスアイレス支店に勤務していたという女性に会いました。

彼女の話では、2001年~02年の預金封鎖のとき、半年以上も預金が下ろせなくなり、封鎖が解かれた02年6月1日になると預けていた預金額は相当減価してしまったとのことです。

彼女の預金先はもちろん自分の勤め先であったシティバンク。

「米国の銀行だから大丈夫」と思っていたら、外銀であっても例外にならず封鎖をかけられてしまったといいいます。

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      (アルゼンチン;パタゴニア)

さて日本はどうでしょう。

現在のところ日本国債の格付けはAA-(弱含み)。

国債の消化が順調に進むうちは心配ありませんが、ある日突然、日本国債を買う人が減って国債の借り換えが思うようにできなくなってしまったら・・・。

そうなってしまった時の『危機シナリオ』は当然政府・日銀などで準備しているのでしょうが、われわれ国民もこの種の危機管理をそろそろ考えておいた方がよいタイミングにきているのかもしれません。

3月11日の震災直後、首都圏では有無を言わさず『計画停電』が実施されました。

当時いろいろな声が上がりました。

『夏場でもないのに本当に必要なのか』

『23区だけはどうして例外なのか』

『足立区は23区ではないのか』

そういったいろいろな声は無視されて、計画停電はとにかく実施されたのです。

日本国債の借り換えが進まなくなったときに導入される措置もおそらくこれと同じように、それがどういったものであったとしても、『有無を言わさず導入される』ことになると思います。

たとえばこれから先、もし万が一首都圏直下型大地震が起きたらどうなるでしょう。

経済はパニックになり、株式市場は一時閉鎖されるかもしれません。

はたしてその時でも従来同様に国債の借り換えは順調に行われるのかどうか。

危機が起きた時あなたの資産はどうすれば守れるのでしょうか・・・。

* * * *

今年の2月~3月。

地球の反対側のアルゼンチンで10年前に起きた出来事に思いを巡らしながら、私はいろいろなことを考えていました。

アルゼンチンのいま。インフレ率26%、消費税21%、失業率9%。貧富の差は相変わらず大きい・・・。

これがポストBRICsである、VISTA(ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチン)の一角を占めているこの国の現状です。

決して誇らしい数字ではありませんが、それでも昨年の経済成長率は8%を超えています。

たとえ国家がデフォルトしようと国民は何とか生き延びて10年後の今を迎えている・・・。

当たり前のことですが、大陸的な観点でものごとを捉えると、10年前の出来事も歴史のひとコマに過ぎないように思えてきてしまいます。

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2011年8月10日 (水)

錬金術

格付けが下がっても米国債の人気は衰えるどころか、逆にますます人気を高めています。

すなわち債券価格高(利回りの下落)が続いています。

10年物国債の利回りは9日(火曜日)にはついに2.20%を切りました(下図)。

10_year_t_notes

安全資産として「流動性豊かな米国債以上のものは見当たらない」として人気を集めているのです。

日本国債はどうでしょう。

米国債のように安全資産と言えるのでしょうか。

格付けは、AA-(弱含み)。

下がった後の米国債AA+よりも、更に2ノッチ下です。

先日ご紹介した橘玲『大震災の後で人生について語るということ』に面白いくだりがあります。

「「日本は絶対破産する」「破産するはずがない」という論戦(に本書は・・)立ち入りません。・・それでも、ひとつだけはっきりしていることがあります。それは「この世に錬金術はない」ということです」

「国家が国債を発行し、それを国民に配ると、錬金術とみまがう不思議なことが起こります。これは・・国家に寿命がないためで、利息を払いつづけることで(理屈の上では)永遠に借金を借り換えていくことができるからです」

「しかしそれでも、借金を永遠に増やしつづけることができないのはたしかです。もしそんなことが可能になれば、国民は働くことをやめて、国から配られた円札で海外から好きなものを買って面白おかしく生きていくことができるでしょう。そのような桃源郷が存在しないとすれば、借金生活はいずれ破綻します」

この辺の文章の進め方は、さすが橘さん、誰にでもわかりやすく書かれています。

さてそれでは、いったいいつそのタイミングが来るのか。すなわち、いつ借金生活は破綻するのか。

たまたまテレビ(BSフジ)を見ていたら大和総研の熊谷亮丸さんが似たような質問をキャスターから受けていました。

熊谷さんは「日本の経常収支が赤字転落するタイミングが一つの転換点になる」と話していました。

具体的には2015年といったタイミングにもそういった事態が予想されうるとか・・。

借金生活破綻(国債の借り換え不能、ハイパーインフレ)は、大地震や津波のように、来てからでは遅いのであって、来る前にしかるべき形で対処しておく必要があります。(この辺は「マネー大激震」でも触れた通りです)。

もっとも政府部門による無駄な支出をカットし、(かかる事態が)「来ないようにする」のが一番望ましいのですが・・・。

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2011年8月 9日 (火)

月曜日(米国)の下落

Twitter に書いたこと(青字)をブログでも書きます。

S&Pによる格下げを市場は十分に(すでに)織り込んではいたが、

オバマ大統領の米政府(ワシントン)に対する批判的な演説(←「あなたもワシントンの一員でしょう」)と

今後2~3週間のうちに対応策を出す(←「遅い!」)とのスピーチに失望

詳しくは上記をクリックしてみてください。

(←「  」)は市場の反応です。

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2011年8月 8日 (月)

橘玲の新著

1週間に1冊くらいのペースで本を読んでいます。

出来るだけ偏らずにいろいろな分野、作者の本を読むようにしていますが、橘玲、黒木亮、真山仁あたりは気が付くとほとんど全て読んでいるかもしれません。

昨日読み終えたのは橘玲『大震災の後で人生について語るということ』

これまでの橘玲の本と同じように著者の幅広い教養とクールな語り口で一気に読ませます。

ただこれまでとは違って、社会や組織を突き放したような橘氏独特のアナーキー的な色彩は幾分色を薄め、もう少し立ち入って、どうしたらいいかに触れています。

「日本が変わるとしたら、これが最後の機会だからです。大震災と原発事故の悲惨な現実を目の前にしても、為政者も国民も変わる勇気を持てないとしたら、あとは伽藍の重みで自壊していくだけです」

こう著者は書くのですが、おそらくは著者は変われないと考えている・・・。

であるがゆえに(「どうしたらいいか」が書いてあったとしても)なおさらのこと、よけい憂欝になってしまいます。

まあ、橘ファンの方にはお勧めの一冊です。

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2011年8月 7日 (日)

断層

先週は何名かの社長さんたちと(それぞれ別個に)食事をする機会がありました。

A社長(不動産関係)

「立川断層とか三浦断層がテレビで取り上げられた結果、中央線沿線の不動産会社で倒産するところも出てきています。テレビの影響力の凄さに改めて驚かされます」

B社長(金融関係)

「そもそもアメリカでは断層は開示されている公表データです。土地や家を買う時は調査士に調査させて買う。地震国の日本でこそ、そうなっていかないと・・」

立川断層とか三浦断層とかネットで調べてみると、結構真面目に書かれた記事が多くあります。

立川断層については『こちら』、三浦断層については『こちら』をまずご覧になってみてください。

マスコミの「煽り」に乗るのではなく、冷静に調べてみる姿勢が必要です。

     Tachikawa_2

             (立川断層)

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Miura

         (三浦断層)

Miura2 

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2011年8月 6日 (土)

「世界の大半で実質金利がマイナスの領域にある状況下では、株式の投資妙味はかなり高い」(モビアス博士)

「世界の大半で実質金利がマイナスの領域にある状況下では、株式の投資妙味はかなり高い」

こう発言するのはマーク・モビアス博士。

資産運用会社テンプルトン・アセット・マネジメントのエマージング・マーケッツ・グループの執行会長です(『こちら』)。

彼は現在来日中で、ブルームバーグ記者の電話インタビューに答えました。

インタビューの模様はブルームバーグがビデオにして配信しています(『こちら』)。

また要約は日本語でもニュースとなって配信されています(『こちら』)。

「アジアではどの地域に投資妙味があるか」との問いに対して、博士はこう発言しています。

「タイが我々のリストのトップだ。ベトナムもいいが流動性に乏しい。インドネシアやマレーシアも投資妙味がある。

日本、韓国、台湾の北アジアは東南アジアほどは魅力的ではない」

「米国景気の2番底(Double Dip)が来ると思うか。QE3(第3次量的緩和)はあるのか」との問いに対しては、

「ダブルディップはないと思う。米国経済の問題は中小企業が活性化せず、雇用が改善しないことだ。オバマ政権はこの問題を解決するため、dramatic (劇的)な政策を打ち出すと思う」

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2011年8月 5日 (金)

QE3

これだけダウが下がる(「2008年以降最悪の下落、512ドル安」)と、

FRBはQE3(量的緩和第3弾)を考えざるをえないでしょう。

しかし今度QE3で投下されるマネーも株や商品に向かってしまい、なかなか米経済活性化(なかんずく失業率改善)には向かわないだろうというのが、Lance Roberts氏の見方。

『こちら』をどうぞ。

ますます経済の舵取りが難しくなってきます。

かつて自分が本に書いたこと(『こちら』)ですが、1929年の恐慌は3年かけて起きた(305ドル→1932年 41ドル)。この言葉が頭の片隅をよぎります。

もっともそうした最悪シナリオの確率は10%程度とみているのですが・・。

いずれにせよ文字通り「マネー大激震」です。

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2011年8月 4日 (木)

聞きたいのは解決策ではなくて問題の方だ

Dave McClure はシリコンバレーの起業家の間では有名な人(『こちら』)。

               Photo

                 (Dave McClure

数々のスタートアップ(創業時の会社)にファイナンスを提供してきました。

最近コスラ―(『こちら』)が紹介していた Dave のブログ記事(『こちら』)。

                                    Vinod_khosla_3

                                    (Vinod Khosla)

『Your Solution is NOT My Problem (あなたの解決策は私が抱える問題ではない)』とのタイトルで始まります。

Solution_2

『私はベンチャー・キャピタリスト(VC)で、あなたはVCからの資金を必要としている起業家だ。

同じエレベーターに乗り合わせた。

30秒しか時間がない。

さあ、どうピッチ(プレゼン)するか。』

といった文章でこのブログは始まります。

起業家の方、シリコンバレーに興味のある方、そしてプレゼンの腕を磨きたい方は目を通しておくとよいと思います。

要は、プレゼン相手を理解し、相手との間でconnectivity を如何に作るか、ということで、ある意味、世界共通です。

なおブログの中の Dave McClure の英語は「品の無い英語」(下品な英語)ですので、それを分かったうえでお読みください(『こちら』です)。

                               

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2011年8月 2日 (火)

ランキング

紀伊國屋書店新宿本店が週間ベストセラー(ランキング)を発表しています。

(詳しくは『こちら』をクリックして、下の方に現れる「新宿本店週間ベストセラー」の新書のタブをクリックしてください)。

拙著「マネー大激震」は新書部門で第 8位(7月25日~7月31日) 

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1位は朝日新聞社から出ている「節電の達人」でした。

アマゾンではマネーは節電よりもランクが上なのですが、書店の性格(ネットvs. リアル、立地など)によって、どういった本が売れるか、売れ筋に違いがあるということなのでしょう。

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2011年8月 1日 (月)

エズ村

8月になりました。

毎月、新しい月を迎えるたびに、私は机の脇にあるJALのカレンダー「A World of Beauty」の頁をめくります。

JALの経営破たん後、カレンダーのサイズは少し小さくなりましたが、写真の質は高いまま。

8月はフランス・エズ村(『こちら』)。

地中海を見下ろす海抜427メートルの岩山の上にあり、まるで鳥(鷲)の巣であることから、鷲の巣村とも称されています。

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フランスのコートダジュール、ニースとモンテカルロのほぼ中間に位置します(下の地図の黒矢印。どちらの街からもクルマで約15分。なお地図や写真はクリックすると大きくなります)。

これまで観光客の多くはニースとモンテカルロのみを訪問し、エズは通り過ぎてしまうことが多かったと言います。

私もコートダジュールを訪れた際は、ニースとモンテカルロには滞在しましたがエズは通り過ぎてしまいました。

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『こちら』がエズ村の公式ウェブサイト。

JALのカレンダーが撮影された場所はこちら(↓)。

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かつて哲学者ニーチェは海岸からエズの村に向かう坂道をたどりながら『ツァラトゥストラかく語りき』の構想を練ったと言われています。

この坂道は今では「ニーチェの坂道」と言われています。

また映画監督ヒッチコックはエズの景色に魅せられ、泥棒成金の撮影場所にエズを選びました。

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