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2011年8月23日 (火)

企業業績の見通し

昨晩は日経CNBC『日経ヴェリタストーク』に出演しました。

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トピックスは、日本企業の業績回復見通しについて。

ここ数週間の株式市場は、為替や米国の金融政策、欧州問題などマクロについてのみ着目され、結果、「恐怖」が支配する相場となっていました。

ここでもう一度企業業績に着目しようとの日経ヴェリタスの視点は大切です。

さて日経ヴェリタス紙が証券アナリストの予想(Quickコンセンサス)をベースに調べたところ、調査対象日本企業2,333社中、244社が来期は史上最高の営業利益を上げるとの見通しでした。

キャスターの曽根さんから、「超円高の逆風下、これは本当に可能か」との質問が寄せられました。

実は市場が現在よりももっと悲観的であった2009年3月期。

この期はトヨタが4,600億円を超える営業赤字を上げた期でもあります。

このときに史上最高益を達成した企業が約360社ありました。上場会社の約1割にあたります(日経ヴェリタス紙2009年4月19日~25日号参照)。

2009年3月期でさえ約1割の企業が史上最高益を達成したことを勘案すれば、今回も調査対象の約1割の企業が最高益を達成するであろうとの調査結果は、十分首肯しうるものだと思います。

ただ個別企業で見ていくと、アナリストが前向きな業績回復見通しを唱えているからといってそれが積極的な買いにつながるか、疑問なしとも言い切れません。

たとえばトヨタ。

来期の営業利益の市場予想は1兆1,733億円。これは1株当たり340円に当たります(1兆1,733億円÷34億4800万株)。

トヨタの場合、通常は税引き前利益の方が営業利益よりも大きいといった収益構造になっています。1株当たり営業利益340円をベースとする限り、現在の株価2,700円は、利益8年分に過ぎません。これだけ見れば、明らかに安すぎる株価となっていますが、現実にはトヨタ株は市場で売り込まれています。

なぜでしょう。

Quickコンセンサス(証券アナリスト予想の平均)以上に、トレーダーや機関投資家の運用担当者たちがトヨタに対して懐疑的なのかもしれません。

あるアナリストは「『作れる台数=売れる台数』の構図には一抹の不安を感じずにはいられない」と述べています(日経ヴェリタス今週号2面)が、トヨタに対して市場(特に外国人投資家)が不安に思うのは、こういった『作れる台数=売れる台数』の構図への疑問のほかに次の3点です。

1)リーマンショック時、ホンダは営業利益1,896億円を上げたが、トヨタは▲4,610億円の営業赤字だった

2)リコール問題時の対応のまずさ(風通しの悪さなど企業文化に問題があるのではないか)

3)東日本大震災で第一四半期、トヨタは▲1,080億円の営業赤字。日産は1,503億円の営業黒字。ホンダも226億円の営業黒字。トヨタは生産拠点の被害が最も大きかったのだろうが、日産もいわき工場等で被災した。にもかかわらず日産はかなりの黒字をあげえている。

こうした投資家の不安を吹き飛ばすような形でトヨタには今後是非とも好業績を上げてほしいと切に望みます。

何と言っても「ミスター日本」。時価総額ナンバーワンの日本を代表する銘柄です。

株価8,000円台でトヨタ株を買い、そのまま持ち続けている個人投資家も多いと思います。

トヨタ株の低迷が続く限り、日本の個人投資家は元気が出ません。

なお日経CNBC『日経ヴェリタストーク』の再放送は8月23日(火) 18:30~と 19:06~ です。

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