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2011年10月30日 (日)

ジョブズ氏と過ごした時間--公認伝記著者インタビュー

『CEO職を辞したとき、Steveは役員室で他の役員たちと話をしていました。

そして誰かがHewlett-Packard(HP)がPC市場から撤退する話を持ち出し、人々は何となく笑い出しました。

するとSteveは非常に重苦しい表情になり、その後、実に恥ずべきことだと語りました。

なぜなら、Bill Hewlett氏とDavid Packard氏は何世代も生き残ってゆくよう運命づけられたというべき実に偉大な会社を創ったが、

それこそが自分がAppleで行おうとしていることだからだと言ったのです』

* * *

『わたしが十分に理解できないのは、彼がなぜあれほどオープンな姿勢で、何もコントロールするつもりはないと繰り返し述べたのか、ということです。

Steveは、いつもは自身のプライバシーとイメージをコントロールすることに大きな関心を抱いていました。

インタビューが進むにつれて、彼はどんどん積極的に話すようになりました。』

* * *

インタビューの全文は『こちら』(←)でどうぞ。

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老後はほんとうは幾ら必要か

日経ラジオで毎週土曜日に放送している『集まれ!ほっとエイジ』 も昨日で第5回目になりました。

昨晩のテーマは、老後はほんとうは幾ら必要か。

ざっと計算すると、夫婦で総額1億円前後が老後に必要ということになってしまいます。

しかしこの必要額のうち実は年金がかなりの部分をカバーしてくれます。

年金というのは毎年その人に入ってくることが予想されるキャッシュ・フローです。

キャッシュ・フローが将来にわたってもたらされるということは、ファイナンスの考え方からすると、これはある種の「資産」。

資産というと、現金、預金、有価証券、不動産といったものを思い浮かべますが、われわれはこれらに加えて、実は年金という「資産」も持っているのです。

そしてこの年金という「資産」が実は老後に必要な資金のかなりの部分をカバーしてくれるのです。

われわれ、特に若い世代の方々は、この貴重な「資産」である年金についても、もっと関心を寄せていく必要があるように思います。

そういった意味でも昨晩の放送は30代、40代の方々にも是非聴いていただけたらと思います(たった15分間です)。

今からでもポッドキャストで聴くことができます。

こちら(日経ラジオ)のサイトをクリックすると出てくる下記ボタンの「聴く」を押してください。(下記ボタンをいきなり押してもリンクされていません。必ず『こちら』をまずクリックしてください)

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なお iTunes でも聞けます(無料です)。

『こちら』です。

ところで、「集まれ!ほっとエイジ」が10月24日付読売新聞夕刊で紹介されました。

こちら(↓)です。

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画像はクリックすると大きくなります。写真に映っているのが進行役の大宮アナウンサーと相川プロデューサーです。

なお私が出ているのは毎週土曜日午後9:45~10:00です(番組自体は毎週土曜、夜9時から始まっています)。

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2011年10月29日 (土)

人気の本

本を買う時は本屋で手に取って実際にぱらぱらと頁をめくってから買うのが好きです。

しかし近所の本屋を何軒かあたってみましたが、どこも売り切れ。

店員さんに聞くと、いつ入荷になるかもわからないと言います。

『スティーブ・ジョブズ I』

アマゾンのサイトを調べたら、まだありました。

きっとアマゾンは思いっきり多くの冊数を発注したのでしょうね。

今日読み始められないのは残念ですが、取り急ぎアマゾンに注文を入れました。

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フェア・ゲーム

文字通りに訳すと、公平なゲームということなのでしょうが、game には「猟の獲物」の意があり、fair gameは「格好のえじき、的、いいかも」といった意味にもなります。

本日公開される映画「フェア・ゲーム」は、プレイム事件(『こちら』)に関するもの。

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日本でも知日派として有名なリチャード・アーミテージ氏(元国務副長官)。

彼は2003年7月、インタビューでCIA女性諜報員の身元を漏洩してしまいます(プレイム事件)。

【注】このことに関してはアーミテージ自身、2006年9月のインタビューで自分が情報源であったことを認めています(『こちら』)。

アメリカではCIA関係者の身分をもらすことは「犯罪に当たる」と言います(10月28日付、朝日新聞)。

国家に裏切られた女性諜報員をナオミ・ワッツがどう演じるのか。

映画のトレイラー(予告編)は『こちら』です。

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2011年10月28日 (金)

オリンパス、5件目の買収案件が浮上 (オリンパス その10)

私のブログに頂いたコメントで知ったのですが、本日のWSJ(ウォールストリート・ジャーナル紙)の記事。

『オリンパス、5件目の買収案件が浮上』(→日本語の記事本文は『こちら』をご覧ください)

疑惑はさらに深まりそうです。

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リーマン・フォーミュラ (オリンパス その9)

M&Aの手数料は通常次の3つから成り立っています。

(1)着手金(Engagement Fee、Front End Feeなどと呼ばれる)

「M&Aの反対側ではなく、貴社の方につきますよ」という意味合い(そのことの対価としての意味合い)もある。通常100万円~5,000万円のレンジ。

(2)リティナー・フィー

毎月払われる手数料。通常月50万円~500万円のレンジ。

(3)成功報酬手数料

買収が成功した時に払われる。

成功報酬手数料の算出にあたっては、多くの場合、下記のレーマンフォーミュラ(リーマンフォーミュラとも言われる)が使われる。

ただし、1,000億円を超えるディールではなかなかレーマンフォーミュラの手数料は払われない。(買収金額が増えても投資銀行の作業量が金額に比例して増えるわけではなく、完全にリニアな関係はなかなか顧客に認めてもらえない)

2,200億円の買収であれば成功報酬手数料は通常5億円~12億円程度。(仮に1%もらえるとすると22億円ということになるのですが・・)。

なお、(3)の手数料は、すでに払われている(1)と(2)の手数料を差し引いて払われることが多い。

なお昨日の『NHKニュースウォッチ9』でご説明したのも下記のレーマンフォーミュラです。(番組で映っていたのは拙著『M&A新世紀』の193頁の表で、これは基本的に下記の表と同じものです)

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レーマンフォーミュラ(レーマン方式)のレーマンとは今は無きリーマンブラザーズのことです。

1970年代にリーマンが開発したこの手数料方式が業界標準となりました。

詳しくは『こちら』をどうぞ。

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2011年10月27日 (木)

オリンパス・スキャンダル その8

『「Olympus scandal」で英語記事を検索すると、これだけ書かれているのが分かります』

とは、gooニュース編集者、コラムニスト・加藤祐子氏のコラム。

『こちら』です。

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「クロをシロと言い張る」 (オリンパス その7)

オリンパスは26日、今月2度目となる社長交代を発表。

高山新社長が就任会見の冒頭で「過去の買収は適切に実施し、不正行為は一切ない」とする菊川剛前社長のコメントを読み上げたことに対し、ロイターは、

「市場が何を期待しているのか、オリンパスは本当に分かっているのか」

国内系運用会社のファンドマネージャーが憤る様子を伝えています(『こちら』)。

FBI(米国連邦捜査局)が捜査に乗り出すほどの国際的スキャンダルに発展しながら、不透明な資金の流れにつき説明せずに、「過去の買収は適切に実施した」と繰り返すオリンパス。

これを読んで思い出したのは、日刊ゲンダイに載った拙著『マネー大激震』の書評です(2011年10月12日付)。

評者いわく(拙著は)

『「クロをシロと言い張る「既得権」型の日本企業株」への忠告など、現状を分析し、個人の資産がさらにメルトダウンしていく可能性が高いと警告』

と評しています(下記参照。なお下記の書評は画像の上でクリックすると大きくなります)。

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本当に「クロをシロと平気で言い張るような会社」に間違って投資してしまうと、個人投資家は大きく傷つきます。

その辺は『マネー大激震』に書いた通りです。

なおオリンパスの株価はFACTAがスキャンダルについて書く前は、2,685円(7月20日)。それが現在1,099円。

60%の下落です。

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2011年10月26日 (水)

オリンパス(その6)

「身の危険を感じているから、とにかく詳しく話をして真実を世に広めたい。電話より会ってじっくり話したい」

オリンパス社長解任劇、すべての真相を話そう渦中のひと、ウッドフォード前社長の告白(1)

(日経ビジネスON LINE;10月26日) 記事は『こちら』

日経ビジネスON LINE がようやく真相に切り込む記事を書き始めました。インタビューから掲載までなぜ6日もかかったのか、知りたいところではありますが・・

詳しくは『こちら』の記事をどうぞ。

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オリンパス(その5)

オリンパスで何が起きたのか、分かりにくいとの意見が寄せられます。

どうしたら一般の方にお分かり頂けるか、何か良い比喩やたとえはないかと考えてみました。

* * * * *

東京近郊のある駅から歩いて9分に立地する築5年の大規模マンション。ここでは幾つかの物件が売りに出ています。

75㎡~80㎡でだいたい3,300万円~3,600万円といったところ。

ところで、このマンションの77㎡の物件を相場の30倍、約10億円をポンと出して買った人が現れたとしたら、どうでしょう。

多くの人は何か怪しいものを感じると思います。

* * * * *

オリンパス事件が欧米メディアの注目を集めているのは、この例と似たような「怪しいマネーの動き」を感じ取っているからです。

実際オリンパスによるM&Aでは、通常の数十倍ものM&A手数料が払われたのですが、これは会社のカネ、別言すれば株主のカネです。株主のカネに対する意識の違いが日本と欧米との間にあるのかもしれません。

またこの種の法外なM&A関連費用を(のれんに計上して複数年で処理するか、単年度で処理するか、会計上の違いはありますが、いずれにせよ)損金処理したのであれば、その分の課税所得は減ることになるはずで、本来税務当局も関心を寄せるはずです。

これまでこのブログでは、ニューヨークタイムス、ウォールストリート・ジャーナル、フィナンシャルタイムス、ブルームバーグなどが記事にしたものを一部紹介してきましたが、オリンパスに関連しては、引き続き海外の関心が高く、最近では小さな動きでもメディアは記事にするようになってきました(たとえば『こちら』)。

一方、日本の新聞では事件の真相に切り込むような記事がなかなか出てきません(解任された英国人社長と復帰した日本人経営陣との対立とか、株価が下がったといった記事が中心です)。

なお『FACTA』の阿部氏がブログで、

「かつて野村証券のオリンパス担当だったS氏が匿名で書いている「闇株新聞」なるブログがあって、そこに「オリンパスの闇・第二幕」という奇怪な記事が載ったのには驚いた」

と書いています。

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オリンパス(その4)

ニューヨークタイムスは追及の手を緩めません。

『解任されたウッドフォード前社長が米連邦捜査局(FBI)と接触 (Mr. Woodford on Monday night said he was in contact with the F.B.I.)』

との情報をさらりと載せながら、

今度はオリンパスが行った日本での買収に焦点を当てた『記事』を載せています。

この『記事』によると、

① オリンパスが行った日本での買収は、イタリア料理のレストランを初めとして本業と関係ないものが多い

② 2006年から2008年にかけてオリンパスは773百万ドル(1ドル100円換算で773億円)に上る買収を行ったが、買収完了後1年以内に買収額の4分の3を償却(損失処理)した

③これらの一連の買収には、ヨコオ ノブマサ と、ヨコオ アキノブ という兄弟が関与している。

以下、詳しくは『こちら』(←)の記事をご覧になってください。

この『記事』は米国版ニューヨークタイムス(印刷バージョン)の10月25日付、B1に掲載。

ウェブ上に掲載されたのは今からおおよそ3時間前です。

この記事は次のように締めくくっています。

『A reporter who visited Global Company’s address in central Tokyo found an unlocked door leading to an empty, unfurnished office.

The building caretaker said the company had moved out this month. 』

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2011年10月25日 (火)

FBI が捜査開始 【オリンパス巨額報酬支払事件】(オリンパス その3)

オリンパスの件で、私のブログ(→『こちら』)を読んだNさんから『岩崎さんの憤りのようなものを感じました』とのコメントを頂きましたが、

新聞(NY Times)報道によると、ついにFBI(米国連邦捜査局)が捜査に乗り出しました。

10月23日付ニューヨークタイム紙によると、

①オリンパスが払った 687百万ドル(当時の為替換算レートで約 750億円)にも上るアドバイザーへの手数料は通常の30倍以上

②FBIはこの支払に関して捜査している

③この疑惑の中心にいるのは、サガワ ハジメ と ナカガワ アキオ の2人の日本人である

④サガワとナカガワは1988年ともにドレクセルで働いていた。2人はその後ペインウェバーに移ったが、1996年サガワはペインウェバーをレイオフされた

⑤その後サガワは引退することも考えたが、自分の会社Axesを設立した

⑥プライスウォーターハウス・クーパーズによれば、オリンパスの複数の役員がサガワと以前から関係があった

⑦2008年2月1日にオリンパスによる英国の会社のM&Aが完了。その数週間後の3月5日、Axesは米当局に会社を閉鎖する旨を連絡した

⑧Axesはオリンパスが買収した英国の会社の株式を一部所有したが、これをケイマン諸島の会社、Axam Investments に割り当てた

⑨2010年6月にはAxam Investments の名前はケイマン諸島の会社登記簿から動かされた(抹消された)。同年12月にはサガワがフロリダに設立していた Sagawa Capital の名前も消えた

詳しくは、『こちら』(←)のニューヨークタイムスの記事をご覧ください。

750億円という巨額の報酬を受け取ったことに関連して、米国のFBI が捜査を開始したにもかかわらず、これを支払った方に対しては、日本の捜査当局が捜査を開始したという話は聞こえてきません。

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2011年10月24日 (月)

退職金はいくらもらえるか

土曜日の番組で退職金について私は、『多くの場合は 1,500万円から 2,500万円のレンジに納まると思います』と述べました。

そしてケーススタディとして退職時に退職金 1,800万円をもらうケースを考えてみました。

一部の視聴者の方から、『これは本当に平均値か。現実はもっと少ないのではないか』とのお問い合わせをいただきました。

サラリーマンの方(特に20代、30代)は、(定年まで勤め上げた場合)いったい幾らくらい退職金をもらえるのか、この点について意外と知らない方が多いようです。

これはいまから30年くらい前の話ですが、私が興銀在職時に一緒に仕事をしたことのあるFさん。

彼は『退職金はどのくらいもらえるんですか』と上司の課長に聞いて

『そんなくだらないことを考えず、目の前の仕事を一所懸命やれ』

と怒られていました。当時の興銀にはこういった雰囲気がありました。

そして多分、課長も詳しいことは知らなかったのだと思います。

さて厚生労働省が退職者1人あたりの平均退職給付額を調査したデータがあります。平成20年1月1日現在の状況について5,937社に質問し 4,047社から有効回答を得たものです。

『こちら』の第25~27表です(平成20年就労条件総合調査結果)。

なお厚生労働省では、平成21年、22年、23年と毎年就労条件総合調査を実施し、その結果を発表していますが、退職金の支給額を調べたのは平成20年の調査が最後です。

以下に調査結果の一部を抜粋します。詳しくは『こちら』の第25~27表をご覧になってみてください。

大学卒(管理・事務・技術職)2,026万円 (月収換算39.8ヶ月分)

高校卒(管理・事務・技術職)1,606万円 (月収換算38.3ヶ月分)

このほかにも企業規模によって退職金の額が違ってくるとか、『こちら』の第25~27表を見るといろいろなことが分かります。

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2011年10月23日 (日)

退職金の一部は企業年金の形でもらうべきか

長い年月企業で働いて、退職時にもらえる退職金はいったい幾らなのでしょう。

これは企業によって違いますし、同じ企業であっても人によっても違いますので、一概には言えないのですが、1,000万円から、多いところで(稀なケースですが) 4,000万円~5,000万円。

多くの場合は 1,500万円から 2,500万円のレンジに納まると思います。

ケーススタディとして退職時に退職金 1,800万円をもらうケースを考えてみます。

退職に際して企業の退職金・年金担当者からたとえば次にのように言われるとします。

『〇〇さんの場合、退職金 1,800万円のうち、600万円は一時金でもらうことになります。 残りの 1,200万円は通常は企業年金の形でもらう人が多いのですが、それでよいですか』

退職金は全額一時金でもらうものと考えていた方は、ここでびっくりします。(最近はこの種の情報がオープンに行き交うようになっていますので、そういった方は今ではあまり多くないと思いますが・・。)

さてこの 1,200万円は一時金の形でもらった方がいいか、それとも企業年金の形でもらうべきか。

これが昨日の日経ラジオ『集まれ!ほっとエイジ』 のテーマでした。 聴き逃された方はポッドキャストで聴くことができます。

こちら(日経ラジオ)のサイトをクリックすると出てくる下記ボタンの「聴く」を押してください。(下記ボタンをいきなり押してもリンクされていません。必ず『こちら』をまずクリックしてください)

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1,200万円については、多くの方は『企業年金の形でもらう』を選択されるかもしれません。

しかし 1,200万円を企業年金に回すと、残額の退職一時金 600万円では住宅ローンを返済できない方はどうすればいいのでしょう。

仮に1,200万円の企業年金は期間15年間で受け取るとして、その間に不幸にしてあなたが亡くなってしまったら、残りのお金はどうなるのでしょう。

あるいは日本航空のようにあなたの会社がこれから先15年間の間に破綻してしまったら・・。

さらには日本国がギリシャのように財政破綻してハイパーインフレが日本を襲ったら・・。

番組ではこういった点も(可能性は低いが絶対無いとは言えないと)想定しながら、

『退職金の一部は企業年金の形でもらうべきか』について議論を進めていますので、30代、40代の方も是非お聞きになってみてください。

こちら(日経ラジオ)のサイトをクリックすると出てくる下記ボタンの「聴く」を押してください。(下記ボタンをいきなり押してもリンクされていません。必ず『こちら』をまずクリックしてください)

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なお iTunes でも聞けます(無料です)。

『こちら』です。

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2011年10月22日 (土)

Margin Call

映画の紹介とトレーラーは『こちら』

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    (写真は公式フェイスブックのサイトより) 

オフィシャル・サイトは『こちら』

          Mc2

『こちら』のフェイスブックの頁も面白いです。

アメリカで昨日公開。日本での公開は未定(『こちら』)。

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2011年10月21日 (金)

世界はオリンパス事件をどう見ているか (オリンパス その2)

ブルームバーグ・ニュースのコラムニスト、ウィリアム・ペセック氏『このコラム』(←クリックしてください)が一番端的に欧米のオリンパス事件に対する見方を示しています。

私のところにも海外の知人から同様の見解が寄せられています。

                      Pesek_2 

                      (ウィリアム・ペセック氏)

* * * * *

【コラム】「オリンパス・ショック」は世界の反面教師・・・[ウィリアム・ペセック氏;10月21日(ブルームバーグ)]

世界各地のMBA(経営学修士号)カリキュラムには、新設講座として「オリンパス101」を追加すべきだ・・・

現在進行中の今回の出来事には、あらゆる要素が盛り込まれている。

1919年創業という誇り高き企業、

日本人トップならやらないであろう手法で企業改革を成し遂げようとして解任された外国人社長、

日本ではめったに表ざたにならないのに表面化した内紛、

やくざ関与の可能性の気配、

浪費されたかもしれない多額の現金、

何をすべきか分からない企業幹部、メディアの熱狂、

問題がすべて消えてなくなってほしいと願う規制当局者などだ。

物語の本筋はまだ始まっていない。

日本はいざとなったら、どう収拾を図るのだろうか。

理想的な世界なら答えは簡単だ。

オリンパスの取締役は解任され、規制当局は日本株式会社への信頼を取り戻すため、熱意や公明正大さや誠実さを発揮して、この恥ずべき出来事を調査するだろう。

* * * * *

(以下このブログでは省略;是非『こちら』でコラムの本文をご覧ください)

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2011年10月19日 (水)

オリンパスによる不可解なM&A (オリンパス その1)

オリンパスが本日付けでプレス発表をしました。以下、このプレスリリースに掲載されていた表を掲げます(表の上でクリックすると大きくなります)。

(なお詳しくは→『こちら』をクリックしてプレスリリースの全文をご覧ください)。

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上表のとおり、2007年~08年にかけて買収した英ジャイラス社買収に際してオリンパスがフィナンシャル・アドバイザー(以下FAと言います)に対して支払った手数料は687億円

(【注】取引が行われた当時の為替レートは107~111円のレベルと推定されますが簡略化のため1ドル=100円として換算しています)。

オリンパスは「取引自体に不正・違法行為は認めらず・・」と発表(詳しくは→『こちら』のプレスリリースをご覧ください)。

しかし2008年3月期の同社有価証券報告書を見る限り、英ジャイラス社の買収金額はせいぜい2,600億円程度。

これに対して687億円の手数料を支払うことは(M&Aの業界では)常識的にあり得ません。

唯一可能性があるとしたら、M&Aの手数料にインセンティブ・フォーミュラを組み入れた場合。

たとえば、英ジャイラス社は本来5,000億円はするはずと誰かが「正当に」評価したとします(【注】当時上場していた英ジャイラス社の時価総額は報道によると1,500億円程度ですので、こういった想定は本来意味の無い想定なのですが100歩譲ってこの種の議論を少し続けます)。

インセンティブ・フォーミュラとは、

「これをFAの特別な働きかけによって 2,600億円で買えれば、差額分2,400億円(5,000億円-2,600億円=2,400億円)の(たとえば)28%である672億円はFAに払います」

といった具合に事前に決めておくやり方です。

こういったインセンティブ・フォーミュラは実は売却案件のアドバイザーに対しては取り入られることがよくあります(例:かつてのイタリア・ピレリ社による通信関連部門売却)。

しかし「買い」案件の場合は本来の価格算定が難しく、この種のインセンティブ・フォーミュラを入れることは実際にはほとんどあり得ません。

そしてオリンパスが発表した上記プレスリリースによっても、今回この種のインセンティブ・フォーミュラが取り入れられていないことは明らかです。

だとすると2,600億円程度の買収に際して687億円の手数料を支払っておいて、なにゆえ当社は「取引自体に不正・違法行為は認めらず・・」と結論できるのでしょう。

そもそも上記プレスリリースにはこれだけの手数料を払った相手先のFAの名前さえありません。

私は日本の銀行(興銀)および米国の投資銀行3社でM&Aの仕事に関与してきました。

その立場で申し上げると、今回のような買収の場合、手数料は基本報酬(Engagement Fee、リティナー・フィーなど)がせいぜい1億円~2億円(【注】500万円~1000万円程度のところもあります)、成功報酬手数料は、5億円~12億円程度。

それが本件では基本報酬(成功の如何にかかわらず)が5億円。そして成功報酬等が682億円(「等」と記したのはFAに買収対象会社の優先株を発行してこれを値上がり後買い戻すという不透明な取引をしているからです。この件はこの件で利益相反の疑義もあり得、通常行われていないことですが、ここではこれ以上、書きません)。

何れにせよFAに支払われたのは、通常の60倍くらいの「ありえない水準」の金額になっています。

なお若干捕捉しますと、投資銀行などではM&Aの手数料テーブル(料率表)を社外秘としているところも少なくありません。すべては顧客との間で交渉して決めることが多いからです。

ところがこれを支払う側の企業からすると、(欧米では)手数料について株主から質問されることも多いため、最初からこれを開示してしまうこともよくあります。

たとえば史上最大の買収合戦と評された世界2位の鉄鋼会社ミタルによる同1位のアルセロールに対する敵対的買収(2006年)。

このときはゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーなどの世界中の投資銀行13行が攻守どちらかに雇われました。

そしてこれら13行に対して支払われた手数料が総額で200億円に達したと欧米のマスコミの話題をさらいました。(このときの買収金額は3.3兆円。オリンパスの行ったM&Aの13倍の規模です)。

【注】こういった例を丹念に拾い上げていくと、買収額が1,000億円を超えるようなディールでは投資銀行はなかなかリーマンフォ―ミュラなみの手数料が取れていないことが分かります(拙著『M&A新世紀』参照)。

繰り返しますが、買収金額3.3兆円のM&Aで、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、メリルリンチ、ドイチェ・バンクなど世界のM&Aのトッププレーヤー13行全部に対して支払った手数料の合計総額が200億円です。

オリンパスが支払った687億円の手数料がいかに常識外のものかがお分かり頂けると思います。

なお本日の朝日新聞はオリンパスの記事を経済面ではなく社会面に載せました。

これは適切な判断であったと思います。

この朝日の記事によると、ウッドフォード前社長は「日本の月刊誌にオリンパスの経営やM&Aをめぐる記事が掲載されたことをきっかけに・・事実関係を照会した・・」とあります。

この月刊誌とはおそらく『こちら』の記事のことだと思います。

これは7月下旬に発行されたものですが、その後も同誌はこの問題をフォローし続けています(9月15日付『こちら』、10月10日付『こちら』、10月17日付『こちら』)。

いずれにせよ今回の件については解任されたウッドフォード前社長が17日に英国の捜査当局に関係書類を提出したとのことですので、捜査の進展を見守りたいと思います。

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危機管理

昨晩は第152回デジコンサロンに参加してきました(詳しくは『こちら』)。

『福島原発事故にみる危機管理』と題して、織田邦男さんのお話を聞きました。

織田さんは、元航空支援集団司令官、元・空将、現・三菱重工業航空宇宙事業本部顧問。

1974年、防衛大学校卒業、航空自衛隊入隊、F4戦闘機パイロットなどを経て83年、米国の空軍大学へ留学。

90年、第301飛行隊長、92年米スタンフォード大学客員研究員、99年第6航空団司令などを経て、

2005年空将、2006年航空支援集団司令官(イラク派遣航空部指揮官)、

2009年に航空自衛隊退職して現職という経歴の持ち主。

織田さんによると危機管理には3つの大原則があると言います。

① 最悪に備えよ Prepare for the worst

② 想定外を想定せよ Think unthinkable

③ 次善に甘んじる覚悟を持て Second best

次善に甘んじるということで、織田さんが話していたのが、1940年7月10日~10月31日のBattle of Britain。

英国のダウディング大将は3つのレーダーの話を聞かされ、『3番目をよこせ』といったとのこと。

1番目は高性能ですが、いつできるかわからない。2番目もドイツとの戦況を考えれば完成が遅すぎる。

性能に問題があるのを我慢してでも3番目を要求したという話です。

織田さんによれば、『今回の事故でいえば、「大量の放射能漏れ」という最悪の事態を回避するため、「早急なシステム再稼働」という最善の追求ではなく、「廃炉」にしてでも「放射能漏れ」を局限するという次善策の追及が必要だった』。

さらに織田さんは『寸秒を争うダメージ・コントロール活動には、現場の裁量で独自に判断し、自主的に行動することが欠かせない。現場を知らない者が容喙すると、機敏な対応を阻害し、結果的に手遅れになり事態の悪化を招くことになりかねない』と言います。

航空自衛隊機がいざスクランブル発進をすると、機が陸を離れた途端、指揮命令系統が平時のものから緊急時のものに変わる。。。

スクランブル発進した機のパイロットは普段なら直属の上司に伺いをたてなければいけないところを、何階層もの中間管理者層を一気に飛び越えて、直接、上層部の指示を仰ぐという緊急時の指揮命令系統に変わるのだとか・・・。

以上のほかにもイランに派遣された時の話とか、数々の貴重なお話を聞きました。

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2011年10月18日 (火)

アップルの業績

iPhone 4S の売り上げが3日間で4百万台を超えたとか話題になっていますが(『こちら』)、アップル社の第4クウォーター(第4四半期)のコンフェランス・コール(conference call webcast discussing Q4 - 2011 financial results)があと22時間ほどで始まります。

ご興味のある方は『こちら』でお聞きください。

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2011年10月17日 (月)

ブラック・スワンの箴言

『この本』を最初に手に取ってから読み終わるまでに1ヶ月以上かかってしまいました。

    Bs

大ヒット『ブラック・スワン』の著者、ナシーム・ニコラス・タレブの著作。

原題は『THE BED OF PROCRUSTES』(プロクルーステースのベッド)。

本書はいきなりこのギリシャ神話「プロクルーステースのベッド」から始まります。

* * * *

「プロクルーステースはアテネとエレウシースの間にあるアッティカのコリダラスに小さな地所を持つ、残酷な地主だった。

エレウシースは祭儀が行われていた場所だ。

プロクルーステースはおもてなしについて独特な考えを持っていた。

彼は旅人を捕まえては豪勢な晩餐を与え、今晩はここで泊まれと言って少々変わったベッドへ連れて行く。

プロクルーステースはベッドと旅人がぴったり合うようにした。

旅人の背が高すぎると、旅人の脚を鋭い斧で切り落とした。

旅人の背が低すぎると、身体を引き伸ばした・・・」

* * * *

「因果応報そのままに、プロクルーステースは自分が作った仕掛けにはまることになった。

あるとき捕まえた旅人が怖いものなしのテーセウスだったのだ。

英雄としてのキャリアを歩み、後にミノタウロスを退治する人である。

いつもの晩餐が終わると、テーセウスはプロクルーステスをベッドに寝かせ、プロクルーステースの流儀に従い、ベッドに完璧に合うように、プロクルーステースの首をはねた。

目には目をというヘラクレスの流儀に倣ったわけだ・・・」

* * * *

「これから書く箴言はどれも、ある意味プロクルーステースのベッドにかかわるものだ。

・・・たとえば、私たちは学校のカリキュラムに合うように子供の頭をあれこれいじくりまわす。

子供の頭に合うようにカリキュラムを決めているのではないのがわかっている人は少ない・・・」

* * * *

と、ここまで読んだところで(まだ本書の5頁目ですが)、私には、今年4月文部科学省が校庭の利用に際して放射線量の上限(許容量)を国際放射線防護委員会(ICRP)が定めていた年間1ミリシーベルトから年間20ミリシーベルトに引き上げたニュースが思い起こされました。

これってまさに「プロクルーステースのベッド」ではないかと・・・。

この本に出てくる392の箴言はひとつひとつが考えさせられるものが多く、読み進むのが容易ではありません。

最初から最後まで通して読むことは諦め、毎日、適当なページを開いて読んでみると言ったスタンスが楽かもしれません。

この本の箴言に触れることで、知らず知らずのうちに自分が「プロクルーステースのベッド」の罠に陥るのを少しだけ防ぐことができるようになるかもしれません。

著者のタレブいわく、

「私たちは「合理的な」モデルというベッドに合わないといって世を嘆き、

技術革新に合うように人間を改造しようとし、

クビになっては困るからと倫理を曲げ、

経済的生活を経済学者たちの理論に合わせ、

人間としての生活を何かの講釈に押し込もうとしてきた」

のだとか・・。

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2011年10月16日 (日)

投資信託

昨日の日経ラジオ『集まれ!ほっとエイジ』

投資信託について説明しました。聴き逃された方はポッドキャストで聴くことができます。

こちら(日経ラジオ)のサイトをクリックすると出てくる下記ボタンの「聴く」を押してください。(下記ボタンをいきなり押してもリンクされていません。必ず『こちら』をまずクリックしてください)

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2011年10月15日 (土)

早川由紀夫群馬大学教授の地図

早川 由紀夫(はやかわ ゆきお)教授(『こちら』)が、「早川由紀夫の火山ブログ」(『こちら』)で、放射能汚染地図と汚染ルート・タイミングを発表しています。

以下に、この2つの地図を転載します(原図を37%に縮小しています。地図の上でクリックするとかなり大きくなって細部が見えます)。

0911gmap06_2

Route930

早川先生は「火山ブログ」(『こちら』)で、地図転載についてこう書いています。

転載のルール:新聞とテレビへの転載は固くお断りします。これは9月10日鉢呂大臣を辞任に追い込んだ不当な報道に対する抗議です。非商用目的には自由にご利用ください。無料です。

たしかに鉢呂大臣辞任については、実は「放射能つけちゃうぞ」発言は虚報だったとか、ここに来ていろいろなことが言われ始めているようです(たとえば『こちら』)。

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2011年10月14日 (金)

スティーブ・ジョブズ I

アマゾンで一番売れている本は何だろうと思って調べてみましたら、まだ出版にもなっていない本がナンバー・ワンになっていました。

『スティーブ・ジョブズ I』

書籍紹介欄に「取材嫌いで有名なスティーブ・ジョブズが唯一全面協力した、本人公認の決定版評伝。全世界同時発売!」とあります。

そう言えば、ニュースでは『ジョブズは自らの短い人生を子供に伝えたくて Biography を書くことに初めて協力した』とか『Sony Pictures Entertainment がさっそくこの伝記の映画化権取得を目指し交渉を始めた』(→『こちら』)といった話が伝えられていました。

日本語訳版も10月25日発売のようです。

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債券先物が1カ月ぶりの安値

株式市場だけでなく債券市場にも目をやる必要があります。

昨日のブルームバーグの記事から(詳しくは→『こちら』)。

【要約】昨日の債券相場は下落し、先物は一時約1カ月ぶりの安値を付けた。

前日の米国市場で、欧州債務懸念が和らぎ、債券安・株高となった流れを継続して売りが先行した。

この日実施の30年債入札は無難な結果(最低落札価格101円05銭。応札倍率3.27倍。前回の3.55倍からやや低下) となったものの、

販売に時間がかかるとの見方が広がり、先物中心にヘッジ売りなどが膨らんだ。

* * * * 

同じくブルームバーグの記事ですが、ウォール街の今年のボーナスに関する記事を2つ(下記)。

  • ウォール街、2012年のボーナス減は確実-ニューヨーク会計検査院長(詳しくは→『こちら』)。

  • JPモルガン投資銀:1-9月の報酬準備は1人当たり2230万円に減少(詳しくは→『こちら』)。

* * * *

1か月ほど前は「まだ真夏日」などといったニュースが流れていましたが、もう年末のボーナスに関する報道が始まりました。

時がたつのは早いものです。

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2011年10月13日 (木)

文部科学省のサイト

世田谷の高放射線量(結局は原発と無関係?)や横浜のストロンチウムの話がニュースで大きく取り上げられていますが、文科省の『こちら』のサイトで全体感がつかめます(ただし航空機モニタリングの測定結果なので、今回の世田谷や横浜のような事例は得られません)。

下記に、上記文科省のサイトの地図を一つだけ添付しておきます。詳しくは文科省のサイト(『こちら』)をご覧ください。

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上の地図は2分の1に縮小されており、地図の上でクリックすれば2倍の大きさになります。

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水中のロマン

昨日の勉啓塾(→『こちら』)では水中写真家の中村征夫さん(→『こちら』)をお招きし、「海から見た地球環境」と題して講演して頂きました。

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今回の講演は、勉啓塾に時おり顔を出される女優のNさんの紹介で実現しました。

中村さんの顔はテレビでよく拝見していたのですが、実際にお会いするとたいへん若いのにびっくり。

「40数年間、海に潜ってきた」と話されていましたが、おそらくはそのことがプラスに働いてきたのか・・・。 とても1945年生まれには思えない顔つき、体つきでした。

中村さんが世界中の海で撮った美しい写真の数々を追いながらの2時間近くに及ぶ講演でした。色とりどりの美しい珊瑚や魚たちの数々。ただ中には乱開発や地球温暖化の影響で、死にかけている珊瑚の写真もありました。

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(注:上記の写真はグーグルの画像検索で上がってきた枝珊瑚の画像です。中村さんの写真という意味ではありません。

中村さんの写真は上記にリンクした中村さんのウェブサイトでお楽しみください)。

さて昨晩数多く拝見した写真の中では、とくに珊瑚の産卵の写真に興味深いものがありました。中村さんによると、珊瑚の産卵について詳しいことをわれわれ人類が分かってきたのはほんの40~50年くらい前のことだとか・・。

海にはまだまだ分からないことがたくさんある。中村さんはこう力説していました。

なおYouTubeを見ていたら珊瑚の産卵の動画(1分47秒)を見つけました(『こちら』)。

また下の2枚の写真は私が先月下旬にオアフ島Hanauma Bay を訪れた時に撮ったもの。

私がHanauma Bay を最初に訪れたのは、いまから30年以上前の1980年。

その時は珊瑚はとてもいきいきとしていて綺麗でした。

その後何度か訪れましたが、残念ながら当時のような綺麗な珊瑚はもはや見ることができません。

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2011年10月11日 (火)

iTunes

日経ラジオの番組ですが、iTunes でも聞けます(無料です)。

『こちら』です。

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驚異のプレゼン

『スティーブ・ジョブズ驚異のプレゼン』といった本が再びよく売れるようになったと言います。

プレゼン力に磨きをかけたい人はこういった本を是非読んでみられるとよいと思います。

と同時に、お勧めなのがジョブズのプレゼンを実際に聞いてみること。

たとえば iPhone を発表した時のプレゼンが『これ』(←)。日本語の字幕付きです。

「iPod と電話が一緒になったもの」と説明しておいて、わざわざこういった(↓)画像を見せ、聴衆の笑いを誘うなど、心憎い演出です。

     Phone

7分少々の短い映像ですが学べるところがたくさんあります。

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2011年10月10日 (月)

名古屋証券取引所

12月12日に名古屋証券取引所で講演を行います。

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名古屋在住の方、あるいは当日名古屋にいらっしゃる方で、お時間のある方は是非聞きにいらしてください。

入場料は無料。定員200名。事前申し込み制で参加希望者が定員を超える場合は抽選になるとのことです。申し込み締め切りは11月28日。

『こちら』←のサイトにアクセスして頂いた後、『参加お申込み』のところをクリックすれば、ネット上で申し込みが出来ます。 

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2011年10月 9日 (日)

国債暴落へのカウントダウン

先週の週刊エコノミストは『国債暴落へのカウントダウン』(→『こちら』)。

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最近日本国債のCDS スプレッドが上昇してニュースで取り上げられることが多くなってきています(たとえば 『こちら』)。

日本国債のCDS(クレジットデフォルトスワップ)スプレッドはブルームバーグの『こちら』のチャートで確認できます。

現在のところ、こんな(↓)感じです。

Cds

10月に入って一時150BP(べーシスポイント)を超えました。

では個人投資家としていったいどうしたらよいのでしょうか。

こういったご質問をよく受けます。

私の答えは、というと:

① 国債の消化に関するニュースに目を光らせる

② 国債未消化、金利急上昇、債券価格暴落、円急落といった「非常事態の兆候」が見えてきたら、資産を(A)円預金、国債から、(B)外貨、不動産、株、金などに移し替える【A→B】

③ 上記②の具体的兆候が見えるまでは、とりあえず流動性・換金性の高いもの(たとえば円預金)で運用する

といったものです。

CDSの上昇は②に繋がりうる「ひとつの兆候」ではあります。

しかしこれだけで判断することはできません。

日本国債の格付はまだAA-/Aa3をキープしていますし、金利もどちらかというと低位安定(『こちら』)、為替も引き続き円高基調です。

よって当面の運用方法としては、あわてて動くことはしない、とりあえず流動性・換金性の高いもの(たとえば円預金)で運用することを基本とする、というもの。

この辺に関しては昨晩の日経ラジオ『集まれ!ほっとエイジ』で説明しました。

聴き逃された方はポッドキャストで聴くことができます。

こちら(日経ラジオ)のサイトをクリックすると出てくる下記ボタンの「聴く」を押してください。(下記ボタンをいきなり押してもリンクされていません。必ず『こちら』をまずクリックしてください)

Radio

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2011年10月 7日 (金)

Farewells

数あるジョブズの記事の中で、この記事(↓)が一番胸にくるものがありました。

With Time Running Short, Steve Jobs Managed His Farewells:

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28歳

昨年5月30日に自分が書いたブログ記事(『こちら』)を見ていました。

28歳のときのスティーブ・ジョブズ。

ジョブズはこの演説(『こちら』)を行う3年前(ジョブズ25歳の時)にすでにアップルの株式公開を果たし大富豪でした。

1984年、彼は、「コンピューターを誰にでも使えるようにしたい(For the rest of us)」との理念のもとに、マッキントッシュを世に送り出し、巨艦IBMに戦いを挑みます。

ジョージ・オーウェルの小説『1984年』に引っ掛けて、翌84年1月に発売となるアップルのマッキントッシュのCMを紹介したスピーチです 〔『こちら』のYouTubeでその動画を見ることが出来ます(注)最初の20秒くらいは音楽だけで暗い画面が続きます。これも演出です〕。

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数あるジョブズのスピーチの中でも私はこのスピーチが好きです。

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2011年10月 6日 (木)

11年ぶりの日本

昨日のYahoo(米国)の株価(1日の動き)。

   Yahoo

「マイクロソフトに買収されるかもしれない」との(以前にも出た)噂話が昨日再度出てきて、株価は午後3時ころ(NY時間)から急騰しました。

一般論ですが、市場全体がここまで安くなってくると、M&Aの動きが出てきて、マーケットで形成されている株価に修正を入れる・・。

これが資本主義(市場主義経済)の一般的な動きです。

一方、日本では友好的でない買収に対する国民的な拒否感がありますので、M&Aによるマーケットへの修正が行われにくい傾向にあります。

* * * * *

さて一昨日、かつてJP Morganで私と一緒に働いていたドイツ人のN君が私のオフィスを訪ねてきてくれました。

N君にとっては実に11年ぶりの日本だと言います。

「少し時間があったので昔モルガンがあった赤坂パークタワーの界隈や、表参道、青山を歩いてみました。

緑がたくさんあるし、街にはごみが落ちていない。

行きかうクルマも新車が多い。

世界各地を訪問した後、東京に来ると、改めてこの国の豊かさを実感します」

と、これが彼の11年ぶりの日本の印象。

N君はいまブティックの投資銀行に勤めています。ヘッジファンドをやっている友人も多いと言います。

最近のヨーロッパの動向をどう見ているかについて尋ねました。

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「ギリシャとしては本音では自分たちの通貨、ドラクマに戻りたいのかもしれない。

その方がペイン(痛み)は少ないはずだ。

ただギリシャが離脱すると、次にはイタリア、ポルトガル・・といったように南欧の国が次から次へと狙われるようになる。

ドイツは経済の弱い国々がユーロにいるおかげで、これまでずいぶんと恩恵を受けてきた。

仮にドイツマルクを維持していたとしたら為替レートはドイツにとってもっと高い(厳しい)ものとなり、輸出産業は日本のように辛い状況にさらされていたと思う。

したがって現在のユーロのシステムを守ろうとドイツとしては必死になっているのだが、これが守れるかどうかわからない。

ドイツ人は日本人と同じように勤勉で真面目だ。

南欧の人たちとちょっと違う」

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2011年10月 5日 (水)

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2011年10月 3日 (月)

権威への挑戦

『The History of Jobs and Apple』(注:日本語の本です)を読んでいて、改めて自分は凄い時代にスタンフォード大学にいたのだと実感しました。

私がこれから先、自分の一生を終える時に

自らの人生を振り返って後悔することは何か・・・

それは間違いなくスタンフォードでの2年間です。

スタンフォードの周辺であれほどエキサイティングなことが数多く起きていたのに、

私は企業派遣の留学生という枠に縛られ、その機会を十分に生かし切ることができなかった・・・

そのことに対する後悔や自責の念が『The History of Jobs and Apple』を読んでこみ上げてきました。

* * * *

1978年私はスタンフォードのビジネススクールに入り、マクドナルド先生のファイナンスの授業を取りました。

先生は『この近くに出来たインテルという会社。もうナスダックに上場(1971)したんだけど、最近画期的なマイクロプセッサーを開発してね・・』などとよく話していました。

また先生は教室にゲーム会社アタリを創業したノーラン・ブッシュネルを呼んだりしました。

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        ( ノーラン・ブッシュネル)

(マクドナルド先生はバフェットの友人でバフェットを教室に呼んだり、あるいはキャピタル・アメリカのカービーを招いたりと、それこそ2~3週間に1回は教室にゲストスピーカーを招いていました)

アタリの創業者ノーラン・ブッシュネルは1974年スティーブ・ジョブズをテクニシャンとして採用、ジョブズにゲームセンター向けゲーム機の部品点数を削減するよう命じます。

このときの経験と報酬(5000ドル)が役に立ち、ジョブズは1977年アップルを設立。

スタンフォードのマクドナルド先生が授業で『昨年アップル・コンピューターという凄い会社が出来てね・・』と興奮気味に何回も話していたのが思い起こされます。

この授業を私と一緒に聞いていたのがサンマイクロシステムズを創業したビノッド・コースラやスコット・マクネリーであり、マイクロソフトのスティーブ・バルマー(現CEO)です。

ビノッドやスコットは私と同級生でしたが、スティーブは1年上。彼はビルゲイツに説得され、ゲイツと同じように大学(彼の場合は大学院でしたが)を中途で退学して、マイクロソフトにジョインします。

一方、ビノッドはサンマイクロの後、クライナーに参加。グーグルなどの創業を助けます。

* * * *

さてシリコンバレーの人たちに共通するのは既存の権威に対して挑戦するという精神。

多くの場合、権威とは米国東部エスタブリッシュメントであり、その象徴的存在であるIBMでした。

そしてスタンフォード大学自体が東部エスタブリッシュメントのハーバード、イェールを意識して成長してきたことでも知られています。

『The History of Jobs and Apple』に出てくるアップル創業時のジョブズやウォズニアックの髭面でヒッピーのような写真を見ていると、そこには権威や体制、管理に反発し、人間的自由・解放を目指す70年代の西海岸の若者の顔があります。

* * * *

ところでジョブズが1986年に買収したピクサーはジョージ・ルーカス率いるルーカスフィルム社の一部門。

当時ルーカスは妻と離婚協議中でそのために現金が必要だったため、ピクサーをジョブズに売却したのです。

以来、ジョブズとルーカスは親交を深めますが、

ルーカス自身もハリウッド巨大資本の体制・権威に反発して自らの映画会社を大きくしてきたことで知られています。

30年近くかけてスターウォーズ全6部作を作り終えた後、ルーカスが語った言葉です(詳しくは『こちら』)。

『アナキンはダークサイドと戦いつつも、結局は自らダース・ベイダーになっていく。

私も最初にスター・ウォーズを作り始めたとき、巨大ハリウッド資本に対抗して戦いを挑んだが、

こうして30年近くたってみると、自らが反発していたはずの巨大資本のようになってしまっていることに気づいたんだ』

ジョブズのアップルもIBMやマクロソフトを抜き去り時価総額で全世界1位の会社までに昇りつめました。

今度はフェイスブックを初めとする新しい挑戦者の挑戦を受ける立場になります。

『全てを否定することで新しいものが生まれてくる・・・。 死は生が生んだ唯一の最高の発明品だ・・・。それは古いものを一掃して新しいものが登場するための道を作ってくれる』

ジョブズのこの言葉は築き上げたものにとらわれない、常に挑戦者であり続けたいという彼独特の哲学から生まれてきたのかもしれません。

死と常に隣り合わせて生きてきたジョブズならではの言葉です。

* * * *

ところでマクドナルドのクロックがハンバーガー・チェーン店を創業したのはクロックが52歳のとき。ケンタッキーのカーネルおじさんが現在のケンタッキー・フライド・チキンの原型を生み出したのはカーネルが65歳のとき。

冒頭、私は自分が一生を終える時に自らの人生を振り返って後悔することについて書きましたが、挑戦することを止めてしまっては、いまこの瞬間を後悔することになりかねません。

常に挑戦し続けたいと思います。

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2011年10月 2日 (日)

オンデマンド・ポッドキャスト

昨晩の日経ラジオ『集まれ!ほっとエイジ』を聴き逃された方はポッドキャストで聴くことができます。

こちら(日経ラジオ)のサイトをクリックすると出てくる下記ボタンの「聴く」を押してください。(下記ボタンをいきなり押してもリンクされていません。必ず『こちら』をまずクリックしてください)

Podcast

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2011年10月 1日 (土)

奇跡の軌跡

10月です。

昨晩は第151回デジコンサロンに参加してきました(詳しくは『こちら』)。

スティーブ・ジョブズがCEOを辞任して約1ヶ月強。

元マックライフ編集長の高木さんほかは『The History of Jobs and Apple』と題するムック本を偶然にもジョブズの辞任1週間前に上梓していました。

この本は(ちょっと値段が高いですが)数多くの写真を掲載したもので、メモリアルブック(貴重な記録)としても価値があると思います。

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さて昨晩のデジコンサロンではこの高木さんをスピーカーとして迎え、アップル誕生から今日までの足跡を概観するとともに天才ジョブズの実像に迫りました。

まずは1994年に高木さんがジョブズにインタビューしたときの模様。

カメラマンがあまりにパシャパシャと写真を撮りまくるので一瞬不機嫌になったとか・・。

人によっては(インタビューアーが勉強不足だと)5分間でインタビューが打ち切られることもあるそうです。

ところで、ジョブズは養子に出されて養父母に育てられますが、高木さんによると実の父親はシリア人なのだとか・・・。

そしてジョブズは 曹洞宗の僧侶、乙川 弘文(おとがわ こうぶん、1938年 - 2002年)を師と仰ぎ、乙川さんはジョブズの結婚式にも参列したとか・・・。

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             (乙川弘文)

さらに高木さんによれば、iPhone と iPad は同じときに出来ていた。

ただ iPhone の方が一般の消費者に分かりやすいことから、ジョブズは iPhone を先に発売。

消費者が iPhone に慣れ親しんだところで、 iPad を発売したとのことです。

* * * *

ジョブズが目指したのはコンピューターとアートの融合。

それは文化の創造であり、コンピューターは対話の相手として位置付けられた・・。

コンピューターをコマンド(命令)の対象として捉えたゲイツとはそこが徹底的に違うとのことでした。

60年代の抑圧的社会から音楽によって人間解放を目指したビートルズ。

ジョブズはビートルズの影響を強く受けたとのことで、『アップル』という社名もビートルズを意識して付けられたらしい(それとAから始まるので電話帳の上位に来ることも大きな要因だったとか・・・・)

ビートルズのメッセージをコンピューターで実現したい。

こう考えたジョブズが行きついた先が、『全てを否定することで新しいものが生まれてくる』というものでした。

スタンフォードの卒業式でジョブズは次のように喋りました(『こちら』)。

『死はおそらく生が生んだ唯一の最高の発明品だ。

それは生の変更代理人(チェンジ・エージェント)だ。

それは古いものを一掃して新しいものが登場するための道を作ってくれる』

奇跡の軌跡を辿る意味でも『The History of Jobs and Apple』は参考になると思います。

  

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