ケース・スタディ
大阪経済大学(北浜キャンパス)社会人大学院で講師を務め始めたのは、2007年。
今年で5年になります。
(下記は大学学内新聞「KEIDAI DAYS」(09年8月)に
紹介された講義模様;クリックすると大きくなります)
私が心がけているのは、毎年違った講義にしようということ。
もちろんコアになる部分は同じです。
DCF法(ディスカウンティド・キャッシュ・フロー方式)を使って株価決定を行う・・・。
投資銀行がM&Aなどの際に使う株価決定方式を受講者のみなさんに分かってもらって、株価とはいい加減な形で決まるものではないことを理解してもらう、この点につきます。
ただ毎年の講義内容に共通する、いわば基礎の部分は全体の15%くらいで、残りの85%くらいは応用部分。
この応用問題の部分は毎年変えています。
そしてこの部分は主としてケーススタディの形にして院生の方たちと一緒に考えるというスタンスで授業を進めています。
過去には、『トヨタと日産、どっちの株を買うか』をテーマにしたこともありました。リーマンショック前、トヨタショック前のときです。
さすがにこのときトヨタショックを見通せた人は(私も含めて)いませんでした。
(大阪証券取引所ビル内にある北浜キャンパス)
今年7月16日(土)の講義では、『アップルの株。 売るか買うか』をテーマにしました。
まず初めに受講生の方たち全員に私から質問しました。
『アイフォーンを持っている方はおられますか』
何と答えはゼロでした。(これは私にとっても意外でした)。
(大阪経済大学北浜キャンパス近景)
ケーススタディーではアップルの製品ごとの売上高、地域ごとの売上高などを分析しながら今後の成長力を検討していきます。
そして講義の終わりの方で、受講生一人一人の意見を聞いていきます。
運よく受講生の意見が違ったものとなり、教室が割れるようになれば、活発な討論も期待できます。
しかし残念ながら結果は・・というと、受講生たちの意見は、中立的意見が1人だったのを除き、あと全員が『アップルの株は売る』というものでした。
アップルの株を買うと答えた人は(受講生ではありませんが)私1人でした。
売るとした理由のうちで主なものは:
・アップルの株は高くなり過ぎた。今後は競争も激化し一人勝ちはできない
・いずれアンドロイド陣営に負ける
・スティーブ・ジョブズの健康問題(スティーブ・ジョブズがアップルCEOを辞任するのはこの講義から1か月以上後の8月24日です)
この講義の前日、7月15日(金)の段階でアップルの株は364ドル。
その後7月19日(火)の取引終了後、アップルは第3四半期の決算を発表し、20日(水)は取引開始と同時に株価は 396ドルまで高騰(WSJの『記事』参照)。
しかし8月第1週から2週にかけて起こった世界同時株安の影響を受け、アップル株も353ドルまで下落(8月8日)。
その後、株価は少しずつ値を戻し、昨日はようやく400ドル台を記録。
もちろんケーススタディは考え方を深めるためのものであり、正解・不正解はありません。
アップルは昨年10月15日に第4四半期のコンファランス・コールを行い、18日に第4四半期の結果を正式発表しています。
今年も10月中旬の決算発表を視野に入れながら株価が動いていくものと思われます。
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コメント
アイフォーンを持っている方がゼロとはすごく意外ですね。他のスマホとの違いは、セクシーさだと思います(笑) あの色気は国産メーカーには出せませんね。
岩崎先生の著書の電子化を待望しています!
投稿: えいとまん | 2011年9月20日 (火) 12時17分
えいとまん様
1週間ほど米国に出張していて先ほど帰りました。
この間、ココログにアクセスできず、えいとまん様のコメントが公開されずに失礼いたしました。
半年ぶりに訪れた米国は(場所にもよるのでしょうが)、思ったよりも元気でした。確かにショッピングセンターのところどころに撤退してしまって「For Rent (借りてくれる店舗募集)」と表示されている「シャッター店舗」も目にはつきましたが、日本のマスコミはそういうところだけをたくさん映して、日本で流しているようにも感じられました。
投稿: 岩崎 | 2011年9月23日 (金) 08時25分