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2011年9月10日 (土)

Stanford GSB Info Session

昨年(『こちら』)に続き、今年もスタンフォード・ビジネス・スクールのAdmission Information Session に参加しました。

今年のセッションは昨日から今日にかけて 3回に分けて行われました。

本日、午後のセッションには入学希望者約70名と9名の卒業生が参加しました。

80年卒業の私が断トツに年上で、私の次は 92年卒業の浅尾君(衆議院議員)まで飛びます。

2010年卒業生が2名、11年卒業生が1名と若い人が中心の会となりました。

Stanford_3 

私のオフィス(小さな会社なので私は土曜も働いています)からセッション会場まで、タクシーに乗ると意外に近く、710円の距離。

あっという間に着いてしまいました。

早めに着いたので、会場にいた Admission Office の Ms. Seda Mansour と雑談していました。

「Seda というネームタッグを見て一瞬日本語の瀬田さんかと勘違いしました。ファーストネームなのですね」

「私はパレスチナ人です。パレスチナではSedaは狩りに成功すること(Successful Hunt)を意味します」

「最近の日本人のアプリカント(入学希望者)はどうですか」

「もっと数多くの日本人に入学して欲しいのですが、グローバルで比較すると負けてしまいます。中国、インドあたりから優秀な学生がたくさん応募してきます。スタンフォードでは国別に何人といった枠を設けたりしないで、優秀な人から採用していくので、結果、日本人の数が少なくなります」

「何が問題なのでしょう」

「日本人のアプリケーションはグローバルなパースペクティブ(Perspective)に欠けます。パースペクティブがドメスティックな人が多い。大学が求めるのは、世界にチェインジ(変化)をもたらす人。中国人やインド人の方がそういった意気込みを持っている人が多い」

* * * * *

全体のセッションが終わった後、卒業生9名の回りにはそれぞれ参加者(全体で約70名)の輪が出来て、彼らの質問に答えていきます。

私の回りに集まった人たちからは起業に関する質問が多く出ました。

私の長男が今年スタンフォードのビジネススクールを卒業して起業したことに関係しているのかもしれません。

質問に答えながら逆に私からも質問してみました。

「どうして起業したいのですか」

「起業して何をしたいのですか」

これらの質問にきちんと答えられないと、Admission Office を説得できるアプリケーションは書けません。

私の知っている「ある人」は南アフリカでエイズに感染された人たちの生活水準改善のボランティアに従事していました。

働いていて、自分の力の無さを思い知らされ、バイオのベンチャーを興したいとの思いを強くしました。

地球温暖化や地球の砂漠化を防ぎたいとの思いを強くし、アグリのベンチャーを興した人もいます。

一方、私の会社インフィニティは日本人のスタートアップとも広くお付き合いすることが多いのですが、日本の起業家には何をしたいのか、動機づけがはっきりしない人も少なくありません。

「単純に社長になりたいのです。人に使われるのは嫌です。自由な人生を送りたい」

「成功してヒルズに住んでフェラーリに乗りたい」

米国からセッション参加のためにやってきたAdmission Office の Ms. Seda Mansour の言葉があらためて思い起こされました。

「日本人のアプリケーションはグローバルなパースペクティブ(Perspective)に欠けます。パースペクティブがドメスティックな人が多い。大学が求めるのは、世界にチェインジ(変化)をもたらす人です」

* * * * *

私の同級生だったビノッド・コースラはインドからやってきて、同じく同級生のスコット・マクネリーとサンマイクロ・システムズを興しました。

その後、コースラはベンチャー・キャピタリストとしての道を進み、数年前に初めてファンドレイズするまでは自分で稼いだ金だけを投資に回していました。

自分の金なら人の指図を受けないからです。

投資先はもっぱらクリーンテックや太陽光発電、電池などの環境関連。

実はこれらのスタートアップは懐妊期間が長く、投資家にしてみれば難しい分野です。

単純に儲けようとすれば、フェイスブックやTwitterに投資すればいい。しかし彼にとっては金儲けは二の次で、将来世代に綺麗な地球を残したいとする気持ちの方がはるかに強いのです。

しっかりとした動機づけがビジネスを成功させる上でも、Admission Office を説得する上でも必要です。

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コメント

岩崎先生、

グローバルなパースペクティブ、とはまったくご指摘のとおりと思います。

何年も昔ですが、海外で100名以上が亡くなる飛行機事故が起きたとき、ニュースキャスターが「この事故で日本人が含まれていなくて本当によかったですね」とコメントしていて違和感を覚えたことがあります。

Patriotismをとおりこした日本人のselfishnessが見え隠れするように思えてしまうのは私だけでしょうか。

投稿: とおりすがり | 2011年9月13日 (火) 06時06分

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