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2011年9月 5日 (月)

債券投資の世界

日本ではかつて証券会社は株屋と言われていました。

しかし投資銀行に勤めておられる方ならお分かりだと思いますが、投資銀行が扱うのは株式だけではありません。

非常に大胆に言うと、投資銀行は次の3つの部門に分かれています。

「投資銀行部」 (M&Aなどのアドバイス業務、株式・公社債引受による資金調達支援)

「株式部門」 (株式の引受、販売、トレーディング)

「債券部門」 (債券の引受、販売、トレーディング)

(このほかに、調査部門、投資顧問部門、ウェルス・マネジメント、プライベート・エクィティなどの部門があります)。

このうち「債券部門」は多くの投資銀行で収益の中核をなしてきた重要な部門です。

しかし日本ではたとえば投資関係の本というと、これまでは株式投資について書かれた本が中心で、債券業務や債券投資を説明する入門書はあまり見受けられませんでした。

「証券会社=株屋」の世界であったことが影響しているのかもしれません。

そういったなかでかつてソロモンブラザーズの債券市場本部で活躍されていた方によって債券投資を説明する本が出ました。

『証券会社が売りたがらない米国債を買え!』

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債券価格と金利の関係、イールドの概念などについて分かりやすく説明しています。

* * * *

ところで話は少しだけそれますが、本書には著者の林さんがソロモンに入社した1990年にNY本社で受けた入社教育の話が出てきます。

有名な『ライアーズ・ポーカー』の中にも出てくる、あの入社教育です。

本書によれば当時ソロモンのグッドフレンド会長が最初の授業で言った言葉が、

『資産運用で一番大切なことは、売りたい時にその資産が売れるか否かにある』。

* * * *

「売りたい時にその資産が売れること」。 リーマンショックは証券化商品の時価が喪失してしまったことによって引き起こされました。

誰も買う人がいなくなってしまったのです。

時価があると思っていたにもかかわらず、その時価が無くなってしまう・・・

3年前に我々が経験した恐怖の世界がこれから先また起きないとも限りません。

たとえば・・・

ある日突然日本国債の時価がつかなくなってしまったら・・・。

日本国債はAAマイナスですので必要以上に心配すべきではありませんが、我々一人ひとりが頭の片隅にこれから何年か先にはこの種のシナリオも(可能性ゼロではなくて)ありうることを意識していく必要もあるかと思います。

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