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2011年9月25日 (日)

60兆個の細胞

米国出張の際、機内で何冊かの本を読みました。

印象に残ったのは小出裕章著『原発のウソ』

これまでに私は原発関連の本をかなり読んできました(このブログでも何冊か紹介してきました)。

もし1冊だけを推薦するとしたら、この本になると思います。

放射線が人間のDNAを破壊する仕組みなどが非常に丁寧に書かれています。

* * * * *

『個体としての人間は、もともと父親からの精子と母親からの卵子が合体してできた、たった1個のいわゆる「万能細胞」です。

その1個の細胞が分裂して2個の細胞になり、また分裂して4つになり、8つになり、16になる・・・という具合に、どんどん細胞分裂を繰り返して人間の形になっていきます。

不思議なことに、ある時から「皮膚になる細胞は皮膚になる、目になる細胞は目になる、心臓になる細胞は心臓になる」というふうに、ある細胞が特別の細胞として機能分化していきます。

このような細胞分裂の果てに、人間の大人を形づくる約60兆個の細胞があるわけです。

皮膚にある細胞でも目にある細胞でも、約60兆個の細胞1つ1つが持っている「遺伝情報」は全部同じです。

私たちの生命は、細胞分裂しながら同じ遺伝情報を複製することで支えられています。

人間は、一人ひとりみんな違いますよね。

性格も違う、顔つきも違う、体つきも違う、考え方も違う。

もっと広く言えば、世界に70億人近い人間がいますけれども、誰ひとりとして同じ人間はいない。

それぞれの人が受け継いでいる自分だけの遺伝情報を複製しながら、「全く違う人間」として生きています』

* * * * *

それではこの遺伝情報はどのような方法で複製されるのでしょうか。

そして放射線に被曝するというのは、いったいどういうことなのでしょうか。

詳しくは本書を読んでみられることを是非お勧めします。

そうすることで同じ量の放射線(たとえば1シーベルト)を被曝した場合、がん死者数(白血病を除く)が、1万人あたり55歳の成年の場合は49名なのに対して、0歳児はその300倍以上の1万5152人となる(米国J.W.ゴフマン博士;本書92頁)・・・・こういったことの理由もわかるようになります。

すなわち放射線被曝から特に守るべきは15歳以下の子供たちであり、私のような55歳以上の大人はあまり関係ない・・・。

本書によると「50歳になると放射線によるがん死の可能性は劇的に低下」する・・。

であれば、われわれ大人たち(とくに50歳以上)の取るべき行動はおのずと明らかになってくるように思います。 

なお米国からの帰りの機内では児玉龍彦著『内部被曝の真実』を読みました。こちらは数々のデータ類が参考になります。

また児玉氏のこの著書には、チェルノブイリで5万人の症例を調べた日本の長瀬重信氏(長崎大学名誉教授)らの活躍や、

そもそも1960年代に米ソなどによる核実験が環境汚染をもたらすことを認めさせた猿橋勝子博士の話などが出てきます。

「世の中をかえる研究というのは純粋な心から生まれるものなのです」

これは児玉氏のこの本の中に出てくる猿橋勝子博士の言葉です。

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