錬金術
格付けが下がっても米国債の人気は衰えるどころか、逆にますます人気を高めています。
すなわち債券価格高(利回りの下落)が続いています。
10年物国債の利回りは9日(火曜日)にはついに2.20%を切りました(下図)。
安全資産として「流動性豊かな米国債以上のものは見当たらない」として人気を集めているのです。
日本国債はどうでしょう。
米国債のように安全資産と言えるのでしょうか。
格付けは、AA-(弱含み)。
下がった後の米国債AA+よりも、更に2ノッチ下です。
先日ご紹介した橘玲『大震災の後で人生について語るということ』に面白いくだりがあります。
「「日本は絶対破産する」「破産するはずがない」という論戦(に本書は・・)立ち入りません。・・それでも、ひとつだけはっきりしていることがあります。それは「この世に錬金術はない」ということです」
「国家が国債を発行し、それを国民に配ると、錬金術とみまがう不思議なことが起こります。これは・・国家に寿命がないためで、利息を払いつづけることで(理屈の上では)永遠に借金を借り換えていくことができるからです」
「しかしそれでも、借金を永遠に増やしつづけることができないのはたしかです。もしそんなことが可能になれば、国民は働くことをやめて、国から配られた円札で海外から好きなものを買って面白おかしく生きていくことができるでしょう。そのような桃源郷が存在しないとすれば、借金生活はいずれ破綻します」
この辺の文章の進め方は、さすが橘さん、誰にでもわかりやすく書かれています。
さてそれでは、いったいいつそのタイミングが来るのか。すなわち、いつ借金生活は破綻するのか。
たまたまテレビ(BSフジ)を見ていたら大和総研の熊谷亮丸さんが似たような質問をキャスターから受けていました。
熊谷さんは「日本の経常収支が赤字転落するタイミングが一つの転換点になる」と話していました。
具体的には2015年といったタイミングにもそういった事態が予想されうるとか・・。
借金生活破綻(国債の借り換え不能、ハイパーインフレ)は、大地震や津波のように、来てからでは遅いのであって、来る前にしかるべき形で対処しておく必要があります。(この辺は「マネー大激震」でも触れた通りです)。
もっとも政府部門による無駄な支出をカットし、(かかる事態が)「来ないようにする」のが一番望ましいのですが・・・。
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