リーマン・フォーミュラ (オリンパス その9)
M&Aの手数料は通常次の3つから成り立っています。
(1)着手金(Engagement Fee、Front End Feeなどと呼ばれる)
「M&Aの反対側ではなく、貴社の方につきますよ」という意味合い(そのことの対価としての意味合い)もある。通常100万円~5,000万円のレンジ。
(2)リティナー・フィー
毎月払われる手数料。通常月50万円~500万円のレンジ。
(3)成功報酬手数料
買収が成功した時に払われる。
成功報酬手数料の算出にあたっては、多くの場合、下記のレーマンフォーミュラ(リーマンフォーミュラとも言われる)が使われる。
ただし、1,000億円を超えるディールではなかなかレーマンフォーミュラの手数料は払われない。(買収金額が増えても投資銀行の作業量が金額に比例して増えるわけではなく、完全にリニアな関係はなかなか顧客に認めてもらえない)
2,200億円の買収であれば成功報酬手数料は通常5億円~12億円程度。(仮に1%もらえるとすると22億円ということになるのですが・・)。
なお、(3)の手数料は、すでに払われている(1)と(2)の手数料を差し引いて払われることが多い。
なお昨日の『NHKニュースウォッチ9』でご説明したのも下記のレーマンフォーミュラです。(番組で映っていたのは拙著『M&A新世紀』の193頁の表で、これは基本的に下記の表と同じものです)
レーマンフォーミュラ(レーマン方式)のレーマンとは今は無きリーマンブラザーズのことです。
1970年代にリーマンが開発したこの手数料方式が業界標準となりました。
詳しくは『こちら』をどうぞ。
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コメント
岩崎様
色々、解説参考になります。
しかしオリンパスといい、大王製紙といい、何といいますか・・。株主をはじめ関係者や取引先はもちろん、従業員が気の毒でなりません。
しかもオリンパスは「5件目の買収案件が浮上」との報道も出てきました。根が深そうです。
http://jp.wsj.com/Japan/Companies/node_333049
いずれにせよ当局には納得のいく対応をしてもらいたいと思います。
投稿: コジコジ | 2011年10月28日 (金) 22時01分