ドルベースの日本株投資と円ベースの米国株投資(その2)
前回の続きです。
日本人が米国株への投資採算を円ベースで把握するように、米国人は一般にドルベースで日本株への投資採算を把握します。
皆さんはドルベース日経平均という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
たとえば先週末の日経平均株価は、8,797円。
これを先週末の為替レート(TTM)77.45円/ドルで割ります。
8,797円÷77.45円/ドル=113.58ドル
この113.58ドルがドルベース日経平均株価です。
たとえばここ2年間で日経平均株価はどう変化したでしょうか。
2年前の2009年8月26日の日経平均株価は、10,639円。
10,639円→ 8,797円 で、17.3%も下落しています。
最近出版されているマネー本の中には日経平均やTOPIXなどの株価指数に連動するETF(株価指数連動型上場投資信託)への投資を勧めるものが少なくありません。
しかしその結果はというと、上述のようにたとえば、2年間で17.3%の下落(損失)。
実際はこれよりももっと悪いのです。
というのはETFの場合、毎年0.2%程度の信託報酬を取られます(拙著『マネー大激震』参照)。
このため概算すれば0.2%×2年=0.4%ほど損失は膨らみ、17.7%の損失となります。
日経平均はトレンドとしては過去20年以上にわたり下落のトレンドにあります(2002年~07年などの一時期をのぞく)。
よって、ETF(株価指数連動型上場投資信託)を買うくらいなら、銀行に預金(たとえ普通預金であっても!)しておいた方がまし、という結果になってしまいます。
それでは日経平均を買っているガイジンさんはどうでしょう。
彼らはドルベース日経平均株価を見ています。
2年前の2009年8月26日の日経平均株価は、10,639円。
このときの為替レートは94.02円/ドル。
よって2年前のドルベース日経平均株価は、
10,639円÷94.02円/ドル=113.15ドル
おやおやガイジンさんは
113.15ドル→113.58ドルですので、0.4%の(損ではなくて)プラスです。
ドルベース日経平均株価は外人投資家の視点に立って日経平均株価をみるときに有用です。
ここで10年間の動きをグラフ化してみましょう。
まず毎年8月26日の日経平均株価を調べます(休日のときは翌営業日)。
2001年 11,275円
2002年 10.067円
2003年 10,332円
2004年 11,129円
2005年 12,405円
2006年 15,762円
2007年 16,301円
2008年 12,778円
2009年 10,639円
2010年 8,906円
2011年 8,797円
このときの為替レートは:
(注:三菱UFJコンサルティングのウェブサイトで簡単に調べることができます。『こちら』です)
2001年 120.20円/ドル
2002年 119.50円/ドル
2003年 117.40円/ドル
2004年 110.08円/ドル
2005年 110.26円/ドル
2006年 117.26円/ドル
2007年 116.63円/ドル
2008年 109.45円/ドル
2009年 94.02円/ドル
2010年 84.67円/ドル
2011年 77.45円/ドル
以上からドルベース日経平均株価を求めると、
2001年 93.80ドル
2002年 84.24ドル
2003年 88.00ドル
2004年 101.09ドル
2005年 112.50ドル
2006年 134.41ドル
2007年 139.76ドル
2008年 116.74ドル
2009年 113.15ドル
2010年 105.18ドル
2011年 113.58ドル
これをグラフ化してみると次のようになります。
小泉内閣(2001年から2006年)およびその直後(2007年)は総じて日経平均は上がりましたがその後は下落。
しかしドルベースでみると(円ベースに比較すれば)それほど悪いパフォーマンスではないことが分かります。
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